【5分で納得】売主の担保責任、手付
特に見てほしい方
☑︎宅建士試験を受験したい方
☑︎不動産関係の仕事をしている方
☑︎不動産に興味がある方
はじめに
今回は売主の担保責任、手付を解説していきます。
売主の担保責任
売主の担保責任
売買の目的物に何かしらの欠陥(買った家が雨漏りするなど)がある場合、売主は、たとえ故意・過失がなくても、買主に対して責任を負います(無過失責任)。これを売主の担保責任といいます。
売主の担保責任の種類
- 瑕疵担保責任
- 数量不足
- 全部他人物売買
- 一部他人物売買
- 地上権等が設定されていた場合
- 抵当権等が設定されていた場合
ポイント
- 売主は故意・過失がなくても、瑕疵について責任を負います。
瑕疵担保責任
瑕疵は傷や欠陥のことをいいます。
売買の目的物に隠れた瑕疵があった場合、善意の買主は、瑕疵を知った時から1年以内に売主に対して以下のことができます。
- 損害賠償請求
- 瑕疵のために契約の目的を達成することができないときは契約を解除
数量不足
例えば、「1㎡30万円で100㎡の土地だから代金は3,000万円」として売買契約を結んだにもかかわらず、実際に土地の面積を測ってみたら90㎡しかないという場合、善意の買主は売主に対して以下のことができます。
全部他人物売買
売買の目的物が他人のものであったとしても、その売買契約は有効となります。従って、売主はその物の所有権を取得して買主に移転する義務を負います。売買の目的物の全部が他人の物であり、売主がその物の所有権を買主に移転できなかった場合には、買主は売主に対して以下のことができます。
善意の買主は
- 契約を解除できます。
- 損害賠償請求ができます。
悪意の買主は
- 契約を解除できます。
一部他人物売買
売買の目的物のうち一部が他人の物であり、売主がその部分の所有権を買主に移転できなかった場合には、買主は売主に対して以下のことができます。
善意の買主は、その事実を知った時から1年以内に
- 代金の減額を請求できます。
- 「残った部分だけだったら最初から買わなかったよ」という場合には契約を解除できます。
- 損害賠償請求ができます。
悪意の買主は契約の時から1年以内に
- 代金の減額を請求できます。
地上権等が設定されていた場合
買った土地に地上権等が設定された場合、善意の買主はその事実を知った時から1年以内に売主に対して以下のことができます。
善意の買主はその事実を知った時から1年以内に
- 契約の目的を達成することができないときは契約を解除できます。
- 損害賠償請求ができます。
抵当等が設定されていた場合
抵当権が実行されたとき
買った土地に抵当権が設定されており、その後、抵当権が実行されて買主が所有権を失ったときは、買主は売主に対して以下のことができます。
抵当権が実行されて買主が所有権を失ったとき、買主は、
- 契約を解除できます。
- 損害賠償請求ができます。
買主が費用を支出して所有権を保存したとき
買った土地に抵当権が設定されているのが嫌で、買主が費用を支出して抵当権を消滅させ、所有権を保存したときは、買主は売主に対して以下のことができます。
買主が費用を支出して所有権を保存したとき、買主は、
- 費用の償還請求ができます。
- 損害賠償請求ができます。
担保責任を負わない旨の特約
当事者間で売主の担保責任を負わない旨の特約を結んだ時には、原則として売主は担保責任を負いません。ただし、一定の場合には(特約を結んでいたとしても)売主は担保責任を免れることはできません。
原則
当事者間で担保責任を負わない旨の特約を結んだときは、売主は担保責任を免れます。
例外
売主が事実(瑕疵であること等)を知っていたのに、売主に言わなかった場合などは、売主は担保責任を免れることはできません。
手付
手付
手付とは、売買契約をした時に買主が売主に交付する金銭のことをいいます。手付には証約手付や解約手付などがありますが、どの手付と定めがなかった時には解約手付と推定されます。
解約手付による契約の解除
解約手付は、契約成立後、相手方に債務不履行がなくても、自己都合で契約を解除できる趣旨で交付される手付をいいます。
解約手付による契約の解除のポイントをまとめると、次の通りです。
- 手付による契約の解除が出来るのは、相手方が履行に着手するまでの間
履行の着手
売主なら物件の引き渡しなど。
買主なら代金、中間金の支払いなど。
- 買主は手付を放棄すれば契約を解除できます。売主は手付の倍額を償還すれば契約を解除できます。
- 手付によって契約が解除されたときは、損害賠償請求はできません。
おわりに
買主は瑕疵担保責任、数量不足、一部他人物売買、地上権等において、善意だった場合、「知ったときから1年以内」であれば、権利行使をすることができます。このように、権利行使に期間が設定されているものにも注意が必要です。