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【5分でも納得】弁済、相殺、債権譲渡

特に見てほしい方

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はじめに

 今回は弁済、相殺、債権譲渡を解説していきます。しっかりと具体例をイメージして、読んでいってくださいね。

 

弁済

弁済

 弁済とは、債務者が約束どおりの給付をして、債権を消滅させることをいいます。

 

弁済できる者

 弁済すると債権は消滅しますが、弁済は債務者のほか、第三者が行うこともできます。ただし、債務者が弁済に対して反対の意思がある場合には、債務者と利害関係のない第三者は債務者に代わって弁済をすることができません。

 

 

利害関係のある第三者

Ex)物上保証人など

利害関係のない第三者

Ex)兄弟、友人など

債務者に反対の意思がない場合

弁済できる

弁済できる

債務者に反対の意思がある場合

弁済できる

弁済できない

 

ポイント

  • その債務者本人が弁済しないと意味がない債務については、第三者が弁済することはできません。

 

弁済を受ける者

 弁済を受ける権利がある者(債権者やその代理人など)に行われた弁済は有効となります。一方、弁済を受ける権利がない者に行われた弁済は無効となります。ただし、弁済者が以下の第三者に、善意無過失で行った弁済については有効となります。

  • 債権の準占有者
  • 受取証書の持参人 Ex)領収証

 

弁済による代位(代位弁済)

 保証人など債務者以外の人が債務者に代わって債権者に弁済した場合、債権者の保有していた「債務者に対する債権」は、弁済した人(保証人など)に移ります。これを弁済による代位(または代位弁済)といいます。弁済による代位にあたり、債権者の承認が必要かどうかは弁済した人が弁済をすることについて正当な利益を有するものであるかどうかによって異なります。

 

弁済をするにつき、正当な利益を有する者が弁済した場合

 債権者の承諾なしに債権者に代位することができます。

 

弁済するにつき、正当な利益を有しない者が弁済した場合

 債権者の承諾を得て債権者に代位することができます。

 

弁済をするにつき、正当な利益を有する者

 保証人、連帯保証人、連帯債務者、物上保証人、抵当不動産の第三取得者など。

 

代物弁済

 債権者の承諾がある場合には、債務者は、本来の給付の代わりに別のもので弁済することができます。これを代物弁済といいます。

 

相殺

相殺

 例えば、AがBに対して、10万円を貸しており、BはAに8万円を貸している場合、AまたはBは「10万円のうち、8万円はなかったことにしようよ」ということができます。この場合、BはAに対して差額の2万円を支払えばよいことになります。これを相殺といいます。

 

自動債権と受動債権

 相殺において「相殺しようよ」と言った側の債権を自動債権、「相殺しようよ」と言われた側の債権を受動債権といいます。

 

相殺できる場合

  • 当事者双方がお互いに債権を有していること
  • 双方の債権が有効に成立していること

いずれか一方の債権が存在しない場合には相殺できない。

  • 双方の債権の目的が同種であること

金銭債権と金銭債権は相殺できます。金銭債権と土地引渡請求権は相殺できません。

  • 双方の債権が弁済期にあること

ただし、判例では自動債権の弁済期が到来していれば、受動債権の弁済期が到来していなくても、自動債権を有する側から相殺を主張することができるとしています。

 

相殺できない場合

  • 当事者間で相殺禁止特約がある場合
  • 不法行為(自動車事故など)によって生じた損害賠償請求権が受動債権である場合
  • 自動債権が受動債権の差押後に成立したものである場合

 

債権譲渡

債権譲渡

 土地や建物等と同様に、債権も原則として、譲受人と譲渡人の合意によって、譲渡することができます。なお、譲渡禁止の特約がある場合の債権譲渡は、原則として、無効となります。ただし、譲受人が善意無過失であれば、この債権譲渡は有効となります。

 

債権譲渡を債務者に対抗するための要件

 債権の譲受人が、債務者に対して債権の譲渡があったことを対抗するためには、以下の要件を押さえておく必要があります。

 

債務者に対して債権の譲渡があったことを対抗するには

 以下のいずれかが必要

  • 譲渡人から債務者に対する通知
  • 債務者の承諾

 

ポイント

  • 債務者が異議をとどめずに承諾した場合、譲渡人に対抗できることがあったとしても、承諾以降は、債務者は善意無過失の譲受人にそれを対抗することができません。

 

債権譲渡を債務者以外の第三者に対抗するための要件

 債権譲渡があったことを債務者以外の第三者に対抗するためには、以下の要件を備えておく必要があります。

 

債務者以外の第三者に対して債権の譲渡があったことを対抗するには

 以下のいずれかが必要

  • 確定日付のある証書による譲人から債務者への通知
  • 確定日付のある証書による債務者の承諾

 

ポイント

  • 二重譲渡の場合で両方の譲渡について確定日付のある証書がある時には到達の早い方が優先されます。

 

おわりに

 弁済、相殺、債権譲渡はAさん、Bさんと絵を書きながら、読み進めていくと理解が進むと思います。常に頭で具体例をイメージをしながら、ゆっくり確認していってください。