HaRu Blog

あなたの人生をより豊かに

【5分で納得】制限行為能力者

特に見てほしい方

☑︎宅建士試験を受験したい方

☑︎不動産関係の仕事をしている方

☑︎不動産に興味がある方

 

 

はじめに

 今回から権利関係を説明していきます。権利関係は暗記ではなく、流れと構造の理解が大切になってきます。「なぜ」と何度も問い続けながら、読み進めていってください。

 まずは、制限行為能力者を解説していきます。

 

 

制限行為能力者の種類

制限行為能力者

 制限行為能力者とは判断能力が不十分であるため、単独で、有効な法律行為を行うことができる能力(行為能力)を制限された人をいいます。

 

「人」に関する3つの能力

 権利能力、意思能力、行為能力についてまとめると次の通りです。

 

権利能力

権利・義務の主体となることのできる資格

ポイント

l  人(自然人)であれば、生まれながらにしてすべて権利能力を持つ。

l  胎児でも不法行為による損害賠償請求、相続・遺贈については権利能力を持つ。

意思能力

自分が行った法律行為の結果を理解(認識・判断)することができる能力

ポイント

l  意思能力がない状態で行った法律行為は無効

行為能力

単独で有効な法律行為を行うことができる能力

 

制限行為能力者の種類

 制限行為能力者には、未成年者、成年被後見人被保佐人、被補助人の4種類があります。

 

未成年者

 20歳未満の者。

 ただし、婚姻したものは成年に達したものとみなされる。

 保護者:親権者・未成年後見

 

成年被後見人

 精神上の障害により、事理を弁識する能力を欠く常況にある者で、家庭裁判所の後見開始の審判を受けた者。

 保護者:成年後見

 

被保佐人

 精神上の障害により、事理を弁識する能力が著しく不十分である者で、家庭裁判所の保佐の審判を受けた者。

 保護者:保佐人

 

被補助人

 精神上の障害により、事理を弁識する能力が不十分であるもので、家庭裁判所の補助開始の審判を受けた者。

 保護者:補助人

 

制限行為能力者の保護

未成年者の保護

 未成年者が単独で法律行為をする時には法定代理人(保護者=親権者が未成年後見人)の同意が必要です。また、法定代理人が未成年者を代理して法律行為をすることもできます。そして、未成年者が法定代理人の同意を得ずに単独で行った行為は、原則として取り消すことができます。

 

原則

 未成年者が法定代理人の同意を得ないで行った行為は取り消すことができます。

 

ポイント

  • 本人未成年者、法定代理人のいずれも取り消されます。
  • 取消しは第三者(善意・悪意)を問わないに対して対抗できます。

 

例外 下記の行為は取り消せません。

  • 単に権利を売るだけの行為や義務を免れる行為。
  • 法定代理人から処分を許された財産を処分する行為。
  • 法定代理人から営業を許された特定の行為。

 

成年被後見人の保護

 成年被後見人の財産上の行為は、原則として成年後見人(法定代理人)が代理して行います。成年被後見人が、法定代理人の代理によらず行った行為は、原則として取り消すことができます。

 

原則

 成年後見人が法定代理人の代理によらず行った行為は取り消すことができます。

 

ポイント

 

例外 下記の行為は取り消せません。

  • 日用品の購入その他の日常生活に関する行為。

 

被補佐人の保護

 被保佐人が重要な財産上の行為を行うには、保佐人の同意(またはこれに代わる家庭裁判所の許可)が必要です。被保佐人が、保佐人の同意なし(または家庭裁判所の許可なし)に行った重要な財産上の行為は、取り消すことができます。

 

原則

 被保佐人は、保佐人の同意がなくても有効な契約を結べます。

 

例外

 重要な財産上の行為を保佐人の同意なしに行った場合には、取り消すことができます。

 

重要な財産上の行為(例)

  • 借金をしたり、保証人になること。
  • 不動産、その他の重要な財産の売買をすること。
  • 新築、改築、増築、大修繕をすること。
  • 長期賃貸借をすること。 など

 

ポイント

  • 被保佐人が保佐人の同意なしに重要な財産上の行為を行った場合は、本人(被保佐人)、保佐人のいずれも取り消すことができます。
  • 取消しは第三者(善意・悪意)を問わないに対して対抗できます。

 

被補助人の保護

 被補助人が家庭裁判所の裁判で定めた特定の法律行為を行う時には、補助人の同意(またはこれに代わる家庭裁判所の許可)が必要です。補助人が補助人の同意が必要な行為を補助人の同意なし(またはこれに代わる家庭裁判所の許可なし)に行った場合は、その行為を取り消すことができます。  

 

原則

 被補助人は、補助人の同意がなくても有効な契約を結ぶことができます。

 

例外

 重要な財産上の行為のうち、家庭裁判所の審判によって補助人の同意を得なければならないとされた特定の行為を、被補助人が補助人の同意なしに行った場合には、取り消すことができます。

 

ポイント

  • 被補助人が、同意が必要な行為を補助人の同意なしに行った場合は、本人(被補助人)、補助人のいずれも取り消すことができます。
  • 取消しは第三者(善意・悪意を問わない)に対して対抗できます。

 

制限行為能力者の相手方の保護

 制限行為能力者と取引した場合、取引の相手方は、いつ取り消されてしまうかわからない状況におかれてしまいます。そこで、以下のような、制限行為能力者の相手を保護する制度が用意されています。

 

制限行為能力者の詐術

 制限行為能力者が、「自分は行為能力者である」と信じさせるために、詐術を用いた時は取り消すことはできなくなります。

 

催告権

 制限行為能力者と取引をした相手方は、1ヶ月以上の期間を定めて、追認するかどうかを催告することができます。

 

 

誰に催告する?

催告したけど解答がない場合は

未成年者

法定代理人

追認したとみなされます

成年被後見人

法定代理人

追認したとみなされます

被保佐人

保佐人又は本人

保佐人に催告した場合、追認したとみなされます。

本人に催告した場合、取り消したとみなされます。

被補助人

補助人又は本人

補助人に催告した場合、追認したとみなされます。

本人に催告した場合、取り消したとみなされます。

行為時には制限行為能力者であったが、催告時は行為能力者となっている場合

本人

追認したとみなされます。

 

おわりに

 未成年者、成年被後見人被保佐人、被補助人のそれぞれの特徴を比較しながら、押さえましょう。