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流通の機能と日本的商慣行

特に見てほしい方

☑︎食品関係で仕事をしている方

☑︎健康管理に興味がある方

☑︎食生活アドバイザー検定を受ける方

 

 

はじめに

 みなさんはスーパーマーケットに並ぶ食材を見て、どのように食材がその場所まで運ばれてきたかを考えたことはありますか?

 今回は流通機能と日本独特な商慣行を解説していきます。

 

流通の機能

流通

 生産された商品が生産者から消費者に渡るまでの一連の経済活動全般を流通といいます。流通の起点となる生産者とは、製造業者(メーカー)、農林漁業者、鉱業者などのことをいい、流通の終点となる消費者(最終購買者)には一般消費者(家計消費者)のほか、飲食業者やホテルなどの業務用購買者、再生産のために原材料を再調達する製造業者等が含まれます。

 社会的分業の発達した今日では、生産者と消費者の間に人的・空間的・時間的な隔たりが存在します。この隔たりを埋めることが流通の基本的役割です。

 

流通の担い手

 生産者と消費者の中間にあって、商取引活動などを行う卸売業者小売業者を総称して流通業者といいます。物理を担当する運送業者や倉庫業者も広い意味では、流通業者に含まれますが、一般的には物流業者として区別します。

 卸売りとは、生産者から商品を買い付けて小売業者に売ることをいい、卸売業者は生産者に近い方から一次卸、二次卸と呼ばれます。これに対して、小売りとは、商品を消費者に対して販売することをいいます。小さな個人商店だけでなく、大規模なデパートやスーパーマーケットなども小売店です。

 

流通の機能

4つの流通の機能

物流機能

商品を、生産地から消費地まで輸送する、保管する、仕分けする、梱包するといった、物理的に商品を流通させる機能

 

商流機能

商品を生産者から消費者まで、売買などによって取引する機能

 

情報伝達機能

「売れ筋/死に筋」といった販売状況や新商品に関する情報などを提供する機能

 

金融機能

商品代金の立て替えや回収する機能

 

流通経路

 商品が生産者から消費者に至るまでの道筋のことを流通経路といいます。

 

間接流通

 生産者と消費者の間に卸売業者や小売業者などの流通業者が存在する場合です。

 

直接流通

 卸売業者や小売業者などが介在せず、生産者が直接消費者に販売する場合です。産地直送やインターネットによる信販等が急速に発展しています。

 

メーカー主導から小売主導へ

 製造業者(メーカー)が自社商品を販売しやすくするために、卸売業者や小売業者に関係の強化を求めることを流通の系列化といいます。生産者から販売者までの基盤を強固にできることから、これまで日本の多くのメーカーが行ってきました。

 しかし、近年大型食品スーパーなど小売企業の現場では、メーカー別ではなく、生活提案型の売り場作りが推進され、販売力を発揮して価格主導権を握るなどメーカーの影響力が次第に弱まりつつあります。

 また、商品の品揃えや価格設定が制限される流通の系列化に代わり、メーカー同士、卸売業者同士、小売業同士といった業界再編成の動きが強ま待っています。

 

日本的な商慣行

 日本にはメーカーや流通業者の利益を保護するための独特な商慣行があります。しかし、消費者にとって不利益となるものが多く、海外からも閉鎖的で弊害が大きいとして、その見直しが求められています。主なものを見ていきます。

 

一店一帳合制

 メーカーが卸売業者に対し、小売業者を指定したり、小売業者に特定の卸業者以外と取引させないようにしたりすることです。系列の強化が目的です。

 

建値制

 メーカーが自社商品の販売価格を決定する制度で、適正と思う価格をメーカー希望小売価格として設定します。これを基準に卸売業者、小売業者の仕入れ価格が設定されるため、卸売・小売業者とも自由に価格決定ができません。最近では、建値制を廃止し、オープン価格制を導入するメーカーが増えています。

 なお、メーカーが卸売業者や小売業者に販売価格を支持し強制した場合は再販売価格維持行為にあたり、独占禁止法違反となります。ただし、著作権物については例外的に再販売価格維持行為が認められており、これを再販制度(再販価格維持制度)といいます。

 

リベート

 メーカーが自社商品の売上高に応じて、卸売業者や小売業者などに正当な売買差益以外に支払う謝礼金のことをいいます。「キックバック」または「割戻し」などとも呼ばれます。目的や支払いの基準が非常に不明確であると批判されています。

 

派遣店員制度

 メーカーが自社製品を優先的に販売したり、直接顧客のニーズを汲み取る目的で、自社の社員を小売店に販売要員として派遣することをいいます。小売店側は人件費の削減や商品知識を持った店員の活用ができますが、売り場の主導権をメーカー側が握ってしまい、販売のノウハウを奪うといった例外も見られます。

 

抱合わせ販売

 売れ筋商品に売れない商品を添付し、両方の商品を買わないと販売しないことをいいます。取引の相手に不当な不利益を与えるような場合、不公平な取引方法として独占禁止法違反になります。

 

販売協力金

 小売業者が卸売業者やメーカーに対して売り場の改装費や催事、広告その他の費用をイベント料や宣伝費として要求するものです。

 

おわりに

 メーカーや流通業者は市場競争に生き残っていくために様々な利益の獲得方法をおこなってきました。食の流通を見るだけでも、どのように経済が回っているのかが少しわかったと思います。どうすれば、もっと経済が最適化するのかを一緒に考えていきましょう。