【5分で納得】消費生活と環境
特に見てほしい方
☑︎食品関係で仕事をしている方
☑︎健康管理に興味がある方
☑︎食生活アドバイザー検定を受ける方
はじめに
食生活を楽しく送るためには、地球環境資源のことも考えなくてはなりません。食べ残しやポイ捨てなどの無責任な行動がきっかけで、環境資源を破壊する社会問題に発展します。今や、世界的にゴミの問題が深刻化しています。
今回は現代社会に非常に重要なテーマである消費生活と環境を解説していきます。
循環型社会の実現に向けて
循環型社会と3つのR
私たちの社会は大量に生産し消費することによって発展してきましたが、それと同時に廃棄物が増え続け、環境への影響が大きな社会問題となっています。
食品廃棄物とは、食品を製造・加工する過程で捨てられるゴミ、食べ残しや売れ残って捨てられたゴミ、廃棄された食用油などをいいます。日本の場合、毎年、国内で捨てられている食品廃棄物の約半分を家庭からのゴミが占めています。
企業では、食品ゴミを堆肥や肥料として再利用する、飲食店チェーンでは缶や発泡スチロールの容器を使わないなどの努力をしています。
生ごみの場合、大量に土に戻すと急速に分解が進んでCO2(二酸化炭素)が発生して、土の中の微生物に悪影響を与える恐れがあります。これを防ぐには、循環型社会を目指して家庭でもゴミを減らす意識を高めていくことが必要になります。
次の3つのRは、限りある資源を上手に使い回し、環境に与える負担を小さくする循環型社会の実現のための具体的な取り組みです。
Reduce(リデュース)=発生抑制、減量
廃棄物の発生抑制、つまりゴミを減らすことです。部品を交換すれば、長期間使用できる製品を作るなど、商品寿命を伸ばすこともリデュースです。
Reuse(リユース)=再使用
使用済み製品を原型のまま繰り返し使用することをいいます。ビールや日本酒の瓶のようにメーカーに回収されて何度も使用されるリターナーブルびんなどはその代表例です。ビール瓶については、預かり金の払い戻し(デポジット制)も行なわれています。また、自分が使わなくなったものをフリーマーケットで他人に譲ることもリユースにつながります。
Recycle(リサイクル)=再資源化、再利用
リデュースやリユースをしても出てしまう廃棄物は資源として再生利用します。例えば、ペットボトルは細かく砕かれて繊維製品などの原材料として利用されています。
ゼロエミッション
循環型社会の構築を目的として、あらゆる産業から排出される廃棄物を、ほかの産業の原材料として活用するなどによって廃棄物をなくそうとする考え方をゼロエミッションといいます。ただし、一般的には、ここの工場から排出される廃棄物をゼロにする取り組みを指す場合もあります。
個別物品の特性に応じた規制
容器包装リサイクル法
正式には「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」といい、「容リ法」とも略されます。家庭からでされるごみのうち、容量で約60%、重量で約20%を占める容器包装廃棄物のリサイクルシステムの構築を目的として制定されました。
容リ法の対象物
容リ法では、容器又は包装のうち中身の商品を消費したり、分離したりした際に不要となるものを「容器包装」と定義しています。したがって、次のものは容リ法の対象になりません。
容リ法の対象外となるもの(例)
中身が「商品」でないもの |
l 手紙やダイレクトメールを入れた封筒。 l 景品を入れた箱や紙袋。 |
「商品」ではなくサービスの提供に使うもの |
l レンタルビデオ店の貸出用の袋。 l クリーニングの袋。 l 宅配便の袋や箱。 |
分離しても不要にならないもの |
l 音楽用CDのプラスチックケース。 l 楽器屋カメラの専用ケース。 l 日本人形を飾るガラスケース。 |
対象となる「容器包装」は次の8品目
事業者に再商品化(リサイクル)義務があるもの
- ガラス瓶
- PETボトル
- 紙製容器包装
- プラスチック製容器包装
事業者に再商品化(リサイクル)義務がないもの
- アルミ缶
- スチール缶
- 紙パック
- 段ボール
消費者・市町村・事業者の役割分担
容器包装廃棄物の処理について、従来は市町村だけが全面的に責任を担ってきましたが、容リ法においては消費者が分別して排出し、市町村が分別収集し、事業者(特定事業者)が再商品化(リサイクル)するという3社による役割分担が義務付けられました。この事業者には、容器の製造業者だけでなく、容器包装を用いて中身の商品を販売する事業者も含まれます。
食品リサイクル法
正式には「食品循環資源の再利用等の促進に関する法律」といいます。食品廃棄物等の発生を抑制するとともに、食品循環資源の再利用を促進することによって、環境への負荷を軽減しながら、持続的な発展ができる循環型社会の構築を目指します。
食品廃棄物等
製造調理過程で生じる加工残渣で食用に供することが出来ないものや、食品の流通過程または消費段階で生じる売れ残り、食べ残しなどをいいます。
中心的な対象者=食品関連事業者
食品関連事業者が自らまたは再利用事業者に委託して、再利用等の目標を達成する責任を負います。
食品関連事業者
食品の製造・加工業者 |
食品メーカーなど |
食品の卸売・小売業者 |
スーパー、コンビニなど |
飲食店ほか食事の提供を伴う事業者 |
レストラン、ホテル・旅館、結婚式場など |
「食品リサイクル法」に規定されている食品関連事業者の責務として、次の3項目が挙げられています。
食品関連事業者の責務
発生抑制
食品廃棄物などの発生を未然に抑制する。
再生利用
食品循環資源を肥料、飼料、油脂、油脂製品、メタンの原材料として利用する
減量
生ごみの処理機を利用して、食品廃棄物を脱水、乾燥、発酵、炭化する。
家電リサイクル法
正式には「特定家庭用機器再商品化法」といいます。特定家庭用機器(いわゆる「家電4品目」)について、廃棄時に消費者自身がリサイクル費用を負担することを定めています。
特定家庭用機器(家電4品目)
- エアコン
- テレビ
- 電気冷蔵庫及び電気冷凍庫
- 電気洗濯機および衣類乾燥機
消費者は買い替え等で破棄する際に、販売店にリサイクル料を払って引き取ってもらい、引き取った販売店はメーカーが指定した引き取り場所に引き渡し、リサイクル施設で再商品化することが義務付けられています。
また2013年からは、「使用済小型家電機器等の再資源化の促進に関する法律(小型家電リサイクル法)」に基づいて、携帯電話、デジタルカメラなど使用済小型家電もリサイクルの対象とされています。
PCリサイクル法
正式には「資源の有効な利用の促進に関する法律(資源有効利用促進法)」といいます。家電製品とは別に、パソコンはメーカーによる回収・リサイクルが義務付けられています。
使用済みパソコンは、企業などで使用されていた事務系パソコン、家庭などで使用されていた家庭系パソコンに分類されます。対象となるのはディスクトップ本体とディスプレイ、ノート型パソコンです。
事業系パソコン、家庭系パソコンともに法律に基づいて回収が行われ、メーカーが新たな資源として活用します。
おわりに
環境資源を破壊しないために、あらゆる法律やルールがあります。それは、これからも便利で快適な暮らしを守り続けることにつながります。住みやすい環境を実現させるためには、消費者・市区町村・事業者の全員が一体となって、協力していかなければならないのです。