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【5分で納得】区分所有法

特に見てほしい方

☑︎宅建士試験を受験したい方

☑︎不動産関係の仕事をしている方

☑︎不動産に興味がある方

 

 

はじめに

 みなさんは、マンションの一室を買ったことありますか?僕は買ったことないです。いつか買いたいですね、、、、

 今回は夢の実現のためにおさえておきたい区分所有法を解説していきます。

 

区分所有法

区分所有法

 区分所有法(建物の区分所有等に関する法律は、一言で言うと、分譲マンション(区分所有建物)に関する法律です。

 

区分所有権と区分所有者

 例えば、マンションの305号室をAさんが所有している場合、Aさんの305号室の所有権を区分所有権、Aさん(マンションの305号室の所有者)を区分所有者といいます。

 

専有部分と共有部分

共有部分の使用

 マンションは専用部分共有部分の2つで構成されています。

専有部分

区分所有者の対象となる、建物の部分(構造上区分された部分)

Ex)マンションの一室(305号室など)

ポイント

区分所有権は、登記によって第三者に対抗することができます。

共用部分

専有部分以外の部分で、区分所有者が共同で使う部分

法定共用部分

マンションの構造上、当然に共有で使うこととされる部分

Ex)エントランス、エレベーター、階段、廊下など

ポイント

l  法定共用部分は、共用部分である旨の登記がなくても、当然に第三者に対抗することができます。

規約共用部分

本来は専有部分となる部分だが、規約により共用部分とされた部分や付属建物部分

Ex)集合室、倉庫など

ポイント

l  規約共用部分はその旨の登記をしなければ第三者に対抗できません。

 

共用部分の共有・持分

 共用部分は、原則として区分所有者が全員で共有します。また、持分割合は、専有部分の床面積(壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影の面積)の割合で決まります。

 

原則

  • 共用部分は原則として区分所有者全員で共有します。

ただし、一部の区分所有者のみが利用することが明らかな共用部分は、その者のみで共有することとなります(一部共用部分)。

  • 持分割合は、専有部分の床面積の割合で決まります。

 

例外

規約で別段の定めをすることもできます。

しかし、区分所有者または管理者以外の者が共有部分を所有することはできません。

 

共有部分の費用負担

 共有部分に関する費用は、規約に別段の定めがない限り、区分所有者がその持分に応じて負担します。

 

共有部分の管理・変更行為等

 共有部分について、管理行為や変更行為と行うには、原則として、集会の決議が必要です。

 

保存行為

 廊下の電球がつかなくなったので、電球を取り替えるなど

  • 各区分所有者が単独で行うことができます。

逆によって別段の定めができるか?

できます。

特別の影響を受ける者の承諾は?

不要。

 

管理行為

 エレベーターに損害保険を付すなど

  • 区分所有者及び議決権の過半数の集会決議で決めます。

規約によって別段の定めができるか?

できます。

特別な影響を受ける者の承諾は?

必要。

 

変更行為① 軽微な変更

 形状又は効用の著しい変更を伴わない共用部分の変更行為

 階段にスロープをつけるなど

  • 区分所有者及び議決権の過半数の集会決議で決めます。

規約によって別段の定めができるか?

できます。

特別の影響を受ける者の承諾は?

必要。

 

変更行為② 重大な変更

 形状又は効用の著しい変更を伴う共用部分の変更行為

 階段をなくして、エレベーターを設置するなど

  • 区分所有者及び議決権の各3/4以上の集会決議で決めます。

規約によって別段の定めができるか?

区分所有者の定数は規約で過半数まで減らすことができます。

特別の影響を受ける者の承諾は?

必要。

 

敷地利用権

 マンションを所有するには、その下にある敷地を利用する権利が必要です。この権利を敷地利用権といいます。

 区分所有者は、原則として専有部分とそれにかかる敷地利用権を分離して処分することはできません(例外的に規約に別段の定めがある場合には、専有部分と分離して処分することができます)。

 

管理

管理組合

 管理組合は、マンションの管理をするための団体のことをいいます。マンションを買うと、区分所有者は何ら手続きを経ることなく管理組合の構成員となります。

 

管理者

 マンションの管理者は管理組合によって行われますが、必要があれば規約に別段の定めがない限り、集会の決議によって管理者を置くことができます。

 

  • 管理者の選任・解任は、原則として、区分所有者及び議決権の過半数による決議によって行います。

ただし、規約の別段の定めがあれば、それに従います。

  • 区分所有者以外の者を管理者に選任することもできます。

 

管理組合法人

 管理組合は一定の要件を満たすと、法人となることができます。

 なお、管理組合法人には、必ず理事(業務を執行する人)および監事(理事の業務を監督する人)を置かなければなりません。

 

規約

規約

 規約とは、区分所有者が決めたマンションの利用・管理に関するルールをいいます。

 

規約の設定・変更・廃止

 規約の設定・変更・廃止には、区分所有者及び議決権の各3/4以上の集会による決議が必要です。なお、規約の設定・変更・廃止によって特別の影響を受ける者がいる場合には、この者の承諾を得なければなりません。

 規約は、原則として区分所有者がマンション購入後に設定するものですが、最初に専有部分の全部を所有する者(分譲会社など)は、公正証書によって、あらかじめ一定の項目について規約を設定することができます。

 

  • 規約の設定変更廃止は区分所有者及び議決権の各3/4以上の集会決議によって行います。
  • これによって、特別の影響を受ける者がいる場合には、この者の承諾が必要です。
  • 最初に建物の専有部分の全部を所有する者(分譲会社など)は公正証書によって、一定の事項に限り、規約を設定することができます。

①規約共用部分の定め

②規約敷地の定め

③専有部分と敷地利用権の分離処分を可能にする定め

④専有部分に係る敷地利用権の割合の定め

  • 規約は書面又は電磁的記録によって作成しなければなりません。

 

規約の保管・閲覧

規約の保管
  • 規約は、管理者がいるときは管理者が保管します。

管理者がいないときは、建物を使用している区分所有者、または、その代理人の者で、規約又は集会の決議で定める者が保管します。

  • 規約の保管場所は建物の見やすい場所に掲示しなければなりません。

 

規約の閲覧
  • 規約を保管する者は、利害関係人から閲覧請求があったときは、正当な理由がある場合を除いて、閲覧を拒むことはできません。

 

集会

集会の招集

管理者がいるとき

管理者がいないとき

①    管理者は少なくとも毎年1回、集会を招集しなければなりません。

②    区分所有者の1/5以上で、議決権の1/5以上を有する者は、管理者に対して、会議の目的たる事項を示して集会の招集を請求することができます。(管理者が集会を招集しない場合)

この定数は規約で減ずることができます。

区分所有者の1/5以上で議決権の1/5以上を有する者は集会を招集することができます。

この定数は規約で減ずることができます。

 

招集通知
  • 集会の招集通知は少なくとも会日の週間前に、会議の目的である事項を示して、各区分所有者にはしなければなりません。
  • 建替え決議が会議の目的である場合は、少なくとも会日の2ヶ月前に招集通知を発しなければなりません。

 

招集手続の省略
  • 区分所有者の全員の同意があれば、招集手続を省略することができます。

 

集会の決議①

 集会では、招集通知によって、原則として予め通知された事項のみ決議することができます。

 

決議事項の制限

原則

 招集通知によって、予め通知された事項のみ決議できます。

 

例外

 普通決議については、規約で別段の定めがあれば、予め通知された事項以外も決議できます。

 特別決議、建替え決議については別段の定めはできません。

 

議決権
  • 各区分所有者の決議権は共有部分の持分割合によります。
  • 決議権は、書面又は代理人によって行使することができます。
  • 専有部分を数人で共有している場合には、議決権を行使するべき者(1人)を定めなければなりません。
  • 区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して意見を述べることができます。

 

書面による決議
  • 区分所有者全員の承諾がある場合には、集会を開催せずに、書面又は電磁的方法による決議をすることができます。

 

集会の決議②

 集会の決議は原則として区分所有者及び議決権の過半数で行います。

 

原則←一般事項(普通決議)

 区分所有者及び議決権の過半数で決定。

 

例外←重要事項

  • 以下の事項については、区分所有者及び議決権の各3/4以上で決定。←特別決議
  • 規約の設定・変更・廃止
  • 共有部分の重大な変更
  • 管理組合法人の設立・解散
  • 義務違反者に対する専有部分の使用禁止等
  • 大規模滅失の復旧(建物価格の2分の1超の滅失)

など

 

集会の議事録

 集会の議事録は、書面または電磁的方法によって作成し、その保管場所を建物の見やすい場所に掲示しなければなりません。

 なお、議事録には議長及び集会に出席した区分所有者の2人の署名押印(議事録が電磁的方法によって作成されているときは、法務省令で定める署名押印に代わる措置)が必要です。

 

規約・集会決議の効力

 規約及び集会の決議は、区分所有者の包括承継人(相続人など)、特定承継人(中古マンションの購入者)に対しても効力を生じます。また、占有者(借主など)も規約および集会の決議に従わなければなりません。

 

おわりに

 いかがでしたでしょうか?イメージが一回読んだだけではできなかったかと思います。特に試験では、集会について聞かれることが多いので、注意して記事を読んでください。

【5分で納得】共有

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☑︎不動産に興味がある方

 

 

はじめに

 みなさんは、友達や家族と何かシェアしているものはありますか?僕は、友達や家族とではありませんが、カーシェアリングをしています。

 今回は、不動産のシェアパピである『共有』を解説していきます。

 

共有と持分

共有

 共有とは、1つの物を2人以上で共同して所有することをいいます。

 

持分

 持分とは、各共有者の、共有物に対する所有権割合をいいます。

  • 持分は各共有者の合意によって決まるが、合意がない場合や、持分が不明な場合は、均等であると推定されます。
  • 各共有者は自己の持分を自由に処分することができます。(他の共有者の同意は不要)

 

持分の放棄、共有者の死亡

 持分を放棄したとき、共有者の1人が死亡し、相続人等がいないときは、その者の持分は他の共有者に帰属します。

 

共有物の使用・管理等

共有物の使用

 共有者は、共有物の全体を、持分に応じて使うことができます。

 

共有物の管理等

 共有物の保存行為(共有物の修繕など)は、共有者が単独で行うことはできますが、管理行為や変更・保存は単独で行うことはできません。

 

保存行為
  • 各共有者が単独で行うことができます。

 保存行為の例

  • 共有物の修繕
  • 共有物の不法占拠者に「出て行け」という明け渡し請求や損害賠償請求をすること

 

管理行為
  • 各共有者の価格に基づいて、その過半数の同意で行うことができます。 

管理行為の例

  • 共有物の賃貸借契約の解除
  • 共有物の改良

 

変更・処分行為
  • 共有者全員の同意がなければ行うことができません。 

変更・処分行為の例

  • 共有物の建て替え、増改築
  • 共有物の売却
  • 共有物全体に抵当権を設定すること

 

管理費等

 共有物の管理費等は、各共有者が持分に応じて負担します。なお、ある共有者が管理費等を1年以上滞納した場合には、他の共有者は、相当の償金を支払って、この滞納共有者の持分を取得することができます。

 

共有物の分割

 共有物の分割とは、共有物を分けることをいい、各共有者は、原則として、いつでも共有物の分割を請求することができます。

 なお、共有者全員の意思によって、5年間を限度として共有物を分割しない特約を結ぶこともできます。

 

原則

 各共有者はいつでも共有物の分割を請求することができます。

 

例外

 共有者全員の意思によって、5年間を限度として共有物を分割しない特約を結ぶこともできます。

 

分割の方法

①分割の方法には次の3つがあります。

現物分割

 現物を分割します。

代金分割

 共有物を売って、代金を分割します。 

価格賠償

 共有物を誰か1人のものとして、その1人が他の者にお金で支払います。

 

②協議が調わないときは、分割を裁判所に請求することができます。

  • 裁判所による分割は現物分割が原則たが、現物分割ができないとき等は、裁判所は競売によって、代金分割とすることもできます。
  • 特段の事情があるときは価格賠償とすることもできます。

 

おわりに

 不動産で共有するには沢山のルールがあります。くれぐれもトラブルにならないように、お気をつけてください。

【5分で納得】相続

特に見てほしい方

☑︎宅建士試験を受験したい方

☑︎不動産関係の仕事をしている方

☑︎不動産に興味がある方

 

 

はじめに

 みなさんは、相続に関わったことがありますか?私は、まだしっかりとはありませんが、仕事上、関わっています。

 今回は、人生において、絶対に関わってくる「相続」を解説していきます。

 

相続

 相続とは、死亡した人(被相続人)の財産(資産および負債)を、残された人(相続人)を紹介することをいいます。

 

相続人

法定相続人

 民法では、相続人の範囲を被相続人の配偶者と一定の血族に限っています(法定相続人)。

 

相続人の範囲と順位

 被相続人配偶者は常に相続人となります。また、血族相続人(被相続人と一定の血族関係にある相続人)には優先順位があります。

 

ポイント

  • 配偶者は常に相続人となります。
  • 血族相続人は先順位がいない場合に限って、後順位が相続人となります。

子がいない場合には、直系尊属が相続人となります。

子も直系尊属もいない場合には、兄弟姉妹が相続人となります。

  • 配偶者と血族相続人は同順位で相続人となります。

配偶者、子、直系尊属、兄弟姉妹がいる場合は、配偶者と子が相続人となります。

 

代襲相続

 代襲相続とは、相続の開始時に、相続人となることができる人が既に死亡、欠格、廃除によって、相続権がなくなっている場合に、その人の子(例えば、被相続人の子が死亡している場合には、被相続人の孫)が代わりに相続することをいいます。

 

ポイント

  • 相続の放棄の場合には、代襲相続は認められません。
  • 子(直系卑属)の場合、代襲、再代襲があります。
  • 兄弟姉妹の場合、代襲相続が認められるが、再代襲は認められません。
  • 直系尊属については、代襲という考え方がありません。

 

相続分

 相続分とは、複数の相続人がいる場合の、各相続人が遺産を相続する割合をいいます。相続分には、指定相続分法定相続分があります。

 

指定相続分

 被相続人は遺言で各相続人の相続分を指定することができます。この場合の相続分を指定相続分といい、法定相続分より優先されます。

 

法定相続分

 法定相続分とは、民法で定められた各相続人の相続分をいいます。法定相続分は以下のとおりです。なお、同順位に複数の相続人がいる場合には相続分を均分します。

 

相続人が配偶者のみの場合

→配偶者が全て相続

 

相続人が配偶者と子の場合

→配偶者:1/2 子:1/2

ポイント

  • 養子の相続分は実子と同じ。
  • 非嫡出子の相続分は嫡出子と同じ

 

非相続人が配偶者と直系尊属の場合

→配偶者:2/3 直系尊属:1/3

 

相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合

→配偶者:3/4 兄弟姉妹:1/4

ポイント

  • 半血兄弟姉妹(父母の一方のみ同じ兄弟姉妹)の法定相続分は、全血兄弟姉妹(父母が同じ兄弟姉妹)の1/2になる。

 

相続の承認と放棄

 相続人は、被相続人の財産を相続するかどうかを選択することができます。民法では、単純承認(被相続人のすべての資産及び負債を承継すること)が原則ですが、限定承認相続の放棄も認められています。

 

単純承認

【原則】

被相続人の財産(資産及び負債)を全て承継すること

ポイント

l  (自己のために)相続の開始があったことを知った日から3ヶ月以内に、下記の放棄や限定承認を行わなかった場合には、単純承認したものとみなされます。

限定承認

相続によって取得した被相続人の資産(プラスの財産)の範囲内で、負債(マイナスの財産)を承継すること

→プラスの財産でマイナスの財産を返済しますよということ

ポイント

l  自己のために相続の開始があったことを知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し出ます。

l  相続人全員で申し出る必要があります。 

相続の放棄

被相続人の財産資産及び負債を全て承継しないこと。

ポイント

l  自己のために相続の開始があったことを知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し出ます。

l  相続人全員で申し出る必要はありません。

l  放棄をした場合には、代襲相続は発生しません。  

 

遺言

遺言

 遺言とは、生前に自分の意思を表示していることをいいます。

 

ポイント

  • 15歳以上で意思能力があれば誰でも行うことができます。
  • いつでも(遺言の方式に従って)全部または一部を変更、撤回することができます。
  • 遺言者が前にした遺言と抵触する遺言をしたときは、抵触する部分について、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされます。
  • 遺言は、遺言者が死亡した時から効力を生じます。

ただし、遺言に停止条件が付いている場合は、遺言の死亡後、その条件が成就した時に効力を生じます。

 

遺言の種類

 遺言(普通方式遺言)には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の三種類があります。

 

自筆証書遺言

公正証書遺言

秘密証書遺言

作成方法

遺言者が遺言の全文、日付、氏名を自書し、押印する。

ワープロやテープは×

ただし、相続財産の目録を添付する場合には、毎葉(ページ)に署名・押印をすれば、その目録は自書不要。

l  自書によらない記載が両面にある場合、その両面に署名・押印が必要。

遺言者が口述し、公証人が筆記します。

遺言書に署名押印し、封印します。公証人が日付等を記入します。

l  遺言の内容を秘密にして存在だけを証明してもらう方法。

ワープロや代筆も◯

証人

不要

2人以上

2人以上

検認

必要

不要

必要

 

遺留分

遺留分

 遺留分の作成によって、被相続人の全財産を特定の人に遺贈するということができますが、そうすると残された家族が家を失い生活ができなくなるといった事態が発生します。そこで、民法では、相続が最小限の遺産を受け取るように配慮しています。この相続人のために最低限保証された財産の割合を遺留分といいます。

 

遺留分割合

 兄弟姉妹以外の相続人は以下の割合の遺留分があります。

原則

 被相続人の財産の1/2

例外

 相続人が直系尊属のみのときは、被相続人の財産の1/3

ポイント

  • 兄弟姉妹には遺留分はありません。

 

遺留分減殺請求

 遺言によって、遺留分が侵害された遺留分権者が、遺留分を取り戻すためには手続きが必要です。これを遺留分減殺請求といいます。遺留分減殺請求のポイントは次の通りです。

 

ポイント

  • 遺留分減殺請求には時効があります。

相続開始および遺留分の侵害を知った日から1

または

(相続の開始を知らなかったときは)相続開始から10年。

 

  • 遺留分は相続開始前に放棄することができます。

ただし、家庭裁判所の許可が必要。

 

  • 遺留分を放棄したものは遺留分減殺請求をすることはできません。

だけど、相続放棄したわけではないので、相続人になることはできます。

 

おわりに

 特に法定相続分はテストでも出ますし、相続の際によく使う項目なので、必ず覚えておきましょう。

【10分で納得】借地借家法(借家)

特に見てほしい方

☑︎宅建士試験を受験したい方

☑︎不動産関係の仕事をしている方

☑︎不動産に興味がある方

 

はじめに

 今回は借地借家法(借家)を解説していきます。

 

借地借家法(借家)の適用範囲

 建物の賃貸借に関しては、借地借家法が適用されます。ただし、一時使用のために建物を賃貸借した場合には、借地借家法は適用されません。

 

借家契約の存続期間

 民法上の賃貸借の存続期間は最長20年でしたが、借地借家法における借家契約の存続期間には制限がありません。なお、期間を1年未満とする建物の賃貸借においては、期間の定めのない賃貸借とみなされます。

 

契約の更新と解約

期間の定めがある場合

 期間の定めがある場合、期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に、相手方に対し、「更新をしない」旨の通知をしなかった時には、従前の契約と同一の条件(ただし、期間については定めがないものとなる)で契約を更新したものとみなされます。

 なお、賃貸人から上記の通知をする場合には、正当事由が必要です。また、賃貸人が正当事由をもって「更新をしない」旨の通知をした場合でも、期間が満了した後に賃借人がその建物の使用を継続しているときは、賃貸人が遅滞なく異議を述べないと、従前の契約と同一条件(ただし、期間については定めのないものとなる)で契約を更新したものとみなされます。

 

期間の定めがない場合

 期間の定めがない場合は、解約の申入れをすると契約が終了します。

 賃借人から解約の申入れる場合には、正当事由は不要で、解約の申入日から3ヶ月経過後に賃貸借が終了します。

 一方、賃貸人から解約を申し入れる場合には正当事由が必要で、解約の申入日から6ヶ月経過後に賃貸借が終了します。

 

造作買収請求権

 借地借家法では、建物の賃貸人の同意を得て取り付けた造作(畳やエアコン等)がある場合、賃借人は契約の終了時に賃貸人に対して、造作を時価で買い取ることを請求できます。ただし、造作買取請求権を認めない旨の特約は有効に定めることができます。

 

建物賃借権(借家権)の対抗力

 民法上、建物の賃借人が、第三者に建物賃借権(借家権)を対抗するためには、建物賃借権の登記が必要ですが、借地借家法では、建物賃借権の登記がない場合でも、建物の引渡しがあった場合には、建物賃借権を第三者に対抗することができるとしています。

 

民法

 建物賃借権を第三者に対抗するためには、建物賃借権の登記が必要

 

借地借家法

 建物賃借権の登記がない場合でも、建物の引き渡しがあれば、建物賃借権を第三者に対抗できます。

 

家賃の増減額請求権

 借家の家賃(借賃)が、近隣の建物の家賃と比較して不相当となった場合等は、当事者(賃貸人、賃借人のいずれも)は、将来に向かって家賃の増額又は減額を請求することができます。なお、一定期間、家賃を増額しない旨の特約がある場合には、その期間内については増額請求をすることができません。

 

家賃の増額減額について協議が調わないとき

増額について協議が調わないとき

  • 賃借人は増額の裁判が確定するまで、自己が相当と認める家賃を支払えばよいです。
  • 増額の裁判が確定した場合は、支払済みの金額に不足があれば、不足額に年1割の支払期後利息を付して支払います。

 

減額について協議が調わないとき

  • 賃貸人は減額の裁判が確定するまで、事故が相当と定める家賃の支払いを請求できます。
  • 減額の裁判が確定した場合は、受取済みの金額に超過があれば超過額に年1割の受領時からの利息を付して返還します。

 

建物賃借権の譲渡・借家の転貸

建物賃借権の譲渡・借家の転貸をする場合

 建物の賃借人が建物の賃借権を譲渡したり、借家を転貸する場合には、賃貸人の承諾が必要です(民法の規定通り)。

 賃貸人の承諾がなく、建物賃借権の譲渡等が行われた場合には、賃貸人は賃借権契約を解除することができます。

 

建物の賃貸借が終了した場合の転貸借

 建物が転貸借されている場合(賃借人が又貸しした場合)で、建物の賃貸借が終了したときの転貸借関係は次のようになります。

 

期間の満了又は解約申入れによる終了

 賃貸借が、期間満了又は解約申入れによって終了した場合、賃貸人は転借人にその旨を通知しなければ、その終了を転借人に対抗できません。なお、通知した場合、通知がされた日から6ヶ月経過後に転貸借が終了します。

 

債務不履行による解除

 賃貸借が、賃借人(B)の債務不履行(賃料を支払わなかったなど)により解除された場合、転貸借も終了します(賃貸人(A)は転借人(C)に対抗することができます)。この場合、賃貸人は転借人に対して通知等して、賃料を代払い(転借人が代わりに賃料を支払うこと)する機会を与える必要はありません

 

合意による解除

 賃貸借が、賃貸人(A)と賃借人(B)の合意によって解除された場合でも、転貸借は終了しません(賃貸人(A)は転借人(C)に対抗することができません)。

 

借地上の建物の賃借人の保護

 例えば、借地権設定者(地主)がA、借地権者がBで、Bが借地上に建物を建てた後、その建物をCに賃貸したとします。

 この場合において、借地権の存続期間(AB間の契約)が終了すると、Cは建物を明け渡さなければなりません。しかし、Cがそのこと(借地権の期間の満了)を知らなかった場合に、Cに対して「期間が満了したから直ちに出て行け」というのはCにとって酷です。

 そこで、借地借家法では、以下の規定を設けて、借地上の建物の賃借人を保護しています。

 

 借地上の建物の賃借人が借地権の存続期間が満了することを、その1年前までに知らなかったときは、裁判所は、建物の賃借人の請求により、当該建物の賃借人がそのことを知った日から1年を超えない範囲において、土地の明渡しに相当の期限を許与することができます。

 

定期建物賃借(定期借家権)等

 これまで一般的な借家権(普通借家権)について見てきましたが、ここでは特殊な借家権について見ていきます。

 

定期建物賃貸借(定期借家権)

 期間の定めがある建物の賃貸借を行う場合、書面によって契約をする時に限って、契約の更新がないこととすることができます。

 

ポイント

  • 建物の賃貸人は、定期建物賃貸借の契約締結前に、賃借人に対して、「契約の更新がなく、期間満了で終了する」旨を記載した書面を交付し、説明しなければなりません。
  • 期間が1年以上の場合、期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に賃借人に対して、期間満了による賃貸借の終了の通知しなければなりません。
  • 床面積が200㎡未満の居住用建物の賃貸借においては、転勤等やむを得ない事情により、賃借人が建物を自己生活の本拠として使用することが困難となった場合には、賃借人は解約の申入れをすることができます。この場合、解約の申入れ日から1ヶ月経過後に賃貸借が終了します。
  • 家賃の改定に関する特約がある場合、家賃の増減額請求権の規定は適用しません。

 

取り壊し予定建物の賃貸借

 法令や契約によって、一定期間後に建物を取り壊すことが明らかな場合に、その建物の賃貸借をするときは、建物の取り壊し時に賃貸借が終了する旨の特約を定めることができます。この特約は、建物を取り壊すべき事由を記載した書面によって行う必要があります。

 

民法借地借家法の比較

 

民法の賃貸借

借地借家法(借地)

借地借家法(借家)

存続期間

【期間の定めがある場合】

最長20

【期間の定めがない場合】

解約申入れから、土地は1年、建物は3ヶ月経過後に終了

【当初の存続期間】

30年以上

【最初の更新】

20年以上

【2回目以降の更新】

10年以上

【期間の定めがある場合】

l  制限なし

1年未満は期間の定めのない契約とみなす

【期間の定めがない場合】

l  賃貸人からの解約申入れ

正当事由必要

6ヶ月経過後に終了

l  賃借人から解約申入れ

正当事由不要

3ヶ月経過後に終了

終了

期間の満了等

期間満了時に借地権設定者が正当事由をもって更新を拒絶した場合。

期間満了の1年前から6ヶ月前までに更新拒絶をした場合…★

更新

①     当事者の合意

②     期間満了後、賃借人が使用を継続している場合で、賃貸人がこれを知りながら異議を述べなかったときは、同一の条件で更新されたものと推定されます。

①    合意更新

②    請求更新

③    法定更新

①    上記の通知(★)がない場合は、同一の条件で更新したものとみなします。

②    上記の通知(★)があった場合でも、賃借人が建物の使用を継続しているときは賃貸人が遅滞なく異議を述べないと更新したものみなします。

対抗要件

賃借権の登記

①    賃借権の登記

②    借地上の建物の登記

①    賃借権の登記

②    建物の引渡し

その他

①    必要費の規定

②    有益費の規定

①    同左

②    同左

③    一定の場合には建物買取請求権が認められます

①    同左

②    同左

③    一定の場合には造作買取請求権が認められます

 

 

おわりに

 これで借地借家法の借地と借地を見ていきました。民法借地借家法の比較を載せましたので、それぞれの違いを確認してください。

【5分で納得】不法行為

特に見てほしい方

☑︎宅建士試験を受験したい方

☑︎不動産関係の仕事をしている方

☑︎不動産に興味がある方

 

はじめに

 みなさんは、交通事故を起こしたこと、起こされたことはありますか?僕は雪山で車をスピンさせてしまったことがあります。特に誰にも怪我はなかったです。

 今回は、事故にからんでくる不法行為を解説していきます。

 

不法行為

 不法行為とは、故意又は過失により、他人に損害を与える行為をいいます。不法行為をした人(加害者)は、これによって生じた損害を賠償する責任を負います。一般の不法行為について、ポイントをまとめると次の通りです。

 

履行遅滞の時期

 

損害賠償請求権の消滅時期
  • 不法行為による損害賠償請求権は、以下の期間を経過すると時効によって消滅します。
  • 被害者(又はその法定代理人)が損害及び加害者を知ったときから3
  • 不法行為の時から20

ちなみに、債務不履行による損害賠償請求権の消滅時効は原則10年

 

過失相殺
  • 不法行為について被害者にも過失があった場合は、裁判所は被害者の過失を考慮して、損害賠償額を減額することができます

 

使用者責任

 例えば、A社(使用者)に勤務するBさん(被用者)が事業執行に関連してCさん(他人)に損害を与えた場合には、A社(使用者)もBさん(被用者)とともに損害賠償責任を負います(使用者責任)。使用者責任について、ポイントをまとめると、次の通りです。

 

  • 被用者が使用者の事業執行につき、他人に損害を与えた場合、使用者は被用者とともに損害賠償責任を負います。
  • 使用者責任が成立するには被用者の行為が(一般)不法行為行為に該当する必要があります。
  • 被害者(Cさん)は、使用者(A社)・被用者(Bさん)のいずれにも、損害賠償を請求することができます。
  • 損害賠償をした使用者(A社)は、被用者(Bさん)に求償することができます。

 

共同不法行為

 数人が共同で不法行為(共同不法行為)を行ない、他人に損害を与えたときは、各自が連帯して損害賠償責任を負います。

 

工作物責任

 例えば、A所有の建物をBが賃借していたとします。その建物の堀に瑕疵があり、堀の一部が崩れて通行人Cに怪我させたという場合、その工作物(堀)の占有者であるBは損害賠償責任を負います(工作物責任)。ただし、占有Bが損害防止のために必要な注意をしていた場合には、所有者Aが損害賠償責任を負います。工作物責任についてポイントをまとめると、次の通りです。

 

  • 土地の工作物(壁、堀など)の設置・保存に瑕疵があり、他人に損害を与えたときは、工作物の占有者(B)が損害賠償責任を負います。
  • 占有者が損害防止のために必要な注意をしていた時には、所有者(A)が損害賠償責任を負います。

 

ポイント

所有者は過失の有無にかかわらず、責任を負う=無過失責任

 

占有者・所有者の求償権
  • 損害賠償をした占有者や所有者は、他に瑕疵を発生させた責任がある者がいる場合には、その者に対して求償することができます。

 

注文者の責任

 注文者(A)が請負人(B)に対して、仕事を依頼した場合で、請負人(B)がその仕事について他人に損害を与えた場合には、請負人(B)のみが損害賠償責任を負います。ただし、注文者(A)の指示または注文に過失があった場合には、請負人(B)のほか、注文者(A)も責任を負います。

 

おわりに

 不法行為の消滅時期は忘れがちなので、ぜひ押さえておいてください。また、工作物の所有者は過失の有無に関わらず、責任を負いますので、注意が必要です。

【5分で納得】請負

特に見てほしい方

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☑︎不動産関係の仕事をしている方

☑︎不動産に興味がある方

 

はじめに

 みなさんは何か頼まれたこと、頼んだことはありますか?僕は日々、それの繰り返しです。

 今回は請負を解説していきます。

 

請負

 請負とは、請負人が仕事を完成させ、注文者がその仕事に対して報酬を与える契約をいいます。請負において、請負には完成した目的物を引き渡す義務が、注文者は報酬を支払う義務が生じます。この「目的物の引渡し」と「報酬の支払い」は同時履行の関係にあります。

 

請負人の担保責任

 目的物に瑕疵がある場合には、注文者は請負人に対して下記の事をすることができます。

 

瑕疵修補の請求

 相当の期間を定めて「瑕疵を修補して」と請求することができます。ただし瑕疵が重要でなく、その修補に多額の費用がかかる時は瑕疵の修補請求できません。

 

損害賠償の請求

 「瑕疵修補の請求に代えて」、または「瑕疵修補の請求とともに」損害賠償請求ができます。

  • 請負契約の目的物である建物に重大な瑕疵があり、建て替えざるを得ない場合には、注文者は請負人に対して建て替え費用相当の損害賠償を請求できます。

 

契約の解除

 瑕疵のため契約の目的を達成できない場合は契約を解除できます。ただし、建物の工作物については契約を解除できません。

 

担保責任の期間

木造建物:引渡後5年間

鉄筋コンクリート造の建物など:引渡後10年間

  • 土地の工作物が瑕疵により、滅失又は損傷した場合は、注文者は滅失又は損傷から1年以内に、瑕疵の修補や損害賠償の請求をしなければなりません。

 

担保責任を負わない旨の特約

 当事者間で、(請負人は)担保責任を負わない旨の特約を結んだ時には、原則として請負人は担保責任を負いません。ただし、請負人が事実を知っていたのに注文者に言わなかった場合には(特約を結んでいたとしても)請負には担保責任を免れることはできません。

 

おわりに

 請負人は物事を頼まれた人、注文者は物事を頼んだ人とざっくり頭に入れて、話を進めていけば、わかってくる内容です。しっかりと請負は押さえていきましょう。

 

【5分で納得】借地借家法(借地)

特に見てほしい方

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☑︎不動産関係の仕事をしている方

☑︎不動産に興味がある方

 

 

はじめに

 みなさんは、土地を借りるときのルールをご存知ですか?僕は借地借家法を勉強することで、少し知ることができました。

 借地借家法は、「借地」と「借家」に分かれます。 今回は借地借家法(借地)を解説していきます。

 

借地借家法

 借地借家法とは、土地や建物を借りる場合に適用される法律です。借地借家法では、民法の「賃貸借」について、賃借人(借主)が不利になる部分を修正しています。

 

借地借家法の適用範囲(借地)

 建物の所有を目的とする地上権または土地の賃借権を借地権といい、借地権については借地借家法が適用されます。借地権がある人(土地の賃借人)を借地権者、借地権を設定された人(地主)を借地権設定者といいます。

 

ポイント

  • 建物の所有を目的としない地上権または土地賃借権には、借地借家法は適用されません。

 

借地権の存続期間

当初の存続期間

 民法上の賃貸借の存続期間は最長20年でしたが、借地借家法における借地権の存続期間は30年とされています。契約でこれより短い期間を定めた場合も30年となります。なお、契約で30年よりも長い期間を定めた場合には、契約で定めた期間が存続期間となります。

 

契約の更新

 借地契約の更新方法には、合意更新、請求更新、法定更新の3つがあります。なお、請求更新と法定更新は、借地上に建物が存在する場合に限られます。

 

合意更新

当事者で合意して更新

更新後の期間

最初の更新:20年以上

2回目以降の更新:10年以上

請求更新

借地権者が更新を請求したときは、建物がある場合に限り、契約を更新したものとみなします。

ただし、借地権設定者が正当事由を持って、遅滞なく異議を述べた時には更新されません。

更新後の期間

最初の更新:20年以上

2回目以降の更新:10年以上

法定更新

存続期間後も借地権者が土地の使用を継続するときは、建物がある場合に限り、契約を更新したものとみなします。

ただし、借地権設定者が正当事由を持って、遅滞なく異議を述べた時には更新されません。

更新後の期間

最初の更新:20年以上

2回目以降の更新:10年以上

 

建物買取請求権

 借地権の存続期間が満了した場合で、借地契約の更新がないときは、借地権者は借地権設定者に対して、建物を時価で買い取ることを請求できます。建物買取請求権は「借地権の存続期間が満了した場合」に認められます。従って、借地権者が地代を払わなかった等の理由(借地権者の債務不履行)で契約が解除された場合には、借地権者に建物買取請求権は認められません。

 

建物の滅失と再築

 借地権の存続期間が満了する前に建物が滅失してしまった場合、一般的には建物を立て直しますが、残っている借地権の存続期間を超えて存在する建物を再築する場合、借地権の存続期間が延長されるかどうかが問題になります。借地権の存続期間が延長されるかどうかは、建物が滅失した時期と再築について借地権設定者の承諾があるかどうかによって異なります。

 

当初の存続期間中に滅失した場合

更新後に滅失した場合

l  再築について借地権設定者の承諾がある場合は、延長する

承諾日と建物の再築日のうち、いずれか早い日から20年間存続する。

l  再築について借地権設定者の承諾がある場合は、延長する

承諾日と建物の再築日のうち、いずれか早い日から20年間存続する。

l  再築について借地権設定者の承諾がない場合は、延長しない

(承諾がなくても、借地権の残存期間を超えて存在する建物の再築はできるけど)借地権の期間は延長しない。

l  再築について借地権設定者の承諾がない場合は、再築不可

借地権の残存期間を超えて存在する建物の再築はできない。

残存期間が20年よりも長い場合は契約で20年よりも長い場合を定めた場合は借地権の存続期間はその期間となります。

 

借地権の対抗力

 民法上、不動産の賃借人が第三者に対して、不動産の賃借権を対抗するためには登記が必要ですが、借地借家法では、借地上に借地権者が、自己を所有者として登記した建物を所有していれば、(借地権の登記がなくても)第三者に対抗することができるとしています。

 

借地上の建物を譲渡等する場合

借地上の建物を譲渡する場合の土地賃借権の譲渡・転貸

 例えば、借地権設定者(地主)がA、借地権者がBである場合、Bは借地上の建物自体を第三者(C)に譲渡することは自由にできます。しかし、建物だけ譲渡しても、それに借地権がついていなければ(土地が使用できないので)意味がありません。そこで、借地上の建物を譲渡する場合には、借地権も譲渡するか、借地を転貸する必要があります。借地権が地上権の場合には、借地権設定者(A)の承諾なしに地上権の譲渡や土地の転貸することができますが、借地権が土地賃借権の場合には、借地権の譲渡や借地の転貸をする時に、借地権設定者(A)の承諾が必要になります。そのため、Aが承諾しないと、事実上、Bは建物をCに譲渡できなくなってしまいます。これだと借地権者(B)にとって酷なので、借地借家法では借地権設定者(A)の承諾に代わる裁判所の許可でもいいとしています。

 

借地上の建物を第三者が取得した場合の建物買取請求

 第三者(C)が、借地権者(B)から借地上の建物を取得した場合で、借地権設定者(A)が土地賃借権の譲渡または借地の転貸を承諾しないときは、第三者(C)は借地権設定者(A)に対して時価で建物を買い取るべきことを請求できます。

 

借地上の建物を競売で取得した場合の許可及び建物買取請求

 第三者(C)が借地上の建物を競売により取得した場合で、その第三者(C)が土地賃借権を取得しても借地権設定者(A)に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者(A)が承諾しないときは、三者(C)は裁判所に申し立てることにより、借地権設定者(A)の承諾に代わる許可を受けることができます。また、借地権設定者(A)の承諾も裁判の許可も得られない場合には、第三者(C)は、借地権設定者(A)に対して時価で建物を買い取るべきことを請求することもできます。

 

定期借地権等

 これまでは一般的な借地権、普通借地権について見てきましたが、ここでは特殊な借地権についてみていきます。

 

(一般)定期借地権

 存続期間を50年以上とする借地権を設定する場合には、以下の特約を定めることができます。

  • 契約の更新がないこと
  • 建物消滅時における建物の再築による存続期間の延長が無いこと
  • 建物買取請求権がないこと

 

なお、上記の特約を定めるときは、書面(公正証書でなくてもよい)で行う必要があります。

 

事業用定期借地権

 事業用定期借地権は、もっぱら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く)の所有を目的とし、存続期間を10年以上50年未満とする借地権をいいます。なお、存続期間を10年以上30年未満とする事業用定期借地権には、①契約の更新、②建物の再築による存続期間の延長、③建物買取請求権等がありません。また、存続期間を30年以上50年未満とする事業用定期借地権には、①〜③がない旨の特約を定めることが出来ます。事業用定期借地権の設定は、公正証書で行わなければなりません。

 

建物譲渡特約付借地権

 建物譲渡特約付借地権とは、借地権を消滅させるため、その設定後30年以上経過した日に、借地上の建物を借地権設定者(地主)に相当の対価で譲渡する旨の特約を定めた借地権をいいます。この特約は書面で行う必要はありません(口頭でも可)。

 

普通借地権

定期借地権

一般定期借地権

事業用定期借地権

建物譲渡特約付借地権

契約の存続期間

30年以上

50年以上

10年以上

50年未満

30年以上

更新

最初の更新は20年以上

2回目以降は10年以上

なし

なし

なし

土地の利用目的

制限なし

制限なし

事業用建物のみ

制限なし

契約方法

制限なし

書面による

公正証書に限る

制限なし

建物買取請求権

あり

なし

なし

建物の譲渡特約がある

契約期間終了時

原則として更地で返す

原則として更地で返す

原則として更地で返す

建物付で返す

 

 

一時使用目的の借地権

 一時使用のために借地権を設定したことが明らかな場合には、普通借地権に関する規定(存続期間、更新、建物買取請求権、建物の消滅と再築)や定期借地権等の規定は適用されません。

 

おわりに

 特殊な借地権は試験でも出題が多いため、表でまとめておいたので、ぜひご確認をお願いします。

 

 

【5分で納得】賃貸借

特に見てほしい方

☑︎宅建士試験を受験したい方

☑︎不動産関係の仕事をしている方

☑︎不動産に興味がある方

 

 

はじめに

 みなさんは賃貸でアパートに住んだことはありますか?僕は、アパートで一人暮らしをして、8年目になります。今回は人生で一度は経験する可能性がある賃貸借を解説していきます。

 

賃貸借

 賃貸借とは、賃料を支払って物の貸し借りをすることをいいます。

 

賃貸借の存続期間

 賃貸借の存続期間は20年を超えることができません。20年を超える期間を定めた場合は、20年に短縮されます。また、賃貸借契約は更新することができますが、更新後の期間も20年を超えることはできません。なお、期間の定めのない賃貸借も有効です。

 

賃貸借の終了

期間の定めのある賃貸借の場合

 期間の定めのある賃貸借は、原則として期間の満了をもって終了します。

 ただし、期間が満了した後も賃借人が賃借物の使用(又は収益)を継続している場合で、賃貸人がこれを知りながら異議を述べなかったときは、従前の賃貸借契約と同じ条件で更新されたものと推定されます。

 

期間の定めのない賃貸借の場合

 期間の定めのない賃貸借は、当事者はいつでも解約の申入れをすることができます。解約の申し入れがあったときは、土地の賃貸借については申し入れの日から1年経過後、建物の賃貸借については申し入れの日から3ヶ月経過後に終了します。

 

賃貸人・賃借人の権利義務

 賃貸人(貸主)及び賃借人(借主)の権利義務には、次のようなものがあります。

 

目的物の修繕

 賃貸人は、目的物について必要な修繕を行う義務を負います。また、賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人はこれを拒むことができません。

 

必要費と有益費

必要費

 必要費とは、目的物の現状を維持するために必要な支出をいいます。賃貸人は目的物について必要な修繕を行う義務を負うため、必要費は賃貸人が支出すべきものですが、賃借人が一時的に立て替えておくこともあります。この場合(賃借人が必要費を支出した場合)、賃借人は賃貸人に対して、直ちに必要費を償還請求することができます。

 

有益費

 有益費とは目的の価値を増加させるための支出をいいます。賃借人が有益費を支出したときは、賃貸借契約の終了時に、その価値の増加分が残っていれば、賃貸人は「賃借人が支出した金額」または「賃貸借の終了時に残存する価値の増加額」のいずれかを選択し、その額を賃借人に償還しなければなりません。

 

民法における賃借権の対抗要件

 民法において、不動産の賃借権は登記すれば第三者に対抗することができます。

 

賃借権の譲渡・賃借物の転貸

賃借権の譲渡・賃借物の転貸

 賃借権の譲渡は、賃借人が賃借権をほかの人に譲り渡すことをいいます。また、賃借物の転貸とは、賃借人が借りているものをほかの人に又貸しすることをいいます。

 

無断譲渡・無断転貸の禁止

 賃借人が賃借権の譲渡や転貸をするときは、賃貸人の承諾が必要です。賃借人が賃借権を無断で譲渡等した場合には、原則として賃貸人は契約を解除することができます。例外として、賃貸人に対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情がある場合は、賃貸人は契約を解除することはできません。

 

賃借権の譲渡・転貸の効果(承諾がある場合)

賃借権の譲渡の効果

 賃借人が賃借権を譲渡した場合には、譲受人が新賃借人となります(賃貸人と旧賃借人の関係は終了します)。

 

転貸の効果

 賃借人が賃借物を転貸した場合は、賃貸人と賃借人(転貸人)の関係は終了しません。従って、賃貸人は賃借人に対して賃料の請求を行ないます。賃借人が賃料を支払わない場合には、賃貸人は転借人に対して直接賃料を請求することができます(転借人は賃貸人に対して、直接義務を負います)。 なお、賃貸人が転借人に対して直接賃料を請求する場合には、「賃借料」と「転借料」のいずれか低い金額が限度となります。

 

敷金

敷金

 敷金とは賃借人が賃料を支払わなかった場合などに備えて、賃借人の債務の担保として、賃借人が賃貸人に差し入れる金銭をいいます。敷金は預り金の一種なので、賃借人の賃料未払い等がなければ、契約終了後に賃借人に返還されます。

 

敷金の返還時期

 敷金の返還は賃貸借契約が終了し、目的物を明け渡した後となります。

 

賃貸人の変更と敷金

 賃貸借の期間中に、賃貸借契約の目的物の所有者が変わった場合(オーナーチェンジの場合)、敷金に関する権利義務は自動的に新賃貸人に承継されます

 

賃借人の変更と敷金

 賃借権の譲渡があり、賃借人が変わった場合(借手チェンジの場合)、敷金に関する権利義務は原則として新賃借人に承継されません

 

おわりに

 賃貸をしたことある人は、過去の経験を思い出しながら、記事を読むと理解度が上がります。賃貸をしたことがない人も物と物を交換した経験があると思います。その経験を思い出しながら、読み進めてください。

【5分で納得】連帯債務

特に見てほしい方

☑︎宅建士試験を受験したい方

☑︎不動産関係の仕事をしている方

☑︎不動産に興味がある方

 

はじめに

 みなさんは、「連帯保証人だけにはなるなよ、、、」なんて聞いたことありませんか?私は、小さい頃、親から言われたことあります。

 今回は連帯債務、保証を解説していきます。

 

連帯債務

連帯債務

 連帯債務とは、同じ内容の債務について、複数の債務者が、各自独立して全責任を負うことをいいます。

 

債権者の請求

 債権者は、連帯債務の誰に対しても、同時または順次に、債務の全額または一部について支払いの請求をすることができます。

 

負担部分

 連帯債務者の負担部分は別段の定めがなければ均一。

 

弁済と求償
  • 連帯債務者の1人が全額を弁済した場合は、他の連帯債務者の債務も消滅します。
  • 上記の場合、弁済した債務者は、他の連帯債務者に対して、その負担分の支払いを求償できます。

 

連帯債務者間の影響

 連帯債務者の一人に生じた事由(絶対効の事由以外)は、原則として、他の債務者に影響を及ぼしません。これを相対効(相対的効力)といいます。なお、例外的に債務者連帯債務者の一人に生じた事由(相殺、更改、請求、時効の完成、免除、混同)が他の債務者に影響を及ぼす場合あり、これを絶対効(絶対的効力)といいます。

 

保証債務

保証

 保証とは、債務者が弁済できなくなった時に備えて、代わりに弁済してくれる人(保証人)を立てておくことをいいます。また、保証人が負っている義務を保証債務といいます。保証契約は、書面電磁的記録で行わなければ効力を生じません。なお、本来の債務者を主たる債務者主たる債務者が負っている、本来の債務を主たる債務といいます。

 

保証債務の性質

 保証債務には付従性、随伴性、補充性といった性質があります。

 

付従性

 保証債務は主たる債務が成立して初めて成立します。また、主たる債務が消滅すれば、それに伴って消滅します。このような性質を付従性といいます。

 

ポイント

  • 従たる債務者に総じた事由の効力は保証人にも及びます。

主たる債務者に時効の中断が生じたら、保証人にもその効力が及びます。

  • 保証人に生じた事由の効力は、原則として主たる債務者に及びません。

保証人に時効の中断が生じても、主たる債務者にはその効力が及びません。

 

随伴性

 保証債務は、主たる債務が移転するときはそれに伴って移転します。そのような性質を随伴性といいます。

 

補充性

 保証人は、主たる債務者が弁済しない場合のみ弁済すればよいとされます。これを保証債務の補充性といいます。補充性を担保するため、保証人には、催告の抗弁権と検索の抗弁権という2つの抗弁権が認められています。

 

催告の抗弁権

 債権者がいきなり保証人に弁済を請求して来たら、「まずはあの人(主たる債務者)に請求して」といえます。

 

検索の抗弁権

債権者が主たる債務者に請求した上で、保証人にも請求してきた場合には、保証人は主たる債務者に弁済する資力があること、容易に執行できる(現金などすぐに弁済できる資産を持っている)ことを証明すれば、「あの人(主たる債務者)、お金持っているから、まずはあの人の財産から弁済してもらって」といえます。

 

保証債務の範囲

 保証債務の範囲は、主たる債務者の負っている元本のほか、そこから生じる利息・違約金・賠償金などにも及びます。

 

保証人の求償権

 保証人が、債権者に対して(主たる債務)を弁済した時には、主たる債務者に対して求償することができます。

 

共同保証

 共同保証とは、一つの主たる債務について、複数の保証人が付くことをいいます。この場合、各保証人は主たる債務を均等に分割し、その分割部分についてのみ、保証債務を負います。これを分別の利益といいます。

 

連帯保証

連帯保証

 連帯保証とは、保証人が主たる債務者と連帯して債務を負う保証形態をいいます。

 

一般保証との違い

 連帯保証は、先ほど学習した保証(一般保証)よりも保証の負う責任が重くなります。一般保証との違いは次の通りです。

 

連帯保証人には催告の抗弁権がない

債権者がいきなり保証人に弁済を請求して来たら

一般保証人

 「まずはあの人(主たる債務者)に請求して」と言えます。

連帯保証人

 「まずはあの人(主たる債務者)に請求して」と言えません。

 

連帯保証人には検索の抗弁権がない

債務者が主たる債務者に請求した上で、保証人にも請求してきた場合

一般保証人

 一定のことを証明すれば、「あの人(主たる債務者)、お金持っているから、まずはあの人の財産から弁済してもらって」と言えます。

連帯保証人

 一定のことを証明しても、「あの人(主たる債務者)、お金持っているから、まずはあの人の財産から弁済してもらって」と言えません。

 

保証人には分別の利益がない

例えば、保証人がA、B、Cの三人で3000万円の債務を保証している場合

一般保証人

 1000万円ずつ保証債務を負います。

連帯保証人

 それぞれ3000万円の保証債務を負います。

 

連帯保証人に対する「請求」は、主たる債務者にも効力が及ぶ
  • 主たる債務者に生じた事由は、保証人(一般保証人、連帯保証人とも)にも効力が及びます。
  • 保証人に生じた事由は、原則として、主たる債務者には効力が及びません。ただし、例外として主債務を消滅させる行為は、主たる債務者にも効力が及びます。
  • 保証人に対する請求については

一般保証人に対する請求は、主たる債務者には効力が及びません。連帯保証人に対する請求は、主たる債務者にも効力が及びます。

 

おわりに

 連帯保証人は、忘れた頃に高額の請求がくるなど、恐ろしい事件に巻き込まれやすいので、くれぐれも無闇に連帯保証人にならないことをお勧めします。

【10分で納得】抵当権

特に見てほしい方

☑︎宅建士試験を受験したい方

☑︎不動産関係の仕事をしている方

☑︎不動産に興味がある方

 

 

はじめに

 今回は抵当権を解説していきます。

 

 

抵当権の基本

抵当権

 抵当権とは、土地や建物を債務の担保とし、債務弁済されない場合に、その土地や建物を競売にかけ、競落代金から債権者が優先して弁済を受ける権利(担保物権)をいいます。

 

ポイント

  • 抵当権は、債務者の不動産のほか、物上保証人の不動産に設定することもできます。
  • 抵当権は、不動産のほか、地上権や栄小作権にも設定することができます。
  • 抵当権を第三者に対抗するには、登記が必要です。

 

抵当権に関する用語

被担保債権

 抵当権で担保されている権利。

 

抵当権者

 抵当権を持っている人。

 

抵当権設定者

 自分の不動産に抵当権を設定した人。

 

抵当権の性質

付従性
  • 抵当権は被担保債権が存在して初めて成立します。
  • 被担保債権が消滅すれば、それに従って抵当権も消滅します。

 

随伴性

 抵当権は被担保債権が移転すると、それに伴って移転します。

 

不可分性

 抵当権は、被担保債権の全部が消滅するまで、抵当不動産の全部について効力を及ぼします。

 

上代位性

 抵当権は、抵当不動産が売却されたり、滅失等してしまった場合に、抵当不動産の所有者(抵当権設定者)が受け取るべき金銭等について行使することができます。

 

ポイント

  • 抵当権者が物上代位するには、抵当権設定者がその保険金等を受領する前に差押えしなければなりません。

 

抵当権の効力

抵当権の効力が及ぶ範囲

抵当権の効力が及ぶもの

備考

土地・建物

l  土地に設定した抵当権の効力は建物には及びません。

l  建物に設定した抵当権の効力は土地には及びません。

付加一体物

不動産に付加して一体となったもの。

例)立木、雨戸、ドアなど

(抵当権設定当時からある)

従物・従たる権利

従物

 主に付属しているが、独立性があり、独立して権利の対象となるもの。

例)畳、クーラーなど

 

従たる権利

 主物に附属した権利。

例)借地上の建物の借地権

 

l  抵当権設定後の従物・従たる権利には抵当権の効力は及びません。

抵当不動産の果実

被担保債権に不履行があった場合には、不履行後に生じた抵当不動産の果実にも抵当権の効力が及びます。

 

抵当権の順位

抵当権の順位

 一つの不動産に対して複数の抵当権を設定することができます。この場合の抵当権の順位は、登記の前後によって決まります。

 

抵当権の順位の変更

 複数の抵当権者がいる場合、各抵当権者の合意によって、抵当権の順位を変更することが出来ます。その際、利害関係を有する人がいる時には、その利害関係者の承諾が必要です。なお、抵当権の順位の変更は、登記しなければ効力を生じません。

 

優先弁済を受けられる額

 抵当権者は、元本のほか利息についても優先弁済を受けられます。ただし、後順位の抵当権者がいる場合には、利息について最後の2年分だけとなります。

 

抵当不動産の第三取得者がいる場合

抵当不動産の第三取得者

 抵当不動産の第三取得者とは抵当権の付いた不動産を取得した人のことをいいます。

 

第三取得者が抵当権を消滅させる方法

 抵当権が実行されてしまうと、せっかく不動産を取得しても他人(買受人)の所有物となってしまいます。これを防ぐため、第三取得者は、以下の方法によって、抵当権を消滅させることができます。

 

弁済

 第三取得者が、債務者の借金を全額弁済すれば、抵当権は消滅します。

 

ポイント

  • 債務者の意思に関係なく、第三取得者は弁済することができます。

 

代価弁済

 第三取得者が、抵当権者の請求に応じて、抵当権者に代価を支払えば、抵当権は消滅します。

 

ポイント

  • 債務者の同意・承諾は不要です。

 

抵当権消滅請求

 第三取得者が抵当権者に対して、「一定の金額を支払う代わりに抵当権を消滅して」と請求し、抵当権者がそれを承諾した場合は、抵当権は消滅します。

 

請求できる期限

 抵当権実行としての競売による差押えの効力発生前に請求しなければなりません。

 

抵当権者が承諾したくないとき

 抵当権者は、抵当権消滅請求を承諾しないときは、第三取得者から請求を受けた後2ヶ月以内に、抵当権を実行して、競売の申し立てをすれば、抵当権消滅請求の効果は生じません。

 

ポイント

  • 債務者の同意・承諾は不要。
  • 登記をした各債権者に対し、必要事項を記載し、書面を送付する必要があります。
  • 債務者や保証人は抵当権消滅請求をすることができません。

 

法定地上権

法定地上権

 例えば、土地と建物を所有するBがAからお金を借り、担保として土地にAの抵当権を設定したとしましょう。その後、抵当権が設定され、Cが土地を競落し、土地の所有者となったとします。そうすると、当初は「土地の所有者=建物の所有者=B」であったものが、「土地の所有者=C、建物の所有者=B」となります。このような場合、自動的にBに地上権(その土地を使える権利)を与えて、Bがその土地を使えるようにしています。これを法定地上権といいます。

 

法定地上権の成立要件

  • 抵当権設定当時、土地の上に建物が存在すること。
  • 抵当権設定当時、土地の所有者と建物の所有者が同一であること。
  • 土地・建物の一方または双方に抵当権が設定されていること。
  • 抵当権の実行(競売)により、土地の所有者と建物の所有者が別々になること。

 

一括競売

 例えば、Bの土地(更地)にAの抵当権を設定した後、Bが建物を建てたとしましょう。そして、抵当権が実行され、Cが土地を競落し、土地の所有者となったとします。この場合、法定地上権の成立要件を満たせていない(抵当権設定当時に建物はまだないので、法定地上権の成立要件を満たさない)ので、Bの法定地上権は成立しません。そうすると、Bはせっかく建てた建物を取り壊さなればなりません。そこで、このような場合には、抵当権者は土地と建物を一括して競売にかけることができます。ただし、抵当権者が優先弁済を受けられるのは、土地の対価についてのみです。

 

ポイント

  • 抵当権設定当時、更地であり、抵当権設定後にその土地に建物を築造している場合に、一括競売が認められます。
  • 抵当権者が優先弁済を受けられるのは、土地の対価についてのみです。

 

賃借権との関係

抵当権設定登記後の賃借権

 抵当権設定登記後に設定された賃借権については、原則として、抵当権者及び競売人による買受人に対抗することができません。

 

抵当権設定登記前の賃借権

 対抗要件を備えていれば、賃借人は賃貸借を抵当権者等に対抗することができます

 

抵当権設定登記後の賃借権

原則

 対抗要件を備えていたとしても、賃借人は賃借件を抵当権者等に対抗できません

 

例外

 すべての抵当権者が同意し、その同意の登記がある場合には賃借権を対抗できます

 

ここでいう対抗要件

土地の賃貸借の場合

 土地賃借権の登記または借地上に事自己を所有者として登記した建物の所有。

 

建物の賃貸借の場合

 建物賃借権の登記又は建物の引渡し。

 

建物の賃借人の保護

 前記のように、抵当権設定登記後の賃借権は原則として、抵当権者等に対抗することができません。そのため、抵当権が設定された建物を借りていた人(建物の賃借人)は、抵当権が実行されると、買受人に建物を明け渡さなければなりません(抵当権者等に賃借権を対抗できない場合)。しかし、「直ちに出ていけ」というのは賃借人にとって、あまりにも酷なため、一定の場合には、買受人が建物を買い受けた時から6ヶ月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡さなくてもよいことになっています。

 

おわりに

 抵当権は宅建試験で狙われるところです。簡単に理解することはできないと思いますが、やはり、具体例を書き出しながら、読み進めると理解しやすいです。

【5分で納得】物権変動

特に見てほしい方

☑︎宅建士試験を受験したい方

☑︎不動産関係の仕事をしている方

☑︎不動産に興味がある方

 

 

はじめに

 今回は物権変動を解説していきます。みなさんがつまずくテーマの一つなので、わからなくなったら、先へ進んで、ざっくり理解していってください。

 

物権と債権

 物権とは、物を直接的・排他的に支配する権利をいい、物件には所有権、地上権、抵当権などがあります。

 

物権変動と登記

 不動産に関する物権の変動(所有権の移転、抵当権の設定など)は、登記がなければ、原則として、三者に対抗することができません。

 

ポイント

  • 当事者間では登記がなくても、物権の変動を対抗できます。
  • 三者は善意・悪意を問いません。
  • 登記は先にした者が勝ちます。

 

例外

 下記の者に対しては、登記がなくても所有権を対抗できます。

  • 詐欺・強迫によって登記を妨げた者
  • 他人のために登記の申請をする義務がある者
  • 背信的悪意者
  • 無権利者
  • 不法占有者

要するに、明らかな悪意者には登記がなくても対抗できます。

 

取得時効と登記

時効完成時の当事者

 時効取得者(時効により所有権を取得した者)は、時効完成時に登記がなくても、元の所有者に対して「自分が所有者である」と所有権を主張できます。

 

時効完成前に所有権を取得した第三者と時効取得者

 時効取得者は、時効完成時に登記がなくても、時効完成前に所有権を取得した第三者に対して「自分が所有者である」と所有権を主張できます。

 

時効完成後に所有権を取得した第三者と時効取得者

 時効完成後に所有権を取得した第三者と時効取得者は対抗関係にあるので、先に登記をした方が所有権を主張できます。

 

取消しと登記

取消し前に所有権を取得した第三者と取消権者

 取消権者(契約を行為能力の制限や詐欺・強迫等を理由に取り消した者)は登記がなくても、取消し前に所有権を取得した第三者に対して所有権を主張できます。なお、制限行為能力者が行った契約が取り消された場合や強迫による契約が取り消された場合は、第三者が善意でも悪意でも取消権者は所有権を主張できますが、詐欺による契約が取り消された場合は、第三者善意の時には取消権者は所有権を主張できません。

 

取消後に所有権を取得した第三者と取消権者

 取消後に所有権を取得した第三者と取消権者は対抗関係にあるので、先に登記をした方が所有権を主張できます。

 

解除と登記

解除

 解除とは、契約が成立した後に、当事者のうち片方(解除権者=解除権を有する者)の一方的な意思表示で契約の効果を消滅させ、はじめから契約がなかったものとすることをいいます。

 

解除前に所有権を取得した第三者と解除権者

 契約が解除される前に所有権を取得した第三者がいる場合、解除前に所有権者を取得した第三者と解除権者は、先に登記をした方が所有権を主張できます。

 

解除後に所有権を取得した第三者と解除権者

 解除後に所有権を取得した第三者と解除権者は対抗関係にあるので、先に登記をした方が所有権を主張できます。

 

賃貸不動産の譲渡と登記

 賃貸不動産(賃貸マンションなど)の売買があった場合、賃貸不動産の買主は、登記がなければ、当該不動産の賃貸借人に対して所有権を主張することができません。

 

おわりに

 一回で理解するのは難しいテーマに入ってきました。頭に全然入ってこない時は一度手を止めて、時間が経ってから、記事を読むことをおすすめします。

 

【5分で納得】売主の担保責任、手付

特に見てほしい方

☑︎宅建士試験を受験したい方

☑︎不動産関係の仕事をしている方

☑︎不動産に興味がある方

 

 

はじめに

 今回は売主の担保責任、手付を解説していきます。

 

売主の担保責任

売主の担保責任

 売買の目的物に何かしらの欠陥(買った家が雨漏りするなど)がある場合、売主は、たとえ故意・過失がなくても、買主に対して責任を負います(無過失責任)。これを売主の担保責任といいます。

 

売主の担保責任の種類

  • 瑕疵担保責任
  • 数量不足
  • 全部他人物売買
  • 一部他人物売買
  • 地上権等が設定されていた場合
  • 抵当権等が設定されていた場合

 

ポイント

  • 売主は故意・過失がなくても、瑕疵について責任を負います。

 

瑕疵担保責任

 瑕疵は傷や欠陥のことをいいます。

 売買の目的物に隠れた瑕疵があった場合、善意の買主は、瑕疵を知った時から1年以内に売主に対して以下のことができます。

 

  • 損害賠償請求
  • 瑕疵のために契約の目的を達成することができないときは契約を解除

 

数量不足

 例えば、「1㎡30万円で100㎡の土地だから代金は3,000万円」として売買契約を結んだにもかかわらず、実際に土地の面積を測ってみたら90㎡しかないという場合、善意の買主は売主に対して以下のことができます。

 

全部他人物売買

 売買の目的物が他人のものであったとしても、その売買契約は有効となります。従って、売主はその物の所有権を取得して買主に移転する義務を負います。売買の目的物の全部が他人の物であり、売主がその物の所有権を買主に移転できなかった場合には、買主は売主に対して以下のことができます。

 

善意の買主は

  • 契約を解除できます。
  • 損害賠償請求ができます。

 

悪意の買主は

  • 契約を解除できます。

 

一部他人物売買

 売買の目的物のうち一部が他人の物であり、売主がその部分の所有権を買主に移転できなかった場合には、買主は売主に対して以下のことができます。

 

善意の買主は、その事実を知った時から1年以内に

  • 代金の減額を請求できます。
  • 「残った部分だけだったら最初から買わなかったよ」という場合には契約を解除できます。
  • 損害賠償請求ができます。

 

悪意の買主は契約の時から1年以内に

  • 代金の減額を請求できます。

 

地上権等が設定されていた場合

 買った土地に地上権等が設定された場合、善意の買主はその事実を知った時から1年以内に売主に対して以下のことができます。

 

善意の買主はその事実を知った時から1年以内に

  • 契約の目的を達成することができないときは契約を解除できます。
  • 損害賠償請求ができます。

 

抵当等が設定されていた場合

抵当権が実行されたとき

 買った土地に抵当権が設定されており、その後、抵当権が実行されて買主が所有権を失ったときは、買主は売主に対して以下のことができます。

 

抵当権が実行されて買主が所有権を失ったとき、買主は、

  • 契約を解除できます。
  • 損害賠償請求ができます。

 

買主が費用を支出して所有権を保存したとき

 買った土地に抵当権が設定されているのが嫌で、買主が費用を支出して抵当権を消滅させ、所有権を保存したときは、買主は売主に対して以下のことができます。

 

買主が費用を支出して所有権を保存したとき、買主は、

  • 費用の償還請求ができます。
  • 損害賠償請求ができます。

 

担保責任を負わない旨の特約

 当事者間で売主の担保責任を負わない旨の特約を結んだ時には、原則として売主は担保責任を負いません。ただし、一定の場合には(特約を結んでいたとしても)売主は担保責任を免れることはできません。

 

原則

 当事者間で担保責任を負わない旨の特約を結んだときは、売主は担保責任を免れます。

 

例外

 売主が事実(瑕疵であること等)を知っていたのに、売主に言わなかった場合などは、売主は担保責任を免れることはできません。

 

手付

手付

 手付とは、売買契約をした時に買主が売主に交付する金銭のことをいいます。手付には証約手付や解約手付などがありますが、どの手付と定めがなかった時には解約手付と推定されます。

 

解約手付による契約の解除

 解約手付は、契約成立後、相手方に債務不履行がなくても、自己都合で契約を解除できる趣旨で交付される手付をいいます。

 解約手付による契約の解除のポイントをまとめると、次の通りです。

 

  • 手付による契約の解除が出来るのは、相手方が履行に着手するまでの間

履行の着手

売主なら物件の引き渡しなど。

買主なら代金、中間金の支払いなど。

  • 買主は手付を放棄すれば契約を解除できます。売主は手付の倍額を償還すれば契約を解除できます。
  • 手付によって契約が解除されたときは、損害賠償請求はできません。

 

おわりに

 買主は瑕疵担保責任、数量不足、一部他人物売買、地上権等において、善意だった場合、「知ったときから1年以内」であれば、権利行使をすることができます。このように、権利行使に期間が設定されているものにも注意が必要です。

【5分でも納得】弁済、相殺、債権譲渡

特に見てほしい方

☑︎宅建士試験を受験したい方

☑︎不動産関係の仕事をしている方

☑︎不動産に興味がある方

 

 

はじめに

 今回は弁済、相殺、債権譲渡を解説していきます。しっかりと具体例をイメージして、読んでいってくださいね。

 

弁済

弁済

 弁済とは、債務者が約束どおりの給付をして、債権を消滅させることをいいます。

 

弁済できる者

 弁済すると債権は消滅しますが、弁済は債務者のほか、第三者が行うこともできます。ただし、債務者が弁済に対して反対の意思がある場合には、債務者と利害関係のない第三者は債務者に代わって弁済をすることができません。

 

 

利害関係のある第三者

Ex)物上保証人など

利害関係のない第三者

Ex)兄弟、友人など

債務者に反対の意思がない場合

弁済できる

弁済できる

債務者に反対の意思がある場合

弁済できる

弁済できない

 

ポイント

  • その債務者本人が弁済しないと意味がない債務については、第三者が弁済することはできません。

 

弁済を受ける者

 弁済を受ける権利がある者(債権者やその代理人など)に行われた弁済は有効となります。一方、弁済を受ける権利がない者に行われた弁済は無効となります。ただし、弁済者が以下の第三者に、善意無過失で行った弁済については有効となります。

  • 債権の準占有者
  • 受取証書の持参人 Ex)領収証

 

弁済による代位(代位弁済)

 保証人など債務者以外の人が債務者に代わって債権者に弁済した場合、債権者の保有していた「債務者に対する債権」は、弁済した人(保証人など)に移ります。これを弁済による代位(または代位弁済)といいます。弁済による代位にあたり、債権者の承認が必要かどうかは弁済した人が弁済をすることについて正当な利益を有するものであるかどうかによって異なります。

 

弁済をするにつき、正当な利益を有する者が弁済した場合

 債権者の承諾なしに債権者に代位することができます。

 

弁済するにつき、正当な利益を有しない者が弁済した場合

 債権者の承諾を得て債権者に代位することができます。

 

弁済をするにつき、正当な利益を有する者

 保証人、連帯保証人、連帯債務者、物上保証人、抵当不動産の第三取得者など。

 

代物弁済

 債権者の承諾がある場合には、債務者は、本来の給付の代わりに別のもので弁済することができます。これを代物弁済といいます。

 

相殺

相殺

 例えば、AがBに対して、10万円を貸しており、BはAに8万円を貸している場合、AまたはBは「10万円のうち、8万円はなかったことにしようよ」ということができます。この場合、BはAに対して差額の2万円を支払えばよいことになります。これを相殺といいます。

 

自動債権と受動債権

 相殺において「相殺しようよ」と言った側の債権を自動債権、「相殺しようよ」と言われた側の債権を受動債権といいます。

 

相殺できる場合

  • 当事者双方がお互いに債権を有していること
  • 双方の債権が有効に成立していること

いずれか一方の債権が存在しない場合には相殺できない。

  • 双方の債権の目的が同種であること

金銭債権と金銭債権は相殺できます。金銭債権と土地引渡請求権は相殺できません。

  • 双方の債権が弁済期にあること

ただし、判例では自動債権の弁済期が到来していれば、受動債権の弁済期が到来していなくても、自動債権を有する側から相殺を主張することができるとしています。

 

相殺できない場合

  • 当事者間で相殺禁止特約がある場合
  • 不法行為(自動車事故など)によって生じた損害賠償請求権が受動債権である場合
  • 自動債権が受動債権の差押後に成立したものである場合

 

債権譲渡

債権譲渡

 土地や建物等と同様に、債権も原則として、譲受人と譲渡人の合意によって、譲渡することができます。なお、譲渡禁止の特約がある場合の債権譲渡は、原則として、無効となります。ただし、譲受人が善意無過失であれば、この債権譲渡は有効となります。

 

債権譲渡を債務者に対抗するための要件

 債権の譲受人が、債務者に対して債権の譲渡があったことを対抗するためには、以下の要件を押さえておく必要があります。

 

債務者に対して債権の譲渡があったことを対抗するには

 以下のいずれかが必要

  • 譲渡人から債務者に対する通知
  • 債務者の承諾

 

ポイント

  • 債務者が異議をとどめずに承諾した場合、譲渡人に対抗できることがあったとしても、承諾以降は、債務者は善意無過失の譲受人にそれを対抗することができません。

 

債権譲渡を債務者以外の第三者に対抗するための要件

 債権譲渡があったことを債務者以外の第三者に対抗するためには、以下の要件を備えておく必要があります。

 

債務者以外の第三者に対して債権の譲渡があったことを対抗するには

 以下のいずれかが必要

  • 確定日付のある証書による譲人から債務者への通知
  • 確定日付のある証書による債務者の承諾

 

ポイント

  • 二重譲渡の場合で両方の譲渡について確定日付のある証書がある時には到達の早い方が優先されます。

 

おわりに

 弁済、相殺、債権譲渡はAさん、Bさんと絵を書きながら、読み進めていくと理解が進むと思います。常に頭で具体例をイメージをしながら、ゆっくり確認していってください。

【苦手を克服】危険負担

特に見てほしい方

☑︎宅建士試験を受験したい方

☑︎不動産関係の仕事をしている方

☑︎不動産に興味がある方

 

 

はじめに

 みなさんは友達にあげようと思っていたものが、実はなくしてしまっていたり、壊れていたりしていた経験はありますか?僕は友達に日本酒をあげようとしたら、瓶を割ってしまった経験があります。

 今回は危険負担を解説していきます。

 

危険負担

 例えば、A(売主)とB(買主)で建物の売買契約を締結し、契約後に建物が消滅したとします。この場合において、建物の滅失原因が売主(A)の故意・過失によるものだとするならば、売主(A)の債務不履行となり、買主(B)は契約の解除や損害賠償を請求することができます。

 一方、建物の滅失原因が、天災や第三者による放火など、売主(A)の故意・過失によらないものだとするならば、その不利益は売主(A)と買主(B)のどちらが負担すべきかということが問題になります。これを危険負担といいます。

 

不動産取引の危険負担

 前記の例において、建物が天災等によって滅失した場合、売主(A)の建物引渡債務は消滅します。また、この場合、売主(A)に故意・過失がないため、売主(A)は債務不履行責任を負いません。

 では、買主(B)の代金支払債務はどうなるのかというと、これは原則として消滅しません。ですから、買主(B)は天災等によって目的物が消滅した場合、代金を支払わなければならないのです。つまり、売買契約成立後、不動産が天災や放火等、売主(A)の故意・過失によらない事由により消滅・損傷した場合には、原則として、その不利益は買主(B)が負担する事になるのです。

 

原則

 売買契約後に、売主の故意・過失によらず目的物が滅失・損傷した場合には、買主がその不利益を負担します。

 

例外

 停止条件付売買契約の場合は、売買契約後、停止条件の成就前に売主の故意・過失によらず、目的物が滅失した時は、売主がその不利益を負担します。

 

ポイント

  • 買主が代金を支払わなければならない場合において、たとえ目的物の一部が損傷した時でも、買主は代金の金額を支払わなければなりません。
  • 危険負担について、当事者間で特約をすることができます。

 

おわりに

 不動産取引における危険負担は、売主の故意・過失がなく、目的物が消滅した場合、買主は代金を支払わなければならない取扱いになりますが、一般の取引の場合には目的物が消滅した場合には、買主は代金を支払わなくてよくなりますので、注意が必要です。

【5分で納得】債務不履行、解除

特に見てほしい方

☑︎宅建士試験を受験したい方

☑︎不動産関係の仕事をしている方

☑︎不動産に興味がある方

 

 

はじめに

 みなさんは頼まれたことができなかった経験ありますか?僕は飲み会のお店の予約を頼まれて、忘れてしまったことあります。

 今回は債務不履行と解除を解説していきます。

 

不動産の売買契約における債務

 不動産の売買契約において、債務とは、買主の代金を支払う債務(代金支払債務)及び売主の不動産を引き渡す債務(不動産引渡債務)をいいます。

 

債務不履行

 債務不履行とは、債務者が債務の(本旨に従った)履行をしないことをいいます。債務不履行には履行遅滞履行不能があります。

 

履行遅滞

履行遅滞

 履行遅滞とは、債務を履行できるにも関わらず、決められた時期に履行しないことをいいます。

 

履行遅滞の要件

 次の要件を満たした場合に、履行遅滞となり、債権者は債務者に対して損害賠償の請求をすることができます。また、契約を解除することもできます。

  • 履行が可能なのにもかかわらず、履行期を過ぎても履行しない。

期限の種類

履行期

確定期限のある債務

期限が到来した時。

不確定期限付債務

債務者が期限到来を知った時。

期限の定めがない債務

債務者が履行の請求を受けた時。

 

  • 債務者の責めに帰すべき事由があること。

責めに帰すべき事由

 債務者に故意(わざ)とまたは過失(ミス)がある場合。

 

  • 債務者に同時履行の抗弁権がないこと。

同時履行の抗弁権

 双務契約の当事者は、相手方が履行の提供するまでは自分の債務の履行を拒むことができるとする権利。

 

履行不能

履行不能

 例えば、売り渡すつもりの建物が、売主の責任による火事で燃えてなくなってしまった場合、その建物を買い主に引き渡すことができません。このように、債務を履行することが不可能になった状態を履行不能といいます。

 

履行不能の要件

  • 契約時には履行が可能であったものが、不可能となること。
  • 債務者の責めに帰すべき事由があること。

 

損害賠償の請求

 債務不履行に対して、債権者は債務者に対して、損害賠償の請求をすることができます。

 

損害賠償の原則

 損害賠償は、原則として金銭によって行います。また、債務不履行に関して、債権者にも過失があった場合は、それを考慮して損害賠償の責任及び損害賠償額を定めます。これを過失相殺といいます。

 

損害賠償額の予定

 損害賠償額は、契約の当事者間であらかじめ決めておくことが出来ます。これを損害賠償額の予定といいます。

 

損害賠償額の予定のポイント

  • 損害賠償額の予定がされると、実際の損害額がいくらであれ、予定した金額が損害賠償額となります。
  • 損害賠償額の予定がされると、たとえ裁判所でも、その額を増減することはできません。
  • 損害賠償額の予定は、契約と同時に行う必要はないが、すでに損害が発生した後に予定することはできません。
  • 違約金は、債務不履行による損害賠償額の予定と推定します。

 

金銭債務の特則

 金銭債務とは、代金支払債務など金銭を支払う義務をいいます。

 

  • 金銭債務には履行不能はありえないので、債務不履行履行遅滞となります。
  • 金銭債務については、債務者に故意・過失がなくても債務不履行が成立します。
  • 債権者は損害の証明をせずに、損害賠償を請求することができます。
  • 損害賠償の額は法定利率(年5%)によって計算します。

 

契約の解除

契約の解除

 契約の解除とは、契約が成立した後に、当事者のうち片方(解除権者=解除権を有する者)の一方的な意思表示で、契約の効果を消滅させ、始めから契約がなかったものにすることをいいます。

 

契約の解除のポイント

  • 一旦解除の意思表示をしたら撤回はできません。
  • 解除権者が複数いる場合は、解除権者全員で解除の意思表示をします。
  • 解除権者の相手方が複数いる場合は、解除権者は相手方全員に解除の意思表示をしなければなりません。

 

債務不履行による契約の解除

 履行遅滞の場合も、履行不能の場合も、契約の解除ができますが、解除の要件が異なります。

 

履行遅滞の場合

 債権者は相当の期間を定めて履行を催告し、その期間に債務者から履行がない場合に、契約を解除することができます。

 

履行不能の場合

 債権者は催告なしに直ちに契約を解除できます。

 

解除の効果

 契約が解除されると、その契約者は最初からなかったものとなります。

 

  • 契約が解除されたときは、各当事者は現状回復義務を負います。
  • 契約を解除した場合でも、解除権者は損害が生じていれば、損害賠償請求をすることができます。

 

おわりに

 契約を解除したら、お互いに契約前の状態に戻す必要があり、金銭の返還の場合は金銭を受領した時からの利息をつけて返し、不動産の返還の場合は使用料相当額を支払うという点も抑えておいてください。