HaRu Blog

あなたの人生をより豊かに

【5分で納得】借地借家法(借地)

特に見てほしい方

☑︎宅建士試験を受験したい方

☑︎不動産関係の仕事をしている方

☑︎不動産に興味がある方

 

 

はじめに

 みなさんは、土地を借りるときのルールをご存知ですか?僕は借地借家法を勉強することで、少し知ることができました。

 借地借家法は、「借地」と「借家」に分かれます。 今回は借地借家法(借地)を解説していきます。

 

借地借家法

 借地借家法とは、土地や建物を借りる場合に適用される法律です。借地借家法では、民法の「賃貸借」について、賃借人(借主)が不利になる部分を修正しています。

 

借地借家法の適用範囲(借地)

 建物の所有を目的とする地上権または土地の賃借権を借地権といい、借地権については借地借家法が適用されます。借地権がある人(土地の賃借人)を借地権者、借地権を設定された人(地主)を借地権設定者といいます。

 

ポイント

  • 建物の所有を目的としない地上権または土地賃借権には、借地借家法は適用されません。

 

借地権の存続期間

当初の存続期間

 民法上の賃貸借の存続期間は最長20年でしたが、借地借家法における借地権の存続期間は30年とされています。契約でこれより短い期間を定めた場合も30年となります。なお、契約で30年よりも長い期間を定めた場合には、契約で定めた期間が存続期間となります。

 

契約の更新

 借地契約の更新方法には、合意更新、請求更新、法定更新の3つがあります。なお、請求更新と法定更新は、借地上に建物が存在する場合に限られます。

 

合意更新

当事者で合意して更新

更新後の期間

最初の更新:20年以上

2回目以降の更新:10年以上

請求更新

借地権者が更新を請求したときは、建物がある場合に限り、契約を更新したものとみなします。

ただし、借地権設定者が正当事由を持って、遅滞なく異議を述べた時には更新されません。

更新後の期間

最初の更新:20年以上

2回目以降の更新:10年以上

法定更新

存続期間後も借地権者が土地の使用を継続するときは、建物がある場合に限り、契約を更新したものとみなします。

ただし、借地権設定者が正当事由を持って、遅滞なく異議を述べた時には更新されません。

更新後の期間

最初の更新:20年以上

2回目以降の更新:10年以上

 

建物買取請求権

 借地権の存続期間が満了した場合で、借地契約の更新がないときは、借地権者は借地権設定者に対して、建物を時価で買い取ることを請求できます。建物買取請求権は「借地権の存続期間が満了した場合」に認められます。従って、借地権者が地代を払わなかった等の理由(借地権者の債務不履行)で契約が解除された場合には、借地権者に建物買取請求権は認められません。

 

建物の滅失と再築

 借地権の存続期間が満了する前に建物が滅失してしまった場合、一般的には建物を立て直しますが、残っている借地権の存続期間を超えて存在する建物を再築する場合、借地権の存続期間が延長されるかどうかが問題になります。借地権の存続期間が延長されるかどうかは、建物が滅失した時期と再築について借地権設定者の承諾があるかどうかによって異なります。

 

当初の存続期間中に滅失した場合

更新後に滅失した場合

l  再築について借地権設定者の承諾がある場合は、延長する

承諾日と建物の再築日のうち、いずれか早い日から20年間存続する。

l  再築について借地権設定者の承諾がある場合は、延長する

承諾日と建物の再築日のうち、いずれか早い日から20年間存続する。

l  再築について借地権設定者の承諾がない場合は、延長しない

(承諾がなくても、借地権の残存期間を超えて存在する建物の再築はできるけど)借地権の期間は延長しない。

l  再築について借地権設定者の承諾がない場合は、再築不可

借地権の残存期間を超えて存在する建物の再築はできない。

残存期間が20年よりも長い場合は契約で20年よりも長い場合を定めた場合は借地権の存続期間はその期間となります。

 

借地権の対抗力

 民法上、不動産の賃借人が第三者に対して、不動産の賃借権を対抗するためには登記が必要ですが、借地借家法では、借地上に借地権者が、自己を所有者として登記した建物を所有していれば、(借地権の登記がなくても)第三者に対抗することができるとしています。

 

借地上の建物を譲渡等する場合

借地上の建物を譲渡する場合の土地賃借権の譲渡・転貸

 例えば、借地権設定者(地主)がA、借地権者がBである場合、Bは借地上の建物自体を第三者(C)に譲渡することは自由にできます。しかし、建物だけ譲渡しても、それに借地権がついていなければ(土地が使用できないので)意味がありません。そこで、借地上の建物を譲渡する場合には、借地権も譲渡するか、借地を転貸する必要があります。借地権が地上権の場合には、借地権設定者(A)の承諾なしに地上権の譲渡や土地の転貸することができますが、借地権が土地賃借権の場合には、借地権の譲渡や借地の転貸をする時に、借地権設定者(A)の承諾が必要になります。そのため、Aが承諾しないと、事実上、Bは建物をCに譲渡できなくなってしまいます。これだと借地権者(B)にとって酷なので、借地借家法では借地権設定者(A)の承諾に代わる裁判所の許可でもいいとしています。

 

借地上の建物を第三者が取得した場合の建物買取請求

 第三者(C)が、借地権者(B)から借地上の建物を取得した場合で、借地権設定者(A)が土地賃借権の譲渡または借地の転貸を承諾しないときは、第三者(C)は借地権設定者(A)に対して時価で建物を買い取るべきことを請求できます。

 

借地上の建物を競売で取得した場合の許可及び建物買取請求

 第三者(C)が借地上の建物を競売により取得した場合で、その第三者(C)が土地賃借権を取得しても借地権設定者(A)に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者(A)が承諾しないときは、三者(C)は裁判所に申し立てることにより、借地権設定者(A)の承諾に代わる許可を受けることができます。また、借地権設定者(A)の承諾も裁判の許可も得られない場合には、第三者(C)は、借地権設定者(A)に対して時価で建物を買い取るべきことを請求することもできます。

 

定期借地権等

 これまでは一般的な借地権、普通借地権について見てきましたが、ここでは特殊な借地権についてみていきます。

 

(一般)定期借地権

 存続期間を50年以上とする借地権を設定する場合には、以下の特約を定めることができます。

  • 契約の更新がないこと
  • 建物消滅時における建物の再築による存続期間の延長が無いこと
  • 建物買取請求権がないこと

 

なお、上記の特約を定めるときは、書面(公正証書でなくてもよい)で行う必要があります。

 

事業用定期借地権

 事業用定期借地権は、もっぱら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く)の所有を目的とし、存続期間を10年以上50年未満とする借地権をいいます。なお、存続期間を10年以上30年未満とする事業用定期借地権には、①契約の更新、②建物の再築による存続期間の延長、③建物買取請求権等がありません。また、存続期間を30年以上50年未満とする事業用定期借地権には、①〜③がない旨の特約を定めることが出来ます。事業用定期借地権の設定は、公正証書で行わなければなりません。

 

建物譲渡特約付借地権

 建物譲渡特約付借地権とは、借地権を消滅させるため、その設定後30年以上経過した日に、借地上の建物を借地権設定者(地主)に相当の対価で譲渡する旨の特約を定めた借地権をいいます。この特約は書面で行う必要はありません(口頭でも可)。

 

普通借地権

定期借地権

一般定期借地権

事業用定期借地権

建物譲渡特約付借地権

契約の存続期間

30年以上

50年以上

10年以上

50年未満

30年以上

更新

最初の更新は20年以上

2回目以降は10年以上

なし

なし

なし

土地の利用目的

制限なし

制限なし

事業用建物のみ

制限なし

契約方法

制限なし

書面による

公正証書に限る

制限なし

建物買取請求権

あり

なし

なし

建物の譲渡特約がある

契約期間終了時

原則として更地で返す

原則として更地で返す

原則として更地で返す

建物付で返す

 

 

一時使用目的の借地権

 一時使用のために借地権を設定したことが明らかな場合には、普通借地権に関する規定(存続期間、更新、建物買取請求権、建物の消滅と再築)や定期借地権等の規定は適用されません。

 

おわりに

 特殊な借地権は試験でも出題が多いため、表でまとめておいたので、ぜひご確認をお願いします。