【5分で納得】時効
特に見てほしい方
☑︎宅建士試験を受験したい方
☑︎不動産関係の仕事をしている方
☑︎不動産に興味がある方
はじめに
みなさんは日常で「もう時効だね〜」と使ったことはありますか?きっと、ある一定期間が経過したので、そのものに対する効果がなくなってるというような意味で使っていませんか?時効にもさまざまな種類があります。
今回は時効を解説していきます。
時効
時効とは、ある状態が一定期間続いた場合に、権利を取得したり(取得時効)、権利が消滅する(消滅時効)といった効果を認めることをいいます。
取得時効
取得時効とは、ある状態が一定期間続いた場合に権利を取得できる制度をいいます。
所有権の取得時効が完成するための要件
下記の期間、所有の意思をもって、平穏かつ公然に他人の物を占有すれば、その所有権を取得することができます。
占有の開始時に
- 善意&無過失であった場合:10年間
- 善意&有過失であった場合:20年間
- 悪意であった場合:20年間
ポイント
- 「善意・悪意」、「有過失・無過失」は、所有の開始時で判定します。
- 実際に自分で占有せず、誰かに占有させていても取得時効は完成します。
占有の承継
売買や相続があった場合、占有は承継されます。なお、前の占有者の占有期間を合計する(承継する)場合には、前の占有者の善意・悪意も承継します。
消滅時効
消滅時効とは、一定期間権利を行使しないと、その権利が消滅する制度をいいます。
消滅時効の期間
- 通常の債権:10年
- 短期消滅時効にかかる債権:1年〜5年
- 債権又は所有権以外の財産権:20年
- 判決で確定した権利:10年
ポイント
- 所有権は消滅時効にかかりません。
消滅時効の起算点
消滅時効は権利を行使できる時から進行します。
確定期限のある債権
期限が到来した時
不確定期限付債権
期限が到来した時
期限の定めのない債権
債権が成立した時
時効の中断
時効の中断とは、時効の進行をストップさせ、それまでの期間をゼロにすることをいいます。
時効中断事由(主なもの)
- 請求
訴えの提起(裁判上の請求)
ただし、訴えが却下された場合や、取り下げられた場合は時効は中断しません。
支払の督促
期間内に仮執行の宣言の申立てをしなかったときは、時効は中断しません。
催告
西国は裁判外での請求なので催告しただけではダメです。催告後、6ヶ月以内に裁判上の請求とをしないと時効は中断しません。
- 差押え、仮差押え、仮処分
- 承認
時効の効力・援用・利益の放棄
時効の効力
時効の効力は、その起算日(時効の期間がスタートする日)に遡って発生します。
時効の援用
援用とは、時効の利益を受ける人が、時効の利益を受ける旨の意思表示をすることをいいます。時効が完成しても、時効によって直接利益を受ける人が援用(主張)しなければ、時効の効力は生じません。
ポイント
- 時効が完成しても、時効によって直接利益を受ける人が援用(主張)しなければ、時効の効果は生じません。
時効によって直接利益を受ける人
- 債務権
- 保証人、連帯保証人
- 物上保証人
- 抵当不動産の第三取得者
時効の利益の放棄
時効の利益は、あらかじめ放棄することはできません。なお、時効の完成後であれば、時効の利益を放棄することができます。
おわりに
時効には、ある状態が一定期間続いた場合に、権利を取得する取得時効、権利が消滅する消滅時効があります。皆さんも「〇〇したら、〇〇するね!」など、日常生活で自然と使っています。時効は難しく考えず、内容を読み進めていってください。