【5分で納得】監督・罰則
特に見てほしい方
☑︎宅建士試験を受験したい方
☑︎不動産関係の仕事をしている方
☑︎不動産に興味がある方
はじめに
今回は宅建業者が悪いことをした際の監督処分を解説していきます。
宅建業者に対する監督処分
監督処分の種類
宅建業者に対する監督処分には処分が軽い順に指示処分、業務停止処分、免許取消処分の3つがあります。
指示処分の内容
対象事由
国土交通大臣又は都道府県知事は宅建業者が、以下の対象事由に該当する場合宅建業者に対して、必要な指示処分をすることができます。
指示処分の対象(主な事由)
- 業務に関し、宅建業法以外の法令に違反し、宅建業者として不当であると認められたとき
- 取引士が処分を受けた場合において、宅建業者の責めに帰すべき事由があるとき
- 業務に関し、取引士の関係者に損害を与えたとき、又は損害を与えるおそれが大であるとき
- 宅建業法の規定に違反したとき
処分権者
指示処分は免許賢者のほか、宅建業者が処分の対象となる行為を行った都道府県の知事も行うことができます。
業務停止処分の内容
対象事由
国土交通大臣又は都道府県知事は宅建業者に対して、1年以内の期間を定めてその業務の全部又は一部の停止を命ずることができます。
業務停止処分の対象事由
- 業務に関し、宅建業法以外の法令に違反し、宅建業者として不当であると認められたとき
- 取引市が処分を受けた場合において、宅建業者の責めに帰すべき事由があるとき
- 指示処分に違反したとき
- 宅建業に関し、不正又は著しく不当な行為をしたとき
- 宅建業法の一定の規定に違反したとき
処分権者
業務停止処分は免許権者のほか、宅建業者が処分の対象となる行為を行った都道府県の知事も行うことができます。
免許取消処分の内容
対象事由
国土交通大臣又は都道府県知事は、宅建業者が以下の必要的取消し事由に該当する場合には、その宅建業者の免許を取り消さなければなりません。
免許取消処分の対象事由(主なもの)
必要的取消事由
- 不正の手段で免許を受けたとき
- 業務停止処分に該当する行為をし、情状が特に重いとき
- 業務停止処分に違反したとき
- 成年被後見人被保佐人破産者で復権を得ないものとなったとき
- 禁錮以上の刑に処されたとき
- 宅建業法の規定違反、暴力系の犯罪、背任罪により罰金の刑に処されたとき
- 暴力団員等になったとき
- 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者である宅建業者の法定代理人が一定の欠格事由に該当するに至ったとき
- 法人の役員政令で定める使用人が一定の欠格事由に該当するに至ったとき
- 免許を受けてから1年以内に事業を開始しないとき
- 免許外が必要であるのにもかかわらず新たに免許を受けないことが判明したとき
任意的取消事由
- 営業保証金を供託した旨の届出がないとき
- 宅建業者の所在地が不明となったとき
処分権者
免許取消処分は免許権者のみ行うことができます。
その他
指導等
国土交通大臣は、すべての宅建業者に対して、必要な指導、助言、勧告を行うことができます。また、都道府県知事は当該都道府県内において、宅建業を営む宅建業者に対して、必要な指導、助言、勧告を行うことができます。
内閣総理大臣との協議
国土交通大臣が宅建業者に対して一定の監督処分をしようとするときは、あらかじめ内閣総理大臣と協議しなければなりません。
内閣総理大臣と協議が必要なもの
- 重要事項の説明義務違反
- 37条書面の交付義務違反
- 誇大広告等の禁止違反
- 取引態様の明示義務違反
- 守秘義務違反
都道府県知事が処分を行う場合には、内閣総理大臣との協議は不要です。
取引士に対する監督処分
監督処分の種類
取引士に対する監督処分には処分が軽い順に指示処分、事務禁止処分、登録消除処分の3つがあります。
指示処分の内容
対象事由
都道府県知事は取引士が以下の対象中に該当する場合、取引士に対して必要な処分をすることができます。
指示処分の対象事由
- 宅建業者に対して、専任の取引士として従事している事務所(たとえば本店)以外の事務所(たとえば支店)においても、専任の取引士であることを表示することを許し、宅建業者がその旨を表示したとき
- 他人に名義を貸し、その他人がその名義を用いて取引士である旨の表示をしたとき
- 取引士の事務に関し、不正・著しく不当な行為をしたとき
処分権者
指示処分は、登録をしている都道府県知事のほか、取引士が処分の対象となる行為を行った都道府県の知事も行うことができます。
事務禁止処分の内容
対象事由
都道府県知事は、取引士に対して、1年以内の期間を定めて、取引士としてすべき事務の全部または一部を禁止することができます。
事務禁止処分の対象事由
- 指示処分の対象事由に該当するとき
- 指示処分に従わないとき
処分権者
事務禁止処分は登録をしている都道府県知事のほか取引士が処分の対象となる行為を行った都道府県の知事も行うことができます。
登録消除処分の内容
対象事由
都道府県知事は、取引士が以下の対象事由に該当する場合、その取引士の登録を消除しなければなりません。
登録消除処分の対象事由
- 取引滋賀登録の欠格事由に該当するに至ったとき
- 不正の手段により登録を受けたとき
- 不正の手段により、取引士証の交付を受けたとき
- 事務禁止処分に該当する行為をし、情状が特に重いとき
- 事務禁止処分に違反したとき
- 取引士の登録を受けているが、取引士証の交付を受けていないものが取引士としての事務を行ない、情状が特に重いとき
処分権者
登録消除処分は、登録した都道府県知事のみ行うことができます。
監督処分の手続き
不正処分
↓
聴聞の通知・公示
↓
↓
処分
↓
公告
聴聞
国土交通大臣又は都道府県知事は宅建業者に対する監督処分や取引士に対する監督処分を行おうとするときは公開の聴聞をしなければなりません。
公告
国土交通大臣又は都道府県知事は業務停止処分又は、免許取消処分をした時は、その旨を官報(国土交通大臣の処分の場合)や公報またはウェブサイトへの記載その他の適切な方法(都道府県知事の処分の場合)で公告しなければなりません。
報告・通知
指示処分、業務停止処分をした都道府県知事は、遅滞なく、その旨を国土交通大臣に報告(処分を受けた宅建業者が国土交通大臣免許の場合)または免許を与えたほかの都道府県知事(処分を受けた宅建業者がほかの都道府県知事の免許を受けている場合)に通知しなければなりせん。
また指示処分、業務禁止処分をした都道府県知事は、遅滞なく、その旨を処分を受けた取引士の登録している都道府県知事に通知しなければなりません。
罰則
宅建業法に違反した場合、違反者は罰金刑や懲役刑、過料(取引士に対する罰則)に処されます。
3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はこれらの併科 |
l 不正の手段により免許を受けた者 l 無免許で事業をした者 l 名義貸しをして他人に宅建業を営ませた者 l 業務停止処分に違反して業務を営んだ者 |
2年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はこれらの併科。 |
l 契約の勧誘をするとき等に重要な事実を故意に告げなかったり、不実を告げた者 |
1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金又はこれらの併科。 |
l 不当に高額の報酬を要求した者 |
6ヶ月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金又はこれらの併科。 |
l 営業保証金の供託の届出前に事業を開始した者 l 誇大広告等の禁止に違反した者 l 不当な履行遅延行為をした者 |
100万円以下の罰金。 |
l 無免許で宅建業者としての表示・広告をした者 l 名義貸しをして他人に宅建業の表示広告をさせた者 l 専任の取引士の設置義務に違反した者 l 報酬限度額を超えて報酬を受領した者 |
50万円以下の罰金。 |
l 変更の届出をしなかったり、虚偽の届出をした者 l 37条書面を交付しなかった者 l 事務所に報酬の額を掲示しなかった者 l 従業者に従業者証明書を掲載させなかった者 l 標識を掲示しなかった者 l 守秘義務違反をした者 l 帳簿や従業者名簿を備え付けなかったり、記載すべき事項を記載しなかったり、虚偽の記載した者 |
10万円以下の過料 |
l 取引士証の返納義務に違反した者 l 取引書の提出義務に違反した者 l 重要事項説明時に取り引き証を提示しなかった者 |
おわりに
監督・罰則は不動産業を営む上で重要な内容です。特に不動産関係で仕事をしている方は見ておいてください。