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【10で納得】業務上の規制

特に見てほしい方

☑︎宅建士試験を受験したい方

☑︎不動産関係の仕事をしている方

☑︎不動産に興味がある方

 

 

はじめに

 みなさんは情報を操作されて、騙されたことはありますか?最近、ネットショッピングで買った物は本当に自分で選びましたか?広告に惑わされていませんか?

 不動産業界では、専門的な知識がない消費者を守るための広告に関する規制があります。それを含めた業務上の規制を今回は解決していきます。

 

媒介契約・代理契約

媒介と代理

 媒介とは、宅建業者が宅地・建物の売主(または買主)から依頼を受けて買主(または売主)を探すことをいいます。

 一方、代理とは宅建業者が当事者に代わって売買契約等を締結することをいいます。宅建業法では、媒介契約と代理契約について、同じような規制をしています。

 

媒介契約の種類

 

一般媒介契約

専任媒介契約

専属専任媒介契約

依頼者は、ほかの宅建業者に重ねて媒介を依頼できるか?

×

×

依頼者は、宅建業者が探した相手方以外の人と契約することができるか?

×

 

 一般媒介契約では、依頼者がほかの宅建業者に重ねて依頼した時に、ほかの宅建業者を明示する義務がある明示型とその義務がない非明示型がある。

 

媒介契約の規制

 一般媒介契約以外の媒介契約(専任媒介契約と専属専任媒介契約。以下「専任媒介契約等」)においては①有効期間、②業務処理状況の報告、③指定流通機構への登録について規制があります。また、すべての媒介契約において、④宅地・建物の売買・交換の申込みがあった場合の報告について規制があります。

 

  • 有効期間

専任媒介契約等を締結した場合、その契約の有効期間は3ヶ月を超えることができません。もし3ヶ月を超える期間を定めた場合には、強制的に3ヶ月となります。なお、有効期間が満了した後は依頼者から申し出がある場合のみ契約を更新することができます。自動更新は不可更新後の有効期限も3ヶ月となります。

 

  • 業務処理状況の報告

専任媒介契約等を締結した場合、宅建業者は依頼者に対し、業務内容を定期的に報告しなければなりません。報告の頻度は、専任媒介契約の場合は2週間に1回以上専属専任媒介契約の場合は1週間に1回以上となります。

 

  • 指定流通機構への登録

専任媒介契約等を締結した場合、国土交通大臣の指定する(流通機構不動産の流通情報システム。レインズともいう)へ登録が義務付けられています。指定流通機構への登録機関は、専任媒介契約の場合は契約日から7日以内(休業日を除く)、専属専任媒介契約の場合は、契約日から5日以内(休業日を除く)です。

 

  • 宅地建物の売買交換の申し込みがあった場合の報告

媒介契約(一般・専任・専属専任媒介契約)を締結した宅建業者は媒介契約の目的物である宅地・建物の売買又は交換の申し込みがあったときは、遅滞なく、その旨を依頼者に報告しなければなりません。そして、これに反する特約は無効となります。

 

媒介契約の種類と規制のまとめ

 

 

一般媒介契約

(明示型・非明示型)

専任媒介契約

専属専任媒介契約

内容

同時に複数の業者に依頼

×

×

 

自己発見取引

×

規制

有効期間

規制なし

3ヶ月以内

3ヶ月以内

 

依頼者への業務処理状況の報告義務

義務なし

2週間に1回以上

口頭でも可

1週間に1回以上

口頭でも可

 

指定流通機構への登録義務

規制なし

契約日から7日以内

休業日を除く

契約日から5日以内

休業日を除く

 

宅地・建物の売買・交換の申し込みがあった場合の報告義務

遅滞なく

遅滞なく

遅滞なく

 

指定流通機構について

  • 指定流通機構に登録する内容は次の通り

宅地・建物の所在、規模、形質、売買すべき価格

宅地建物に係る都市計画法その他の法律令に基づく制限で主要なもの

専属専任媒介の場合はその旨

  • 指定流通機構に登録した宅建業者は、指定流通機構が発行する登録を証する書面を、遅滞なく、依頼者に引き渡さなければならない
  • 宅建業者は、登録した宅地建物の売買や交換の契約が成立したときは、遅滞なく、その旨を指定流通機構に通知しなければならない

 

媒介契約書面(34条の2書面)

 宅建業者は宅地・建物の売買または交換の売買契約を締結したときは、遅滞なく、その内容を記載した書面(媒介契約書面)を作成し、依頼者に交付しなければなりません。

 

媒介契約書面(34条の2書面)のポイントと記載事項

ポイント

  • 宅地・建物の売買・交換の媒介の場合に交付が必要(貸借の媒介の場合は不要)
  • 媒介契約書面には宅建業者記名押印が必要(「取引士」ではない)
  • 交付場所はどこでもよい(宅建業者の事務所である必要はない)

 

記載事項
  • 宅地建物を特定するために必要な表示

所在、地番、面積等

  • 売買すべき価格または評価額(媒介価格)

宅建業者が媒介価格に意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない。

  • 媒介契約の種類

一般、専任、専属専任

  • 報酬に関する事項
  • 有効期限及び解除に関する事
  • 契約違反があった場合の措置
  • 媒介契約が標準媒介契約約款に基づくものかどうか
  • 指定流通機構への登録に関する事項

一般媒介契約の場合でも省略は不可

  • 既存の建物の場合、依頼者に対する建物状況調査を実践する者の斡旋に関する事項

 

広告に関する規制

誇大広告等の禁止

 宅建業者は、その業務について広告をする時は、宅地・建物に関し、著しく事実を掃除する表示または実際のものよりも著しく優良・有利であると誤認させるような表示をすること(誇大広告等)は禁止されています。

 

  • 広告な手段は新聞やチラシ、インターネット等も含む
  • おとり広告も禁止されている
  • 誇大広告と行った場合、実際に損害を受けた人がいない場合でも宅建業法違反となる。

 

広告の開始時期、契約締結の時期の制限

 宅建業者は、未完成物件について、開発許可(宅地の造成工事の場合)や建築確認(建物の建築工事の場合)を受ける前は、その物件にかかる広告をすることはできません。また、開発許可や建物 建築確認を受ける前は、契約することもできません。ただし、貸借(貸借の代理・媒介)の場合には、開発許可や建築確認を受ける前でも、契約することができます。

 

取引態様の明示義務

 宅建業者宅建業に関する広告をする際には、取引様態(自ら売買・交換、売買・交換、貸借の代理、売買・交換・貸借の媒介)を広告に記載しなければなりません。また、宅建業者は、宅建業に関する注文を受けた際には、遅滞なく、取引様態を明示しなければなりません。

 

ポイント

  • 広告をする時に取引態様を明示していても、注文を受けた時には再度明示が必要。
  • 明示方法は書面でも口頭でもよい。

 

重要事項の説明(35条書面)

重要事項の説明・交付

 宅建業者は、契約が成立するまでに、お客さん(宅建業者を除く)に対して、一定の重要事項を書面を用いて説明しなければなりません。

 なお、お客さんが宅建業者である場合には35条書面の交付は必要ですが説明は不要です。

 

誰が説明する?

 取引士

 

誰に説明する?

 売買の場合:買主

 貸借の場合:借主

 交換の場合:両当事者

 

いつ説明する?

 契約が成立するまで

 

どのように説明・交付する?

宅建業者以外に対しては

  • 取引士の記名押印がある重要事項説明書(35条書面)を交付して説明
  • 説明の際、取引士証を提示する必要がある
  • 説明をテレビ会議等のITを活用して行うことは、宅地・建物の貸借の代理・媒介の場合一定の要件を満たせばできる。

 

宅建業者に対しては

  • 取引士の記名押印がある重要事項説明書(35条書面)の交付のみでよい

 

どこで説明する?

 規制なし(どこでもよい)

 

重要事項の説明の内容

取引物件に関すること

 

売買・交換

貸借

 

宅地

建物

宅地

建物

①    登記された権利の種類・内容等

②    法令上の制限

※1

※2

③    私道負担に関する事項

 

④    電気、ガス、水道等の供給施設、排水施設の整備状況

⑤    既存建物の場合、建物状況調査の結果、建物の建物・維持保全の状況に関する書類の保存の状況

 

 

※3

⑥    未完成物件の場合、完了時の形状構造等

⑦    造成宅地防災区域内か否か

⑧    土砂災害警戒区域内か否か

⑨    津波災害警戒区域内か否か

⑩    石綿使用の調査の内容

 

 

⑪    耐震診断の内容

 

 

⑫    住宅性能評価を受けた新築住宅

 

 

 

※1土地所有者に限って適用されるものは説明事項とされない。

※2建物の賃借人に適用されるものが説明事項となる。

※3建物の建築維持保全の状況に関する書類の保存状況は、売買・交換に限る。

 

区分所有建物(マンション等)における追加説明

 

区分所有建物(マンション等)

売買・交換

貸借

①    敷地に関する権利の種類・内容

 

②    共通部分に関する規約

 

③    専有部分の用途その他の理由も制限に関する規約

④    専用使用権に関する規約

 

⑤    建物の所有者が負担すべき費用を特定の者にのみ減免する旨の規約

 

⑥    修繕積立金の内容すでに積み立てている額

 

⑦    通常の管理費用の額

 

⑧    管理の委託先

⑨    建物の維持修繕の実施状況

 

 

取引条件に関すること

 

売買・交換

貸借

 

宅地

建物

宅地

建物

①    代金、交換差金、借賃以外に授受される金銭

②    契約の解除

③    損害賠償額の予定、違約金

④    手付金保全措置の概要

 

 

⑤    支払金、預かり金の保全措置の概要

⑥    代金、交換差金に関する金銭の貸借のあっせんの内容、貸借不成立時の措置

 

 

⑦    瑕疵担保責任の履行に関する措置の概要

 

 

 

賃貸借契約における追加説明

 

貸借

 

宅地

建物

①    台所、浴室、便所その他の当該建物の設備の整備

 

②    契約期間、契約の更新に関する事項

③    当該宅地・建物の用途その他の利用の制限に関する事項

④    当該の宅地・建物の管理が委託されているときは、委託先の氏名および住所

⑤    敷金その他契約終了時に生産されることとされている金銭の精算に関する事項

⑥    定期借地権である場合はその旨

 

⑦    定期建物賃貸借である場合はその旨

 

⑧    高齢者の居住の安定確保に関する法律に規定する終身建物賃貸借をしようとするときはその旨

 

⑨    契約終了時における宅地上の建物の取り壊しに関する事項を定めようとするときはその内容

 

 

供託所等の説明

 宅建業者は、契約が成立するまでに、お客さんに対して、供託所等に関する事項について説明しなければなりません。なお、お客さんが宅建業者である場合には、供託所等に関する事項について説明する必要はありません。

 

説明事項

宅建業者が保証協会に加入していない場合

 営業保証金を供託した供託所とその所在地

 

宅建業者が保証協会に加入している場合

  • 保証協会の社員である旨
  • 保証協会の名称、住所、事務所の所在地
  • 保証協会が弁済業務保証金を供託している供託所、所在地

 

ポイント

  • 供託所等について契約が成立するまでに説明しなければならない。
  • 説明の方法は文書でも口頭でもよい。
  • 取引氏が説明する必要はない。
  • 宅建業者に対しては説明は不要。

 

契約書(37条書面)の交付

契約書(37条書面)の交付

 宅建業者は契約が成立した後契約内容を記載した書面(37条書面)を交付しなければなりません。

 

説明は?

 不要

 

誰が交付する?

 宅建業者

 

誰に交付する?

 契約の両当事者

 

いつ交付する?

 契約が成立したあと

 

何を交付する?

 取引士の記名押印がある契約書面(37条書面)

 

どこで交付する?

 規制なし(どこでも良い)

 

契約書(37条書面)の記載事項

 

売買・交換

貸借

必ず記載する事項

①    当事者の氏名(法人の場合は名称)および住所

②    宅地・建物を特定するのに必要な表示

③    代金・交換差金・借賃の額、その支払い時期、支払方法

④    宅地・建物の引渡時期

⑤    移転登記の申請の時期

 

⑥    既存の建物の構造耐力上主要な部分等の状況について、当事者の双方が確認した事項

 

その定めがあるときに記載が必要な事項

⑦    代金・交換差金・借賃以外の金銭の授受に関する定めがあるとき

→その額、金銭の授受の時期、目的

⑧    契約解除に関する定めがある時

→その内容

⑨    損害賠償額の予定違約金に関する定めがある時

→その内容

⑩    危険負担(天災その他の不可抗力による損害負担)に関する定めがある時

→当該あっせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置

⑪    代金・交換盛んについての金銭の貸借ローンの斡旋に関する定めがある時

→当該あっせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置

 

⑩    瑕疵担保責任(当該宅地・建物の瑕疵を担保すべき責任)又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置についての定めがある時

→その内容

 

⑪    当該宅地・建物にかかる租税その他の公課の負担に関する定めがある時

→その内容

 

 

その他の業務上の規制

業務に関する禁止事項

重要な事実の不告知、不実のことを告げる行為の禁止

 契約の締結の勧誘をする際、または契約の申込みの撤回解除債権の行使をさせないようにするため、重要な事項についてわざと事実を告げなかったり、嘘を言ってはいけない

 

重要な事項

  • 第35条の重要事項
  • 供託所等に関する事項
  • 第37条の契約書面の記載事項
  • その他、相手方の判断に重要な影響を及ぼすこととなる事項

 

不当に高額な報酬を要求する行為の禁止

 宅建業者は不当に高額な報酬を要求することはできない。

 

ポイント

  • 実際に受け取っていなくても要求したらアウト。

 

手付貸与等の禁止

 宅建業者が手付金を課したり立て替えたりすることによって契約の締結を誘導してはいけない。

 

ポイント

  • 実際に契約していなくても、誘導したらアウト

 

断定的判断の提供の禁止

 契約の締結の勧誘に際し、利益が生じることが確実であると誤解させるような断定的判断の提供をしてはいけない。

 

ポイント

  • 実際に契約していなくても、断定的判断をしたらアウト
  • 過失でもアウト

 

威迫行為の禁止

 契約の締結の勧誘をするためまたは契約の申込みの撤回解除をさせないようにするため相手方を威迫してはいけない。

 

その他の禁止事項
  • 宅地建物の将来の環境や交通などの利便について誤解させるべき断定的判断の提供をすること。
  • 正当な理由なしに、契約を締結するかどうかを判断するために必要な時間を与えることを拒むこと。
  • 勧誘に先立って宅建業者の商号名称、当該勧誘を行う者の氏名や契約の締結について勧誘する目的であることを告げずに勧誘を行うこと。
  • 迷惑を覚えさせるような時間に電話をしたり、訪問すること。
  • 新山田は長時間の勧誘その他の私生活または業務の平穏を害するような方法でそのものを困惑させること。
  • 相手方が契約の申込みの撤回を行うのに際し、既に受け取っている預かり金の返還を拒むこと。
  • 相手方が手付金を放棄して契約を解除しようとしているのに、正当な理由なしに契約の解除を拒んだり、妨げたりすること。

 

その他の一般的な禁止事項

守秘義務

 宅建業者やその従業員は正当な理由なしに業務上知り得た秘密を他に漏らしてはいけません。宅建業者が廃業したり、従業員が退職した後でも同様の守秘義務が課せられます。

 

正当な理由の例

  • 本人の承諾がある場合
  • 裁判で証人として証言を求められた場合
  • 取引の相手方に真実を告げなければならない場合

など

 

不当な履行遅延の禁止

 宅建業者は、その業務に関してなすべき、宅地・建物の登記、引渡し、代金の支払等の行為を不当に遅延してはいけません。

 

おわりに

 宅建業法の中でも、この業務上の規制は非常に重要です。少なくとも3回は繰り返し読み、イメージを掴んでください。