【5分で納得】消費生活と環境
特に見てほしい方
☑︎食品関係で仕事をしている方
☑︎健康管理に興味がある方
☑︎食生活アドバイザー検定を受ける方
はじめに
食生活を楽しく送るためには、地球環境資源のことも考えなくてはなりません。食べ残しやポイ捨てなどの無責任な行動がきっかけで、環境資源を破壊する社会問題に発展します。今や、世界的にゴミの問題が深刻化しています。
今回は現代社会に非常に重要なテーマである消費生活と環境を解説していきます。
循環型社会の実現に向けて
循環型社会と3つのR
私たちの社会は大量に生産し消費することによって発展してきましたが、それと同時に廃棄物が増え続け、環境への影響が大きな社会問題となっています。
食品廃棄物とは、食品を製造・加工する過程で捨てられるゴミ、食べ残しや売れ残って捨てられたゴミ、廃棄された食用油などをいいます。日本の場合、毎年、国内で捨てられている食品廃棄物の約半分を家庭からのゴミが占めています。
企業では、食品ゴミを堆肥や肥料として再利用する、飲食店チェーンでは缶や発泡スチロールの容器を使わないなどの努力をしています。
生ごみの場合、大量に土に戻すと急速に分解が進んでCO2(二酸化炭素)が発生して、土の中の微生物に悪影響を与える恐れがあります。これを防ぐには、循環型社会を目指して家庭でもゴミを減らす意識を高めていくことが必要になります。
次の3つのRは、限りある資源を上手に使い回し、環境に与える負担を小さくする循環型社会の実現のための具体的な取り組みです。
Reduce(リデュース)=発生抑制、減量
廃棄物の発生抑制、つまりゴミを減らすことです。部品を交換すれば、長期間使用できる製品を作るなど、商品寿命を伸ばすこともリデュースです。
Reuse(リユース)=再使用
使用済み製品を原型のまま繰り返し使用することをいいます。ビールや日本酒の瓶のようにメーカーに回収されて何度も使用されるリターナーブルびんなどはその代表例です。ビール瓶については、預かり金の払い戻し(デポジット制)も行なわれています。また、自分が使わなくなったものをフリーマーケットで他人に譲ることもリユースにつながります。
Recycle(リサイクル)=再資源化、再利用
リデュースやリユースをしても出てしまう廃棄物は資源として再生利用します。例えば、ペットボトルは細かく砕かれて繊維製品などの原材料として利用されています。
ゼロエミッション
循環型社会の構築を目的として、あらゆる産業から排出される廃棄物を、ほかの産業の原材料として活用するなどによって廃棄物をなくそうとする考え方をゼロエミッションといいます。ただし、一般的には、ここの工場から排出される廃棄物をゼロにする取り組みを指す場合もあります。
個別物品の特性に応じた規制
容器包装リサイクル法
正式には「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」といい、「容リ法」とも略されます。家庭からでされるごみのうち、容量で約60%、重量で約20%を占める容器包装廃棄物のリサイクルシステムの構築を目的として制定されました。
容リ法の対象物
容リ法では、容器又は包装のうち中身の商品を消費したり、分離したりした際に不要となるものを「容器包装」と定義しています。したがって、次のものは容リ法の対象になりません。
容リ法の対象外となるもの(例)
中身が「商品」でないもの |
l 手紙やダイレクトメールを入れた封筒。 l 景品を入れた箱や紙袋。 |
「商品」ではなくサービスの提供に使うもの |
l レンタルビデオ店の貸出用の袋。 l クリーニングの袋。 l 宅配便の袋や箱。 |
分離しても不要にならないもの |
l 音楽用CDのプラスチックケース。 l 楽器屋カメラの専用ケース。 l 日本人形を飾るガラスケース。 |
対象となる「容器包装」は次の8品目
事業者に再商品化(リサイクル)義務があるもの
- ガラス瓶
- PETボトル
- 紙製容器包装
- プラスチック製容器包装
事業者に再商品化(リサイクル)義務がないもの
- アルミ缶
- スチール缶
- 紙パック
- 段ボール
消費者・市町村・事業者の役割分担
容器包装廃棄物の処理について、従来は市町村だけが全面的に責任を担ってきましたが、容リ法においては消費者が分別して排出し、市町村が分別収集し、事業者(特定事業者)が再商品化(リサイクル)するという3社による役割分担が義務付けられました。この事業者には、容器の製造業者だけでなく、容器包装を用いて中身の商品を販売する事業者も含まれます。
食品リサイクル法
正式には「食品循環資源の再利用等の促進に関する法律」といいます。食品廃棄物等の発生を抑制するとともに、食品循環資源の再利用を促進することによって、環境への負荷を軽減しながら、持続的な発展ができる循環型社会の構築を目指します。
食品廃棄物等
製造調理過程で生じる加工残渣で食用に供することが出来ないものや、食品の流通過程または消費段階で生じる売れ残り、食べ残しなどをいいます。
中心的な対象者=食品関連事業者
食品関連事業者が自らまたは再利用事業者に委託して、再利用等の目標を達成する責任を負います。
食品関連事業者
食品の製造・加工業者 |
食品メーカーなど |
食品の卸売・小売業者 |
スーパー、コンビニなど |
飲食店ほか食事の提供を伴う事業者 |
レストラン、ホテル・旅館、結婚式場など |
「食品リサイクル法」に規定されている食品関連事業者の責務として、次の3項目が挙げられています。
食品関連事業者の責務
発生抑制
食品廃棄物などの発生を未然に抑制する。
再生利用
食品循環資源を肥料、飼料、油脂、油脂製品、メタンの原材料として利用する
減量
生ごみの処理機を利用して、食品廃棄物を脱水、乾燥、発酵、炭化する。
家電リサイクル法
正式には「特定家庭用機器再商品化法」といいます。特定家庭用機器(いわゆる「家電4品目」)について、廃棄時に消費者自身がリサイクル費用を負担することを定めています。
特定家庭用機器(家電4品目)
- エアコン
- テレビ
- 電気冷蔵庫及び電気冷凍庫
- 電気洗濯機および衣類乾燥機
消費者は買い替え等で破棄する際に、販売店にリサイクル料を払って引き取ってもらい、引き取った販売店はメーカーが指定した引き取り場所に引き渡し、リサイクル施設で再商品化することが義務付けられています。
また2013年からは、「使用済小型家電機器等の再資源化の促進に関する法律(小型家電リサイクル法)」に基づいて、携帯電話、デジタルカメラなど使用済小型家電もリサイクルの対象とされています。
PCリサイクル法
正式には「資源の有効な利用の促進に関する法律(資源有効利用促進法)」といいます。家電製品とは別に、パソコンはメーカーによる回収・リサイクルが義務付けられています。
使用済みパソコンは、企業などで使用されていた事務系パソコン、家庭などで使用されていた家庭系パソコンに分類されます。対象となるのはディスクトップ本体とディスプレイ、ノート型パソコンです。
事業系パソコン、家庭系パソコンともに法律に基づいて回収が行われ、メーカーが新たな資源として活用します。
おわりに
環境資源を破壊しないために、あらゆる法律やルールがあります。それは、これからも便利で快適な暮らしを守り続けることにつながります。住みやすい環境を実現させるためには、消費者・市区町村・事業者の全員が一体となって、協力していかなければならないのです。
【5分で納得】食に関する法規
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はじめに
食に関する法規をまとめてみました。ぜひ、「こんなものがあるんだ!」と参考にしてください。
食生活に関する法律
食品表示法
JAS法、食品衛生法、健康増進法に定められていた食品の表示に関する規定を統合し、食品表示に関する包括的かつ一元的な制度を創設するものとして策定された法律です。2015年7月1日に施行されました。
食糧法
正式名称は「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」。
従来は食糧管理法に基づき、米や小麦などの生産・流通・消費の全過程を政府が統制していましたが、1995年に食糧管理法は廃止され、新しい食糧法によって民間流通を中心とした現在の食料制度に移行しました。
食育基本法
「食育」とは、食に関する知識と食を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することのできる人を育てる取り組みをいいます。食育基本法は食育に関する基本理念を定めるとともに総合的計画的に食育に関する施策を推薦して行くための法律です。
食品安全基本法
食品安全基本法は、食品の安全性確保に関する施策を総合的に推進するための法律。食品の安全性の確保に関する基本理念や施策の策定に関する基本方針を定めるほか、国・地方公共団体・食品関連事業者の責務、消費者の役割について規定します。
JAS法
正式名称は「農林物資の規格等に関する法律」。
飲食料品や農林物資が一定の品質または特別な生産方法で作られていることを保証するJAS規格制度を定めており、この規格を制定し、普及させることによって品質の改善、生産の合理化、取引の単純公正化などを図ります。JAS規格の検査に合格した製品にだけ、JASマークを付けることが認められています。
食品衛生法
衛生面からの安全確認
食品の安全性確保のために公衆衛生の見地から必要な規制を行うことにより、飲食によって起きる危害の発生を防止する法律です。国民の健康の保護を目的としており食品・添加物・容器包装などの規格基準の策定のほか、規格基準に適合しない職員等の製造販売等の禁止等による飲食店との営業許可、農薬等の残留規制の強化(ポジティブリスト制度)など広く食品と関係する事項を対象としています。従来は食中毒などの見地から販売用の食品の添加物の表示に関する基準を定めていましたが、食品表示に関する規定は食品表示法に移管されました。
農薬の使用に関する規制
農薬の使用については残留してはならない農薬だけ基準値を定めてリスト化していたので、基準値の定められていない。農薬が食品から見つかっても、その食品の流通を規制することができませんでした。
そこで2006年、ポジティブリスト制度が始まり、原則としてすべての農薬に基準値を定めました。現在では基準値を超えた残留農薬が見つかったときは、その食品の流通を禁止することができます。
従来の制度との比較
従来の制度 =ネガティブリスト制度 |
2006年5月末〜 |
l 原則規制がない状態 l 規制するものだけをリスト化 l リスト外のものは規制できない |
l 原則規制された状態 l 使用・残留を認めるものをリスト化する l リスト外のものについては一律基準を適用 |
健康増進法
国民保健の向上を図ることを目的とした法律です。病者、妊産婦、乳幼児などの特別の用途に適用する旨の表示をしようとする場合は、健康増進法に基づく国の許可が必要です。特定健康用食品と特別用途食品がこれに該当します。なお、従来は栄養成分表示についても定めていましたが、食品表示法に移管されました。
景品表示法
正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」です。
広告や容器に書かれている商品説明などが実際よりも優れているような表示になっていたり、過大な景品を付けて販売したりする行為を禁止することにより、一般消費者の利益を保護することを目的とした法律です。
また、景品表示法は、事業者等が内閣総理大臣及び公正取引委員会の認定を受けて表示や景品類に関する自主的なルールを定めることを求めています。このような業界ルールを公正競争規約といいます。
ISOのマネジメントシステム
ISO(国際標準化機構)とは、電気および電子技術分野を除く全産業分野の国際的な規格を策定している国際機関です。
代表的なISO規格
ISO9001 (品質) |
製品やサービスの品質向上によって、顧客や市場ニーズに応えるための品質マネジメントシステムの国際規格。最近はコンプライアンスやコーポレートガバナンスの要素の一つである業務効率の改善や組織体系の評価にも活用されている。 |
(環境) |
「サスティナビリティ」の考え方に基づき、環境リスクの低減と経営との両立を目指す環境マネジメントシステムの国際規格。 |
ISO22000 (食品安全) |
HACCPの手法を取り入れた食品安全マネジメントシステムの国際規格。 |
コンプライアンス
「法令遵守」ともいい、法律や社会のルール違反に反することなく、企業活動を行うことを意味します。食品の偽装表示事件などが相次ぐ中、コンプライアンスの重要性が再認識されています。
コーポレートガバナンス
「企業統治」ともいい企業の健全に運営して行くための仕組みをいいます。
コーポレートガバナンスの主な目的
- 経営者に権力が集中することによって起こる弊害を監視し、防止する。
- 組織ぐるみの違法行為を監視し、防止する。
- 企業理念の実現に向けて業務が行われているか監視する。
サスティナビリティ
持続可能性という意味です。環境問題に対する取り組みや社会貢献活動といった社会的側面を含め、継続性を持って企業活動を続けられるようにしようという考えです。
おわりに
全ての法律は長い歴史の中で、世の中を良い方向へと導くために作られたものです。今後、企業には健全な業務運営が求められるのは間違いないです。
【5分で納得】貿易
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はじめに
今回は輸出・輸入に関するさまざまな制度と円高・円安の意味とその影響を解説していきます。ぜひ見ていただけたら嬉しいです。
貿易と国内産業保護
国と国との商取引(輸出・輸入)を貿易といいます。日本の貿易は、原料を輸入して工業製品を輸出するというスタイル(加工貿易)が基本です。しかし、近年は日本の企業が海外に工場を作り、そこで生産した製品を日本で販売する逆輸入が増加しています。国内では手に入りにくい商品を、個人がインターネットなどを利用して購入する個人輸入も盛んです。
輸入品には関税が課されます。例えば、1万円の商品を輸入したとき、関税率が60%であれば国内では1万6千円になります。関税は国の財政収入になるだけでなく、国内産業を保護する目的があります。輸入や関税に関する制度を見ていきましょう。
セーフガード
特定の品目の輸入が急増し、国内産業に重大な損害を与えるか、または与える恐れがある場合に取られる緊急輸入制限措置です。関税の引き上げや輸入数量の制限を行ないます。
セーフガードは、GATT(関税及び貿易に関する一般協定)の特例に基づき行われます。これは世界貿易機構(WTO)のセーフガードに関する協定によって明文化された国際協定です。
輸入割当制度
輸入数量の増加によって、国内産業が損害を被ることを防ぐため、特定品目の輸入数量を割り当てる制度です。輸入割当数量を超過する輸入を禁止します。
ミニマムアクセス
米など国内消費量に比べて輸入の割合が低い品目について、最低限の輸入機会を設ける制度です。最低限輸入義務などと訳されます。
特恵関税制度
開発途上国から輸入される一定の農水産品や鉱工業産品に対し、一般の関税率よりも低い税率(特恵税率)を適用する制度です。開発途上国の輸出所得を増大させ、工業化や経済発展の促進を図ることが目的です。
為替市場と円高・円安
外国為替市場
日本の企業が外国と貿易をする場合、日本円と外国通貨を交換する必要があります。異なる通貨を交換することを外国為替といい、自国通貨と外国通貨を交換(売買)すれ場のことを外国為替市場といいます。また、通貨を交換するときの交換比率を為替相場または為替レートといいます。
市場といっても株式市場のように取引所があるわけではなく電話やインターネットなどの通信手段を通じ市場への参加者が互いに冷凍出し合いそれぞれ会いたいで取引を行えます市場参加者のほとんどが銀行であることからインターバンク市場と呼ばれています。
円高と円安
為替相場は、市場における外国為替の需要と供給の関係によって響くと変化します。
1ドル=120円の時は、1ドルの商品を買うのに120円が必要です。ところが、1ドル=80円になると同じ商品が80円で買います。つまり、円の値打ちが上がっているわけです。これを円高といいます。円高になると外国への旅行が得になったり、輸入品が安く買えるため、輸入産業はコストが下がり、利益が増えます。しかし、輸出産業は、例えば、1ドルの車を売る場合1ドル=120円のときは120万円の売り上げになるのに1ドル=80円のときは80万円の売り上げにしかならず、利益が減ってしまいます。
一方、円安の時はこれと逆のことが起こります。つまり、輸入業者にとっては輸入代金が高くなるため、利益が減ってしまいますが、輸出業者は売上が上昇するため、利益が増えます。ただし、円安が進むことによって諸外国との貿易摩擦を引き起こす可能性があります。
円高円安ともメリットとデメリットがあります。どちらも急激に進行すると、国内経済に混乱を招くため、為替相場の安定が望まれます。
おわりに
私も意外と円安と円高の時にどうなるのかがごっちゃになります。具体例と一緒に理解すると頭に入りやすいので、ぜひ今回解説した具体例とともに流れをつかんでください。
【5分で納得】世界と日本の食料事情
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はじめに
みなさんは、学校の授業で日本の食料自給率は約4割と聞いたことがあるのではないでしょうか。「それはなぜなのか?」また、「世界と比べてどうなのか?」という問いに対して、すぐに答えられますか。なかなか考えたことないですよね。
今回は日本と世界の食料事情とその原因を解説していきます。
世界の食料事情
日本では、毎年、農林水産省が「食料需給表」を作成、公表し、国際食料農業機構(FAO)と経済協力開発機構(OECD)に報告しています。食量需給法はFAOの手引きに沿って作成されるため、世界の食量事情を比較することができます。
世界を先進国と途上国とに分けた場合、先進国では、飽食、食料ロス、エネルギーや動物性脂肪の過剰摂取による生活習慣病などが問題となっています。一方、途上国では飢餓、栄養不足、マラスムス、クワシオコールなどが問題となっています。
日本の食料自給率
食料自給率の算出方法
食料の消費が国内の生産でどの程度まかなえているかを示す指標を食料自給率といいます。次の3種類の算出方法があります。
カロリーベース
食料に含まれる熱量(カロリー)を用いて計算した自給率です。近年横ばい状態が続いています。一般的には、これによって食料自給率が算出され、諸外国との比較にも用いられます。なお、畜産物(牛乳や卵、肉類など)は飼料自給率を考慮して算出します。
カロリーベース自給率=国産供給熱量÷供給熱量×100
農林水産省が2005年に作成した「食料・農業・農村基本計画」では、基本的に食料として国民に供給される熱量の5割以上を国内生産で賄うことを目標とし、2025年度にはカロリーベース45%、生産額ベース73%を目標としています。
生産額ベース
野菜などの価格を用いて計算した食料自給率です野菜や果物といった低カロリーの食料はカロリーよりも生産額ベースの方が的確に精算等を反映できるという特徴があります。
重量ベース
食料の重さを用いて計算した自給率です。品目別の自給率はこれによって算出されます。
食料自給率低迷の原因
日本の食料自給率は、長期間にわたって低迷しています。農業生産が消費者のニーズに対応できず、生産が減少傾向にあることが原因とされ、具体的には自給率の高い米の消費が減ったことや、飼料穀物など大量の輸入農産物を必要とする畜産物や油脂の消費が増大したことなどが挙げられます。
日本の食料自給率の推移
|
1965年 |
1995年 |
2017年 |
カロリーベース |
73 |
43 |
38 |
生産額ベース |
86 |
74 |
65 |
62 |
30 |
28 |
|
飼料自給率 |
55 |
26 |
26 |
世界の食料自給率
先進諸国の食糧自給率をカロリーベースで見ると、日本は40%未満です。日本は先進諸国の中で最低の自給率ということがわかります。
先進諸国の食料自給率(カロリーベース:2013年)
カナダ |
264% |
イギリス |
63% |
オーストラリア |
223% |
イタリア |
60% |
アメリカ |
130% |
スイス |
50% |
フランス |
127% |
… |
… |
ドイツ |
95% |
日本 |
39% |
おわりに
食料自給率といっても、カロリーベース、生産額ベース、重量ベースと3種類あります。物事をはかる基準が違えば、結果は変化してきます。ただ、カロリーベースで日本の食料自給率を見た際、極めて低いことがわかります。今後どのようにしていかなければならないのかを一緒に考えていきましょう。
【5分で納得】暮らしと経済
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はじめに
今回は食のお金にまつわる話を解説していきます。他のジャンルでも使うことができるので、ぜひ参考にしてください。
経済主体としての家計
経済
生活のために必要な物品を財といい、生活に役立つ通信や交通、医療、教育などをサービスといいます。そして、売買するために生産された財やサービスのことを商品と呼びます。経済とは、商品の生産と消費を中心とする人間の活動です。経済活動を行う主体は企業、家計、政府の3つに分けられます。
収入と所得
収入は、給料などとして入ってきた総額をいいます。また、所得は収入から経費などを引いた額をいい、この所得が所得税を計算するベースになります。
家計
生産活動は、収入を生み出し、消費活動は支出を伴います。家計とは、家庭における収入と支出のことをいいます。
個人の総所得から税金や社会保険料を差し引いた残りの金額を可処分所得といいます。いわば、自ら自由に使える金額であり、このうち消費支出に回される額の割合を消費性向といい、貯蓄に回される額の割合を貯蓄性向といいます。
物価のインフレ・デフレ
色々な商品の価格を総合し、平均してみたものを物価といいます。物価の動きは基準となる時期を100として、今月は102だとか、97だとかというように指数として捉えます。
消費者物価
消費者物価は暮らしの状態を図る経済指標のひとつです。総務省統計局が全国の消費者が購入する商品の平均的な価格の動きを測定し、毎月、消費者物価指数として公表されています。
調査方法は専門調査員が百貨店、スーパーマーケット、専門店、一般商店などに直接行き、商品の価格を調べます。これに基づいて、指数が算出されますが、品目の銘柄を指定し、同じ品目が継続して調査されます。
企業物価
企業物価は、企業間で取引される卸売段階の商品価格水準をいいます。景気の動向を示す指標で、毎月、日本銀行調査統計局が公表しています。これを企業物価指数といいます。
我が国で示される主な経済指標には、消費者物価指数企業物価指数のほか、実質GDP、景気動向指数、日銀短期経済観測(短観)、マネーストック(マネーサプライ)、百貨店売上高、新車販売台数、住宅着工統計などがあります。
物価が上がると同じ金額で買える商品の量が少なくなるため、貨幣の価値が上がります。賃金が名目上10%増えても、物価が10%以上高くなれば、実質賃金は下がったことになります。物価が上がり続ける現象をインフレーション(インフレ)といい、逆に物価が下落し続ける現象をデフレーション(デフレ)といいます。それぞれの特徴のまとめておきましょう。
インフレーション
貨幣の価値が下がるので、預貯金を持っている人や年金生活者にとって不利。インフレの主な原因は次の二つ。
- 商品が流通するのに必要な通貨量よりも多くの通貨が出回り、そのため消費者の需要が膨らんで商品の価格が上がる場合(ディマンドプルインフレ)
- 原材料などが高くなり、生産コストが上昇したことによって、商品の価格が上がる場合(コストインフレ)
通貨量が不足し、需要が控えられることで商品価格が下がる。近年では、外国から安い商品の流入に対抗して国産品の価格引き下げが行われる場合がある。
企業の売上高が減少するため、利益が上がらず、生産が衰えて不景気になる。特に低収益体質の企業はダメージが大きく賃下げやリストラ、倒産が起こり失業者が増える。
デフレで消費者の購買力が低下し、さらなるデフレを招く悪循環に陥った状態をデフレスパイラルといいます。また、景気が停滞している状況の中、過剰な金融緩和や資源価格の上昇などが原因で、インフレが同時に起こってしまう現象をスタグフレーションといいます。
インフレやデフレは、企業にとっても消費者にとっても望ましいことではありません。物価の安定は国民が安心して生活するためにとても重要なことです。
規制緩和と自由競争
日本の経済活動は、その1/4が官公庁から何らかの形で制限を受けているとされています。その規制の中には、企業を保護するために国民が不利益を被っているものもあります。例えば、ビールの生産と販売には年間の最低製造数量基準が設定されていたため、大企業以外は算出することができませんでした。その規制に対し、大企業以外の企業も参入できるように、最低製造数量基準が引き下げられたのが規制緩和です。これによって、現在では各地で自ビールを生産販売できるようになっています。
しかし、品目によっては再販制度(再販売価格維持制度)が取り入れられており、企業が設定した価格が維持され消費者は、新品を安く購入することができない仕組みになっています。この場合、自由競争の原理が活かされていないということになります。
税金と確定申告
財政と税金
政府が行う経済活動を財政といい、政府の1年間の収入、支出それぞれの歳入、歳出といいます。歳出は原則として税金(租税)によって賄われます。
主な税金
|
直接税 |
間接税 |
|
消費税、印紙税、酒税、たばこ税 |
|||
都道府県税 |
|||
市区町村税 |
市(特別区)町村民税、固定資産税 |
市(特別区)町村たばこ税 |
所得税や法人税などのように、税金を納める義務のある人(納税義務者)と税金を負担する人(税負担者)とが一致する税を直接税といいます。これに対して、納税義務者と税負担者とが一致しない税金を間接税といいます。例えば、消費税や酒税の場合、販売者や生産者が納税義務者ですが、実際にお金を負担するのは消費者です。
所得税
所得に対して所得税が課されます所得税が課される所得には様々な種類があります。
所得の種類
事業所得
農業、漁業、製造業、卸売業、小売業など事業からの所得
不動産所得
家賃、地代、駐車場代などを所有している不動産貸したことによる所得
給与所得
会社員などの給与・賞与による所得(現物によるものも含まれる)
雑所得
譲渡所得
資産を譲渡したり、売却した場合の所得
配当所得
株式や出資金の配当からの所得
利子所得
預金金利など分配金からの所得
所得税の税率は一律ではなく、所得に応じて段階的に引き上げられる累進課税制度が取り入れられています。
消費税
消費税は、原則として、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等及び輸入取引を課税対象としています。しかし、取引の性格上消費税の課税対象として馴染まないものや、社会政策的配慮から、課税しないもの(非課税取引)があります。
消費税の非課税取引
- 土地の譲渡・貸付有利子
- 有価証券(社債、株式等)の譲渡
- 支払手段(紙幣、小切手等)の譲渡
- 利子、保険料
- 切手・印紙等の譲渡
- 商品券・プリペイドカード等の譲渡
- 住民票・戸籍抄本等の行政手数料
- 外国為替業務サービス
- 社会保険料医療の給付
- 介護保険サービス
- 社会福祉事業等によるサービス
- 出産費用
- 埋葬・火葬料
- 身体障害者用の物品の譲渡・貸付
- 学校の授業料・施設設備費等
- 教科用図書の譲渡
- 住宅の貸付
消費税の表示は原則消費税を含んだ支払総額を提示する総額表示方式が義務付けられています。
確定申告と年末調整
確定申告とは、納税者自ら1年間に生じた所得とそれに対する所得税を計算して申告し、納税すべき税額を確定する手続きで、会社員など給与所得の場合は会社員が給与を支払う際に所得税を差し引いてから支払います(源泉徴収)。この税額は一定の仮定を元に計算したものにすぎないため、年間の給与所得が確定する12月に会社が正確な税額を計算して過不足を調整します(年末調整)。
給与所得者で確定申告をする必要がない場合でも、所得税を納め過ぎている場合には還付申告をすることで、還付を受けることが出来ます。還付申告ができるのは、一定の要件のマイホーム購入や住宅改修、医療費、寄付金についてなどです。
おわりに
経済活動の基礎となる部分を必要最低限解説しました。せっかくなので、この機会に自分の給与等を見直してみてください。かなり理解が深まると思います。
【5分で納得】飲食業の経営管理
特に見てほしい方
☑︎食品関係で仕事をしている方
☑︎健康管理に興味がある方
☑︎食生活アドバイザー検定を受ける方
はじめに
皆さんは物事に対して、一番になりたいと思ったことありませんか?僕はあります。ただ、どのジャンルにも、上には上がいると日々感じています。知りたい、楽しみたいという欲のまま、前に進んでいます。
今回は競争を勝ち抜くため・生き抜くための飲食業の経営管理を解説していきます。
飲食業マネジメントのポイント
QSC
飲食店における営業活動戦略としてまずどのようにして顧客を増やし売上や利益を上げていくのかを具体的に計画して行くことが必要です。そのためには、次の3つの視点からレベルの向上を図ることが重要とされています。その3つの頭文字合わせてQSCといいます。
Quality(品質)
料理そのものの品質です。 特に味はその店のオリジナリティーを表現する上で最も大切な要素です。
Service(奉仕)
接客サービス、店内メニュー、販売促進活動が含まれます。業態によりフルサービスとセルフサービスに分かれます。従業員のレベルアップが重要です。
Cleanliness(清潔)
店内の清掃や衛生管理のことです。
人事管理と従業員教育
飲食店の運営には、従業員の力が大きく影響します。特に、顧客に接する従業員は店の顔となります。顧客の満足度を高めるためには、適切な人事管理のほか、試練や躾を行う必要があります。
人事管理と従業員教育のポイント
人事管理 |
適正な人事費の範囲内でのシフトスケジュール管理。 |
教育訓練 |
接客サービスのテクニック、もてなす心使い。 |
躾 |
社会人として顧客に接する言葉遣い、立ち居振る舞い。 |
商品の企画と開発
定期的な市場調査や消費者の声を参考にして、顧客が欲しがる商品をタイミングよく提供すること(メニューメイキング)が売上向上や顧客の増加につながります。年中行事や季節、休暇期間などをよく検討し、年間計画を立てて行うと効果が上がります。
また新しいメニューの企画開発から販売までの期間設定及び顧客への事前告知も必要です商品の企画開発と販売促進活動は連動して実施することが大切です。
メニュー計画
ターゲットの客層を絞り込んだ上、何を、いつ、どのようにどれくらい売るかを計画します。
メニュー価格の設定
価格の安い店は来店頻度を上げてもらう必要があるため、人気店のある定番商品を持つことが重要です。一方、価格の高い店は収益確保のため、広い範囲から顧客を集める必要があるので、交通の便や駐車場の整備などが必要となります。
メニュー変更
メニューの内容や組み合わせを上手に変更することは、集客につながるだけでなく、仕入れや調理技術の改善によって利益率が向上することも期待できます。
メニュー変更の際には「ABC分析」が役立ちます。各商品を売上や利益などの割合でランク付けする方法であり、割合(累積構成比)の高い順番にA・B・Cの3つのグループに分け、Cグループをメニュー変更の対象とします。
ABC分析のランクづけの仕方
A |
全体の売上の75%までを占めるメニュー |
B |
全体の売上の20%までを占めるメニュー |
C |
残り5%のメニュー |
経理と計数管理
経理とは、売上や利益がどうなっているかを数値として記録することです。営業活動の数値を管理することによって、経営状況を正確に把握することができ、これを分析して売上や利益の向上に役立てます。
マーケティングの4P
飲食店が業界で生き残っていくためには、マーケティングの目標を定め、それを達成するために活動して行くことが必要になります。
Product(商品)
消費者の目的や選択の傾向を調べ提供する商品(メニュー)の計画を立てます。消費者に受け入れられる商品を計画、開発、調達して提供していくことが大切です。
Price(価格)
一人当たりの客単価を考え、組み合わせて注文してもらえるかどうかなどの戦略を立てます。その前提として消費者に楽しんでもらえるということが重要であり、消費者のニーズに合わせた価格設定をすることが大切です。
Place(場所)
飲食店の場合、店舗の立地も重要になります。また、消費者がよく利用する時間帯、何を目的としているのかなども考えることが必要です。
Promotion(プロモーション)
企画、開発、調達した商品を導入するだけでなく、消費者が食べてみたいと思えるように働き語りかけていくことが必要です。新しい商品に関する情報を消費者に提供し、食べてもらえるようにしていきます。
算出方法
粗利益とは、売上から原価を差し引いたものをいいます。そこからさらに人件費、家賃、水道光熱費などの必要経費を引いたものが営業利益です。
利益を上げるためには、売上にかかる原価や経費を必要最小限に抑えることが必要です。
粗利益の算出方法
粗利益=売上高−売上原価
ただし、飲食業の場合、売上原価はその店で調理した食材の仕入高になるため、次の式でも求められます。
粗利益=売上高−仕入高
粗利益率の算出方法
粗利益率とは、売上高に占める粗利益の割合です。
粗利益率=粗利益÷売上高×100
原価率の算出方法
売上原価率は売上に占める売上原価の割合です。
売上原価率=売上原価÷売上高×100
商品ごとの原価率は、その商品の販売価格に占める仕入価格の割合なので、次の式で求めます。
商品原価率=仕入価格÷販売価格×100
おわりに
経営していくためには、ミクロの視点とマクロの視点が大切になっていきます。また、販売者目線と消費者と一つの物事の対して、二つ以上の目線が必要です。今回学んだことは、食に限らず、全てのことに繋がる内容です。しっかり流れだけでも掴んでいただければと思います。
【5分で納得】ミールソリューション
特に見てほしい方
☑︎食品関係で仕事をしている方
☑︎健康管理に興味がある方
☑︎食生活アドバイザー検定を受ける方
はじめに
今までは家庭内で食べることがメインでしたが、最近では外食が増えてきています。私も、仕事の合間のお昼は、ご飯を食べに行くことが多いです。
今回は、食の外部化の背景や食に関するあらゆる問題の解決策を解説していきます。
食事のあり方
目指すべき食事
食事を通じて家族や仲間とのコミュニケーションを図り、食事作りにも参加して、食生活に関する知識や技術を身につけながら、楽しく美味しく食べられる食事が理想的といえます。
かつては家族が同じ時間に一緒に食事をすることが一般的でした。しかし、近年ではライフスタイルの変化や単身者世帯の増加などに伴い、家族揃って食事をする機会が減少傾向にあります。
問題のある食事
孤食
一人きりで食事をすることを孤食といいます。核家族で共働きが、当たり前となった現在、孤食する人が増えています。栄養素の摂取が偏りがちになり、子供の場合は心の状態にまで影響の出ることが指摘されています。
個食
家族が揃っていても、一人ひとりが異なる内容の食事を取ることを個食といいます。家族間で美味しさを共感する楽しみが減り、栄養素の摂取も偏りがちになります。また、一人ひとりが異なる内容の食事をとる理由として、食物アレルギー問題などが増えてきたことも挙げられます。
欠食
食事を抜くことを欠食といいます。規則正しい食事が難しくなってきているほか、ダイエット志向なども要因として挙げられます。特に、朝食の欠食が増えており、食生活リズムの乱れを助長しています。
ミールソリューション
食の外部化
かつては生鮮食品を購入し、それを家庭で調理して家族一緒に食べるというスタイル(内食)が一般的でした。ところが、1970年代にファミリーレストランやファーストフードが普及、定着し、「外食」が産業として発達しました。さらに、1990年代には内食と外食の中間形態としてスーパーマーケットやデパ地下(デパートの地下にある食料品売り場)の惣菜、コンビニエンスストアなどの弁当が「中食」と呼ばれて急成長しました。
内食 |
生鮮食品を購入し、家庭内で調理して家庭内で食べること。 |
外食 |
レストランやファーストフード店での食事、学校給食など、家庭の外で食べること。 |
中食 |
内食と外食の中間形態。スーパーマーケットやデパ地下の惣菜、コンビニエンスストアの弁当を家庭に持ち帰って食べること。 |
外食や中食といった食の外部化が進んだ要因としては、女性の社会進出が挙げられます。その他調理に時間をかけられない人に取って、手間をいかにして省くかは切実な問題です。少子高齢化が進み、一人暮らしや夫婦だけの世帯が増えたことも一因といえるでしょう。
消費者が抱えている食の問題について共に考えよりよい解決策を提供することはとても重要です。
ミールソリューション
食に関するあらゆる問題点について、解決策を提案して行く手法をミールソリューションといいます。1990年代、アメリカのスーパーマーケット業界が外食産業に対抗するために打ち出したマーケティング戦略であり、これによって、以前は生鮮食品の提供を中心としてきた小売店が「食卓を提案する」という新しいスタイルへと変化しました。また、品揃えや売場作りなどにもさまざまな工夫が見られるようになりました。
いろいろなミールソリューション
デパ地下
デパートの地下にある食料品売り場です。特に惣菜や弁当、スイーツ、酒類が充実しています。有名店がテナントとして出店していることが多く、集客効果をもたらします。
駅ナカ
電車の駅構内に展開している店舗をいい、惣菜店や高級スーパーなどが出店しているところもあります。通勤途中に利用できるので便利です。
ホテイチ
ホテルの1階にある惣菜のテイクアウトコーナーのことをいいます。宿泊客でなくても利用することができ、ホテル特有の高級食材を使った総菜や焼きたてのパンなどが販売されています。
デリカテッセン
持ち帰り用の洋風惣菜やサンドイッチなどを販売する飲食店をいいます。店内がカジュアルレストランやファーストフード店になっているところもあります。
ホームミールリプレースメント
ホームミールリプレースメント(HMR)とは、直訳すると「家庭の食事に代わるもの」という意味です。
元々は、アメリカの食品小売業や外食産業が、中食市場に参入してきた時に使ったキャッチフレーズであり、簡単な調理をするだけ、あるいは、盛り付けるだけで食卓に出せる食事をいいます。
HMRの4つの形態
- Ready to prepare(レシピと材料が準備されている)
- Ready to cook(下ごしらえまでされている)
- Ready to heat(温めるだけで食べられる)
- Ready to eat(盛り付けるだけで食べられる)
単身者の増加、働く女性の増加など社会的環境変化の中で、外食や中食の傾向が強くなりましたが、毎日の食事を外食や中食だけで済ますのは、経済的な理由はもちろん、特に子供を持つ親にとっては抵抗感が強いものです。そこで、ミールソリューションの一つの手法として、簡単な調理して食べられるHMRが広く利用されるようになりました。
加工食品メーカーも利便性を追求した冷凍食品やチルド食品を強化し、電子レンジやオーブンで1度に容器ごと加熱して食べられる食品などが数多く登場しています。
おわりに
家族と一緒に食べるという食は、時代と共に変化し、今やさまざまになりました。ただ、食事を通じて家族や仲間とのコミュニケーションを図り、食事作りにも参加して、食生活に関する知識や技術を身につけながら、楽しく美味しく食べられる食事を忘れずに大切にしていきましょう。
経営戦略と物流
特に見てほしい方
☑︎食品関係で仕事をしている方
☑︎健康管理に興味がある方
☑︎食生活アドバイザー検定を受ける方
はじめに
コンビニで買い物をしたことない人はいないと思います。みなさんはコンビニやスーパーに行って、本当に買いたいものだけを買っていますか?商品の棚の置き方で選ばされていませんか?
ご存知の方も多いと思いますが、お店はお客様に商品を買ってもらう工夫を非常に凝らしています。なので、今回は経営戦略と物流を解説します。
マーチャンダイジング戦略
マーチャンダイニング
どのような商品を、いくらで、どのように提供するのかを計画し実行することをマーチャンダイジング(商品化計画)といいます。限られた売り場スペースで上げられる利益を最大化するための方策といえます。
マーチャンダイジングの流れ
計画
↓
仕入れ・品揃え
↓
価格の設定
↓
陳列
↓
販売活動
値入れと値つけ
仕入れ値に利益を上乗せして売り値を決めることを「値入れ」と言います。これに対し、「値つけ」とは、売値を表示したプライスカードやシールなどを商品につける作業をいいます。
リードタイム
商品発注してから納品されるまでに要する時間。
「品切れ」と「欠品」
商品が売り切れて在庫がなくなることを「品切れ」といいます。一方、発注や配送ミスなどによって予定していた数量の商品を取り揃えていない状態(または不足している商品)を「欠品」といいます。
機会損失(チャンスロス)
品切れや欠品がなければ得られていたはずの売上や利益を失うことです。機会ロスともいいます。
先入先出
在庫管理において商品の鮮度維持と回転率を高めるため、先に入荷した商品から先に売れるように陳列する方法をいいます。牛乳や豆乳などの日配品は鮮度管理が重要なため先入先出が基本とされています。
エンド
食品陳列棚の両端に位置する、顧客の目に留まりやすい場所をいいます。エンド陳列されるのは、商品や季節商品、重点販売商品などです。
フェイス
商品陳列などに陳列されている商品パッケージの正面を意味します。「フェイス数」といい、陳列棚にどれだけの数量を並べたかを表す単位にもなります。
補完商品と代替商品
補完商品とは、コーヒーと角砂糖のように両方とも一緒に入れる可能性がある商品の事をいいます。一方、代替商品とはバターとマーガリンのようにどちらかが売れれば他方は売れない可能性がある商品の事をいいます。
POSシステム(販売時点情報管理)
スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどのレジでは、商品に付けられたバーコードを読み取って清算を行います。この時、どの商品が、いつ、いくらで、何個売れたかといったデータが記録されます。このように商品が販売された時点で商品情報を記録し、その集計結果を在庫管理やマーチャンダイジングに活用するシステムのことをPOSシステム(販売時点情報管理)といいます。
在庫状況が即座に分かる為、品切れや欠品をなくして、機会損失を減らすだけでなく、データを元にした計画的な品揃えや食品陳列が可能となります。また、マーケティングが容易になるため、プライベートブランドの開発にも役立ちます。
進化する物流
消費者起点流通
POSシステムの発達によって売れ筋商品・死に筋商品の情報を小売業者が的確に努めるようになったことから、消費者ニーズがより直接的にマーケティングに影響を与えるようになりました。
従来のような「生産したから保管する」「注文があったから出荷する」という形ではなく、「売れる物を売れる時に売れる数だけ納品する」という流通形態に変化してきたのです。このような、消費者を中心とした流通形態を消費者起点流通といいます。
ロジスティックス
顧客サービスを中心として、物流を効果的総合的に行うシステムをロジスティックスといいます。物流を戦略的に捉えて管理する技法であり、輸送だけでなく在庫計画保管や包装二百などの業務を含め。 企業経営における物資の移動について体系的に捉え、効率的な運営を目指そうというものです。
ロジスティックスを実現するためにの仕組みの一つに、「必要なものを、必要な時に、必要なだけ」供給するジャストインタイムというシステムがあります。これは、トヨタ自動車が部品調達の効率化図るために開発した「かんばん方式」と呼ばれる手法を流通に応用したもので、「多品種・小口・多頻度」の物流を可能にします。コンビニエンスストアを中心とした大手小売業の多くは、在庫を増やしたくないこと、惣菜や弁当など鮮度を大切にする商品が多いなどからジャストインタイム物流(多頻度小口配送)を導入しています。
SCM(サプライチェーンマネジメント)
原材料の調達から生産、流通へと商品が最終消費者に至るまでの流れを「供給連鎖(サプライチェーン)」として捉え、その全体を、自社だけでなく、仕入先や取引先をも含めてコントロールすることをいいます。責任範囲を明確にし、コスト改善を図り、利益配分を実現化していくシステムといえます。
グリーンロジスティックス
企業にとって効率的であっても、物流は交通渋滞を招いたり、排気ガスによる大気汚染の原因となったりするなど環境問題を引き起こす可能性があります。そこで、環境問題に配慮した物流として、原材料調達から商品の輸配送、廃棄、リサイクルまでをトータルに考えるグリーンロジスティックスが推進されています。
おわりに
やはりお店は売りたい商品をお客様に売るために工夫を凝らしており、商品の調達方法も考えられています。最近では、環境に配慮した運営が注目を集めています。
小売業界
特に見てほしい方
☑︎食品関係で仕事をしている方
☑︎健康管理に興味がある方
☑︎食生活アドバイザー検定を受ける方
はじめに
みんさんは普段、お店に実際に足を運んで食料を買いに行きますか?それとも、インターネットで買いますか?僕は、この間、はじめてインターネットで食材を買いました。めちゃくちゃ便利でした。
今回は皆さんが普段利用しているスーパーマーケットなどの小売業界を解説していきます。
小売業の営業形態
八百屋、魚屋など、「何を売るか」という取扱商品の種類によって分類したものを業種といいます。
これに対し、スーパーマーケット、ディスカウントストアの様に、「どんな売り方をするか」といった営業形態で分類したものを業態といいます。
今日では、消費者のライフスタイルの変化やニーズに対応するため、業態がより重要視されています。
店舗を構える小売業
スーパーマーケット |
食料品全般と生活雑貨などを扱う。セルフサービス方式で、大量の商品を安く販売することが基本。 |
年中無休、24時間営業で便利さを追求。約3000品目を取り扱い、宅配便の取次ぎなど、さまざまなサービスを提供する。 |
|
ホームセンター |
|
ディスカウントストア |
EDLP(EveryDay Low Price)をモットーとしている家庭用品、家電品などを常に低価格で販売している。 |
ドラッグストア |
健康と美容をコンセプトとして、医薬品や化粧品、日用品雑貨などを低価格で販売する。 |
アウトドアショップ |
アウトドアを切り口として、スポーツ用品やキャンプ用品、自転車、衣類などを取り扱う。 |
百貨店(デパート) |
衣料品、化粧品、家庭用品、食料品などを豊富に取り揃える。店舗ごとに仕入れを行う独立店舗経営である。 |
消費生活協同組合(生協・コープ) |
消費者が出資金を支払って組合員となり、共同購入に参加したり、店舗で商品を購入したりする。 |
アウトレットストア |
メーカーや卸売業者が、衣料品、靴、鞄など自社製品の過剰在庫品を格安で販売する店舗のこと。 |
専門店 |
書籍やスポーツ用品、靴など単一の商品を絞り込んで専門的に扱う。 |
農業協同組合(農協・JA) |
組合員が共同で購買を行う。一般消費者も利用することができる。安全、安心な商品を供給することや農家の経営の安定、向上を目的としている。 |
店舗を構えない小売業
訪問販売 |
販売員が家庭や職場を訪問して商品を売る小売形態。法律では、喫茶店や路上での販売、ホテルや公民館などを借りて行う展示販売等も含まれる。 |
通信販売 |
カタログ販売 雑誌やカタログに商品を記載し、電話やハガキなどで注文を受け販売する。
テレビ通販 テレビの通信販売などで商品を紹介し、電話等で注文を受け販売する。
オンラインショッピング インターネット上の仮想店舗(バーチャルショップ)で商品を販売するもの。代金の支払いには、クレジットカードやコンビニエンスストアでの払い込みなどが利用できる。 |
スーパーマーケット
1950年代後半の高度経済成長期には、大量生産、大量消費により流通構造も変化しました。これを第一次流通革命といいます。この時期、スーパーマーケットは大きく成長し、多店舗化や大型化が図られました。近年は、価格競争が激しくなったり、出展することによるコストが増大するなどしています。また、様々な業態の店舗が増加して、消費者の流れ、経営が厳しくなっている場合も見られます。
コンビニエンスストア
店舗数が増えたことにより、地域によっては乱立状態も見られ。 近接する店舗の競争が激しくなっています。その生き残りをかけ、立地や認知の修学旅行に注目した。 武雄氏とのコラボレーションなどによって取り扱う商品やサービスが広がっています。
フランチャイズチェーンで運営しているコンビニエンスストアには、次のような特徴があります。
- 売り場面積は30坪(100㎡)程度。
- 24時間、年中無休営業(最近は24時間営業していない場合もある)。
- 半径500メートルが集客の範囲。
- チケット、公共料金の支払いの取扱。
- ATMの設置。
- 少量ずつ頻繁に商品を出荷する多頻度小口物流システムを利用。
ディスカウントストア
大量仕入れ、大量販売、質流れ品の調達、販売などによって、消費者に商品を低価格で販売する業態を言います。中には、独自に商品の販売企画を行ない、生産、調達、販売を一貫して行うことで価格を下げている例もあります。
ディスカウントストアーの形態には、カテゴリーキラー、パワーセンター、ホールセールクラブ、ハイパーマーケットなどがあります。
カテゴリーキラー
家電品、紳士服、玩具など特定の分野の商品を専門的に扱い、総合的な品揃えの大型店の売り場を閉鎖に追い込むような勢いを持つ形態です。
パワーセンター
スーパーマーケットやカテゴリーキラーなどを同じ敷地に集めた郊外型ショッピングセンターで、多くの場合、大手スーパーマーケットや大手小売店が経営母体となっています。
ホールセールクラブ
会員制の低価格の小売業です。元々は中小の小売店に対して現金払い持ち帰り方式(キャッシュ&キャリー)の卸売(ホールセール)業でしたが、小売業として発展し、日本にもアメリカの企業が進出しています。会員になれば、個人でも買い物ができます。倉庫型の店舗で、バラ売りではなく、まとまった単位での購入が可能となっています。
ハイパーマーケット
大規模な店舗に安い価格の多種類の商品を並べて販売する形態です。郊外に設置され、フランスでは売り場面積が2500㎡以上で、販売商品の中心を食料品とし、雑貨や衣類、住関連商品についても品揃えしているものをいいます。
小売業の経営形態
何らかの形で鎖のようにつながっている小売店をチェーンストアといいます。資本や経営の違いによって、3つに分類されます。
レギュラーチェーン
大手スーパーマーケットやデパートなど単一の資本によって、多店舗展開しているチェーン店をいいます。
ボランタリーチェーン
独立した中小小売店の同業者が集まりチェーン化したものをいいます。共同で仕入れや配送、販売促進などを行ない、大手業者に対抗しようというものです。加盟した小売店自らがチェーン本部に参画し、経営の中心となることも可能です。
フランチャイズチェーン
本部企業(フランチャイザー)が加盟店を募集し、一定の地域内での商標等の使用と営業権利を認めて商品を供給する形態です。加盟店はフランチャイジーと呼ばれ、加盟料(イニシャルフィー)や経営指導料(ロイヤリティ)などを支払います。
コンビニエンスストア業界では本部による直営店比率が低く、フランチャイズチェーン方式の加盟店が主流です。加盟店は未経験者であっても、本部からの情報提供やノウハウ指導によって、新規出店をすることができるため、急速な店舗展開につながりました。
加盟店は本部企業から資本的に独立していますが、統一の店舗運営を行うために店舗設備や品揃え、価格などについては本部の統制下に置かれます。
小売業の現状
オンラインショッピングは「ネット通販」とも呼ばれ、「楽天市場」「yahoo!ショッピング」といった仮想商店街への出店が増加しています。実際の店舗では商圏に制約されるのに対し、インターネットでは世界中に拡大する可能性があります。
また、商品企画から生産販売に至るまで一貫した商品調達をすることにより、トータルコストを下げられる流通経路を持ったディスカウントストアが勢いを増しています。
一方、かつて小売業のリーダー的存在と言われたスーパーマーケットは、ここ数年、出店コストの増加や価格競争などにより、経営が厳しい状態となっているところが増えています。コンビニエンスストア業界でも出店が飽和状態になりつつあり、現在では、チェーン店同士の淘汰や再編成などが行われています。また、百貨店業界では、伝統ある老舗が大胆な統合を進めています。
小売業界再編成で誕生した主なグループ
百貨店業界
- 三越伊勢丹ホールディングス(三越、伊勢丹)
- Jフロントリテイリング(大丸、松坂屋)
- セブン&アイ・ホールディングス(そごう、西武他)
- エイチ・ツー・リテイリング(阪急、阪神他)
スーパーマーケット業界
おわりに
最近は小売業界の統合が多いですよね。それは、小売業界を生き抜くために行なっている戦略です。また、コロナの影響もあり、今後、ますますインターネット通販が重要なポイントになってくる可能性があるので、目が離せません。
流通の機能と日本的商慣行
特に見てほしい方
☑︎食品関係で仕事をしている方
☑︎健康管理に興味がある方
☑︎食生活アドバイザー検定を受ける方
はじめに
みなさんはスーパーマーケットに並ぶ食材を見て、どのように食材がその場所まで運ばれてきたかを考えたことはありますか?
今回は流通機能と日本独特な商慣行を解説していきます。
流通の機能
流通
生産された商品が生産者から消費者に渡るまでの一連の経済活動全般を流通といいます。流通の起点となる生産者とは、製造業者(メーカー)、農林漁業者、鉱業者などのことをいい、流通の終点となる消費者(最終購買者)には一般消費者(家計消費者)のほか、飲食業者やホテルなどの業務用購買者、再生産のために原材料を再調達する製造業者等が含まれます。
社会的分業の発達した今日では、生産者と消費者の間に人的・空間的・時間的な隔たりが存在します。この隔たりを埋めることが流通の基本的役割です。
流通の担い手
生産者と消費者の中間にあって、商取引活動などを行う卸売業者と小売業者を総称して流通業者といいます。物理を担当する運送業者や倉庫業者も広い意味では、流通業者に含まれますが、一般的には物流業者として区別します。
卸売りとは、生産者から商品を買い付けて小売業者に売ることをいい、卸売業者は生産者に近い方から一次卸、二次卸と呼ばれます。これに対して、小売りとは、商品を消費者に対して販売することをいいます。小さな個人商店だけでなく、大規模なデパートやスーパーマーケットなども小売店です。
流通の機能
4つの流通の機能
物流機能
商品を、生産地から消費地まで輸送する、保管する、仕分けする、梱包するといった、物理的に商品を流通させる機能
商流機能
商品を生産者から消費者まで、売買などによって取引する機能
情報伝達機能
「売れ筋/死に筋」といった販売状況や新商品に関する情報などを提供する機能
金融機能
商品代金の立て替えや回収する機能
流通経路
商品が生産者から消費者に至るまでの道筋のことを流通経路といいます。
間接流通
生産者と消費者の間に卸売業者や小売業者などの流通業者が存在する場合です。
直接流通
卸売業者や小売業者などが介在せず、生産者が直接消費者に販売する場合です。産地直送やインターネットによる通信販売等が急速に発展しています。
メーカー主導から小売主導へ
製造業者(メーカー)が自社商品を販売しやすくするために、卸売業者や小売業者に関係の強化を求めることを流通の系列化といいます。生産者から販売者までの基盤を強固にできることから、これまで日本の多くのメーカーが行ってきました。
しかし、近年大型食品スーパーなど小売企業の現場では、メーカー別ではなく、生活提案型の売り場作りが推進され、販売力を発揮して価格主導権を握るなどメーカーの影響力が次第に弱まりつつあります。
また、商品の品揃えや価格設定が制限される流通の系列化に代わり、メーカー同士、卸売業者同士、小売業同士といった業界再編成の動きが強ま待っています。
日本的な商慣行
日本にはメーカーや流通業者の利益を保護するための独特な商慣行があります。しかし、消費者にとって不利益となるものが多く、海外からも閉鎖的で弊害が大きいとして、その見直しが求められています。主なものを見ていきます。
一店一帳合制
メーカーが卸売業者に対し、小売業者を指定したり、小売業者に特定の卸業者以外と取引させないようにしたりすることです。系列の強化が目的です。
建値制
メーカーが自社商品の販売価格を決定する制度で、適正と思う価格をメーカー希望小売価格として設定します。これを基準に卸売業者、小売業者の仕入れ価格が設定されるため、卸売・小売業者とも自由に価格決定ができません。最近では、建値制を廃止し、オープン価格制を導入するメーカーが増えています。
なお、メーカーが卸売業者や小売業者に販売価格を支持し強制した場合は再販売価格維持行為にあたり、独占禁止法違反となります。ただし、著作権物については例外的に再販売価格維持行為が認められており、これを再販制度(再販価格維持制度)といいます。
リベート
メーカーが自社商品の売上高に応じて、卸売業者や小売業者などに正当な売買差益以外に支払う謝礼金のことをいいます。「キックバック」または「割戻し」などとも呼ばれます。目的や支払いの基準が非常に不明確であると批判されています。
派遣店員制度
メーカーが自社製品を優先的に販売したり、直接顧客のニーズを汲み取る目的で、自社の社員を小売店に販売要員として派遣することをいいます。小売店側は人件費の削減や商品知識を持った店員の活用ができますが、売り場の主導権をメーカー側が握ってしまい、販売のノウハウを奪うといった例外も見られます。
抱合わせ販売
売れ筋商品に売れない商品を添付し、両方の商品を買わないと販売しないことをいいます。取引の相手に不当な不利益を与えるような場合、不公平な取引方法として独占禁止法違反になります。
販売協力金
小売業者が卸売業者やメーカーに対して売り場の改装費や催事、広告その他の費用をイベント料や宣伝費として要求するものです。
おわりに
メーカーや流通業者は市場競争に生き残っていくために様々な利益の獲得方法をおこなってきました。食の流通を見るだけでも、どのように経済が回っているのかが少しわかったと思います。どうすれば、もっと経済が最適化するのかを一緒に考えていきましょう。
食の安全
特に見てほしい方
☑︎食品関係で仕事をしている方
☑︎健康管理に興味がある方
☑︎食生活アドバイザー検定を受ける方
はじめに
みなさん、遺伝子組み換え技術について、一度は考えた経験があると思います。遺伝子組み換えは良い面と不安な面があり、それは食品も同じです。
今回は今後非常に重要になっていくテーマである遺伝子組み換えを含んだ食の安全を解説していきます。
遺伝子組み換え食品
遺伝子の組み換え
生物の細胞から役に立つ性質を持った遺伝子を取り出し、植物など他の生物の遺伝子に組み込むことにより、新しい性質を持たせることを遺伝子組み換えといいます。例えば、除草剤成分を分解できる細菌からその性質を発現する遺伝子を取り出し、これを植物に組み込むことで、除草剤に強い作物を作り出すことができます。
遺伝子組み換え技術は、このように農作物を除草剤に対して枯れにくくしたり、害虫に食われにくくしたり、日持ちを良くしたりするなどの目的で開発されました。それ以前にも交配(掛け合わせ)の手法による品種改良が行われてきましたが、遺伝子組み換え技術では、組み込む遺伝子が種を超えて色々な生物から得られる、生産者・消費者の求める性質を効率よく持たせることができるなどの点ですぐれています。また低温や乾燥といった不良環境でも生育できる農作物が開発されれば、食糧問題の解決にも貢献できます。
遺伝子組み換えに対する懸念
一方で、安全性や環境への悪影響などを懸念する声も根強くあります。
問題視されている点
- 組み替えられた遺伝子が、周辺の農作物等にも移行してしまわないか
- 遺伝子組み換えの種子が雑草と交配し、昆虫などが減少して生態系に支障をきたさないか
- 害虫抵抗性のものは、標的とした害虫以外の生物にまで危険を及ぼすのではないか
- 微生物に移行すると、突然変異などによって新たな微生物が生まれるのではないか
- 特定の企業による農業支配につながらないか
食品としての安全性の確保
遺伝子組み換え食品は、安全性の確認されたものだけが製造・輸入・販売等を許される仕組みとなっており、安全性が確認された遺伝子組み換え農産物とその加工食品については食品表示基準に基づいて表示が義務付けられています。
安全性が確認された主な遺伝子組み換え食品
- ジャガイモ(害虫抵抗性、ウィルス抵抗性)
- 大豆(除草剤耐性、高オレイン酸形質)
- とうもろこし(害虫抵抗性、除草剤耐性)
- なたね(除草剤耐性)など
ただし、栽培が承認されている品種はあるものの、消費者の強い抵抗もあり、国内で商業栽培は行われていません。また、トリプトファンと呼ばれるアミノ酸の含有量を増やした飼育用イネを開発するなどの動きはありますが、研究の段階にとどまっています。
食品添加物
食品添加物とは、食品の製造過程において、又は食品の加工や保存の目的で、食品に添加・混和・浸潤その他の方法によって使用するものをいいます。
食品衛生法上、原則として安全と有効性を認識して厚生労働大臣が指定する指定添加物だけを使うことができます。その他、使えるのは、長年使用されてきた天然添加物として品目が決められている既存添加物、天然香料、一般飲料物添加物だけです。今後新たに使われる食品添加物は天然物でも化学的合成品でも、すべて指定添加物として指定を受けます。使用目的別に食品添加物を分類しましょう。
食品添加物の使用目的別分類
食品の製造・加工のために必要なもの
豆腐を固めるための凝固剤など
食品の保存性を高めるもの
カビや細菌の増殖を抑え食中毒を防ぐ保存料、酸化を防ぎ長く保存できるようにする酸化防止剤など
食品の風味・外観を良くするもの
味を良くする調味料・甘味料・香りをつける香料・色をつける着色料・食感を良くする乳化剤など
食品の栄養成分を強化するもの
アミノ酸、ビタミン、ミネラルを強化する栄養強化剤など
原材料の製造・加工で使用された添加物が最終食品まで微量となって持ち越され、添加物としての効果を示さない場合をキャリーオーバーといいます。キャリーオーバーは添加物の表示を免除されます。
食品添加物には、生涯、毎日摂り続けても健康に問題がなく、安全とされる摂取量が示されています。これをADIといい、1日あたりの平均値を体重1kgあたりで割って求めます。
感染症
BSE
BSE(牛海綿状脳症)とは、牛の脳組織がスポンジ状になり、起立不能等の症状を示す中枢神経系の病気です。プリオンという通常の細胞たんぱく質の異常化したものが原因と考えられています。日本では、国産牛に肉骨粉を与えないことや、異常プリオンが蓄積しやすい特定危険部位は、と畜処理の工程で除去・焼却することが義務付けられています。特定危険部位とは脳、脊髄・脊柱、眼球、扁桃、回腸の5箇所です。危険部位が使用された可能性があった場合に感染が疑われる食品として、牛エキス、牛ブイヨン、牛脂、ゼラチンなどが挙げられます。
と畜場では48ヶ月を超えた牛にBSE検査を行っています。
また、牛トレーサビリティー法によって、国内で生まれたすべての牛と輸入牛に、10桁の個体識別番号の印字された耳標の装着が義務化されました。これにより、消費者に供給するまでの生産流通履歴情報の把握(トレーサビリティー)が可能となっています。
新型インフルエンザ
これまで人間には感染しないとされていた感染症が、人間に感染したという例も報告されています。
その例として、高病原性鳥インフルエンザA(H5N1)およびA(H5A6)が挙げられます。
鳥インフルエンザがヒトからヒトへと感染する可能性もあり、感染発症が起きた場合は、死亡率が高くなるとされています。
また、豚インフルエンザA(H1N1)は、すでに2009年に人から人に感染して世界的に流行しました。その際には多くの感染者や死亡者が報告されています。
おわりに
非常に重要なテーマを学んでいきました。しっかりと遺伝子組み換えの役立つ点と問題視される点を理解することで、今後の食の安全における考え方のお役に立ててください。
食品の変質と衛生管理
特に見てほしい方
☑︎食品関係で仕事をしている方
☑︎健康管理に興味がある方
☑︎食生活アドバイザー検定を受ける方
はじめに
みなさんは冷蔵庫に食材を置いたままにして、その食材が変な色になっていた経験ありませんか?僕は調味料の期限が切れており、色が濁っていたことがありました。
食品の変質にも有害なものと無害なものがあります。今回は食品の変質と衛生管理を解説していきます。
食品の変質
食品の変質に関する現象
食品中の成分が時間の経過とともに変化して、色や香り、味などが失われ、食用に適さなくなることを食品の変質といいます。変質の原因には、化学作用や物理作用、微生物(カビ、酵母、細菌など)の繁殖などが挙げられます。
食品の変質に含まれる概念のうち、重要なものを整理しましょう。
腐敗
食品の成分であるたんぱく質や糖質といった有機物質が、微生物の作用によって分解され、悪臭や有害な物質を生じて食用に適さなくなった状態を腐敗といいます。
なお、微生物が食品の成分を分解して起こる現象のうち、人間に有害な場合は腐敗といいますが、逆に、有益な化合物へと変化した場合は発酵と呼びます。微生物を利用した発酵食品については既に学習しました。結局、発酵と腐敗は人間の価値基準によって分けられたものなのです。
変敗
食品中の炭水化物や脂肪が繁殖した微生物の作用によって酵素が分解され、劣化する現象を変敗といいます。腐敗までいかないが、色や味が変わって食用に適さなくなった状態です。
酸敗
変敗のうち、熱や光の作用によって空気中の酸素と反応して酸化あるいは分解されることを酸敗といいます。例えば、食用油を繰り返し使用すると、色調の変化や刺激臭などが生じ、食用に適さなくなります。
褐変
りんごの皮をむいたまま放置しておくと、リンゴなどに含まれるポリフェノールが空気中の酸素に触れ、表面が褐色に変化します。このような現象を褐変といいます。品質は低下しますが、有害物質は生じていません。
食中毒と腐敗の違い
細菌性食中毒及びウイルス性食中毒と腐敗は、どちらも微生物の働きによって生じますが、腐敗の場合、変な匂いや酸っぱい味がすることで腐敗したことが分かります。ところが、食中毒の場合は微生物が増殖したり毒素を産出したりしていても、臭いや外見、味などは普通と変わらないことがよくあります。
たとえ食品が腐敗していなくても食中毒は発生するため、注意しなければなりません。
有害微生物と有益微生物
食品に様々な変化を起こす微生物には、病気を引き起こす有害微生物と、生物が生きていくために必要で、直接または間接的に働く微生物があります。
有害微生物
食品を腐敗させるなどによって、病気や食中毒を引き起こす細菌が代表的です。発がん性を持つものもあります。
消化器系の病気を引き起こすもの
⇒人から人へ感染することがある。
食中毒を引き起こすもの
発がん性を持つもの
⇒青カビ、毛カビ、クモノスかび等が産生する、発がん性を持つカビ毒。糸状菌に分類される。ピーナッツなどの豆類やアーモンド、ピスタチオ、香辛料などに繁殖して蓄積される。
有益な微生物
食品を製造、加工、保存する際に有益に働きます。カビ、酵母、細菌があります。
カビ
自然界に分布し、胞子は空気中に浮遊している。
⇒コウジかび、青かび、毛かび
窒素や無機質を含んだ微酸性の糖液の中で発育。
細菌
⇒納豆菌、酢酸菌、乳酸菌
酸素があると生育するもの、あると生育しないものがあります。また、酸素の有無に関係なく、生育するものもあります。
HACCP(ハサップ)
HACCP(ハサップ)とは
アメリカのNASA(アメリカ航空宇宙局)が開発したHACCP(ハサップ)は製造・加工過程における日常的自主的な予防措置に重点を置いた食品衛生管理システムです。高度な安全性を要求される宇宙食開発の中から考え出された工程管理手法に加えて、その記録を重視するという考えが、現在のHACCP(ハサップ)システムの基本となっています。
HACCP(ハサップ)は日本語では「危険分析重要管理点」と訳され、この手法を取り入れた総合衛生管理製造過程によって食品を製造加工しようとする者に対し承認を与える制度が食品衛生法で定められています。日本では大規模事業者の8割以上が導入しているものの、中小零細事業者にはまだ普及していないのが現状です。
食品の製造加工工程のあらゆる段階で発生する恐れのある微生物汚染などの危険分析(Hazard Analysis)を予め行い、その結果に基づいて、製造工程のどの段階でどのような対策を講じればより安全な製品を売ることが出来るかという重要管理点(Critical Control Point)を定めておき、これを継続的に監視(モニタリング)・記録することによって製品の安全性確保を図ります。
HACCP(ハサップ)の7原則
- 危険分析(HA)の実施
- 重要管理点(CCP)の設定
- 各CCPにおける管理基準の設定
- 管理基準に対する監視・測定(モニタリング)方法の設定
- 管理基準から逸脱した場合の修正措置の設定
- 検証方法の設定
- すべての記録の文書化と保管規定の設定
HACCP(ハサップ)を導入することによって、これまで各現場それぞれで経験に従って行ってきたことに、科学的な裏付けができます。
家庭に取り入れられるHACCP(ハサップ)の考え方
HACCP(ハサップ)の考え方は、消費者が各家庭で行う食品衛生管理にも取り入れることができます。
購入
食に適しているかどうかをチェックする。生鮮食品は鮮度を加工、食品は賞味期限を確認する。
保管
保管場所や温度などをチェックする。床に直接置かない、その食品に適した温度で保存する。
調理
調理環境や食品の取り扱いをチェックする。調理器具や食品、調理する人の手指の洗浄などを行う。
食べるとき
調理とのタイミングをチェックする調理したものはできるだけ速やかに食べる。室温で長く放置しない。
片付け
使った料理器具や食器などが放置されていないかチェックする。ごみの処理も適切に行う。
保存
食べ残した料理の取り扱いをチェックする。清潔な食器で保存する。残った料理を再加熱するときは、十分に加熱する。
おわりに
変質にはさまざまな種類があり、それを料理に活かしたものもあります。人間の価値基準でそれらははかられています。また、HACCP(ハサップ)は食品製造におけることでしたが、一般家庭にも置き換えて考えることができるので、身近にある内容になったかと思います。ぜひ、日常生活に取り入れてみてください。
食中毒の予防
特に見てほしい方
☑︎食品関係で仕事をしている方
☑︎健康管理に興味がある方
☑︎食生活アドバイザー検定を受ける方
はじめに
皆さんは家でご飯を作るとき、衛生面に気を付けていますか?僕は今回のことを勉強するまで、正直あまり意識していませんでした。
やはり、なんでめんどくさい洗い物をするのか等の理由を知らなければ、やろうと思わないものです。今回はなぜ衛生面に気を使わなければならないのかという食中毒の予防を解説していきます。
食中毒事故
食中毒の発生状況
食中毒はその多くが細菌またはウイルスを原因としております。
食中毒の発生状況は地域の気候風土や医療を含めた社会環境によっても大きく左右されることがあります。また、食品の製造・加工過程だけでなく、流通形態や消費者のライフスタイルなど、さまざまな要因が影響しています。近年、食生活の欧米化とともに肉食が増え、カンピロバクターを原因とする食中毒事件が多くなっているのもその一例と言えます。
細菌が増殖するための条件は栄養素・湿度・温度の3つです。梅雨時期から高温多湿の夏場に掛けては細菌が増殖しやすく、細菌性の食中毒は6月から10月に発生件数が多くなります。細菌性の食中毒以外では、毒キノコによるものが秋、ふぐを原因とするものは冬に集中します。ノロウイルスを原因とする食中毒は冬季を中心に大変多く発生するため、年間を通じた対策が必要です。
食中毒の届出
患者を毒素と診断した医師は、最寄りの保健所に届け出ることが食品衛生法で義務付けられています。原因物質や感染経路を判明させることと、二次感染を防ぐことが目的です。また、これにより全国規模での集計が行われます。ただし、届出があったものに限られるため食中毒発生の実態をすべて把握することは難しいとされています。
食中毒の予防
食中毒予防の3原則
細菌をつけない(清潔)
最近がテレビや調理器具などを介してほかの食品に汚染しないよう手洗いを行い、調理する環境を清潔に保ちます。
手洗いの手順
・手を水で濡らしてから石鹸をつける
・30秒以上かけて手全体、指、指の間、指先をハンドブラシを使って洗う
・20秒以上かけて石鹸を流水で洗い流す
・逆性石鹸液をつけてもみ洗いする
・20秒以上かけて流水ですすぐ
・ペーパータオルや温風機で手の水気をとる
細菌を増やさない(迅速・冷却)
細菌を増殖させないよう調理を迅速に行い、速やかに食べることが大切です。また、細菌の多くは冷却により増殖しにくくなるため、冷蔵庫で食品を保存(10℃以下)するようにします。
細菌を殺す(加熱・消毒)
細菌は一般に熱に弱いため、中心部まで十分に加熱することが大切です。また、調理器具を洗浄した後は熱湯や塩素剤などで消毒をすると効果的です。
3原則を踏まえた調理の際のポイント
- 生の肉、魚、卵を取り扱った後は必ず手を洗う。また、途中で動物に触ったりトイレに行ったり鼻を噛んだりした後の手洗いも必ず行う。
- 肉や魚の汁が、果物やサラダなど生で食べられる食品や調理済みの食品にかからないようにする。
- 生の肉や魚を切った後は包丁やまな板を洗って熱湯をかけたのちに使うことが大切(そのまま、果実や野菜など生で食べる食品や調理済みの食品を切らない)。
- 包丁やまな板は肉用・魚用・野菜を別々に揃えて使い分けることが望ましい。必ず洗浄し、こまめに熱湯消毒を行う。
- ラップや包装されている野菜やカット野菜であっても、調理の際はよく洗ってから使用する。
- 冷凍食品の解凍は、冷蔵庫の中や電子レンジで行う。
微生物の制御に関する用語
滅菌 |
対象物からすべての微生物を死滅させて、完全な無菌状態にすること。 |
殺菌 |
一般には、微生物を死滅させる操作(加熱、薬剤処理など)をいう。殺菌しても、一部の微生物は生存している場合がある。 |
除菌 |
微生物の死滅を伴わず、洗浄・ろ過・沈殿などの物理的方法によって取り除くこと。 |
抗菌 |
微生物の発生・生育・増殖を阻止したり、抑制したりすること。 |
静菌 |
低温貯蔵や塩蔵などの状態で、微生物の増殖を阻止し、又は抑制すること。 |
消毒 |
有害な微生物のみを死滅または減少させ、感染の危険性を除いた状態にすること。 |
衛生管理の5S活動7S活動
食品製造工場や調理場、食品倉庫、食品売り場などで食中毒事故を予防するには、次の5つの事項の実践が重要とされています。これを「5S活動」といいます。
なお、食品製造工場などでは、さらに2つを加えた「7S活動」の実践が行なわれています。
- 整理
- 整頓
- 清掃
- 清潔
- 躾
- 殺菌
- 洗浄
洗浄や消毒に使用する薬剤
食品・野菜用中性洗剤
界面活性剤の作用で油などの汚れを落とします。
エタノール製剤
細菌の細胞膜を通過します。アルコールが主成分なので、調理器具のほか食品やテレビにも使用できます。
塩素系洗剤
次亜塩素酸ナトリウムが主成分。殺菌剤として洗剤やキッチン用に使用されるほか、野菜などの食品にも使われます。
酸素系洗剤
過炭酸ナトリウムなどが成分。食器や布巾などの漂白、除菌に使用されます。
逆性石鹸
洗浄作用が弱い反面、強い消毒力を持つ石鹸です。
調理者の衛生管理
食中毒を予防とするためには、調理者が発生源にならないことが重要です。皮膚や鼓膜に傷がある時には調理を行わないようにします。傷が化膿している時には黄色ブドウ球菌が繁殖している可能性があるため、特に注意が必要です。
また、定期的に健康診断を受けたり、月に1度検便を行うなど、健康管理を徹底することも求められています。
おわりに
特に生もの扱いには厳重な注意が必要です。また、生ものに対して使った調理器具もしっかりと清潔にしましょう。くれぐれも食中毒には気を付けて、楽しい食生活を送ってください。
食中毒
特に見てほしい方
☑︎食品関係で仕事をしている方
☑︎健康管理に興味がある方
☑︎食生活アドバイザー検定を受ける方
はじめに
みなさんは食べ物でお腹を壊したことありますか?僕は牡蠣にあたったことがあります。そのときはお腹がめちゃめちゃ痛くて大変でした。
食べ物からもたらされる有害物質にどんなものがあるのか、それに対してどんな対策が必要なのかを今回は解説していきます。
食中毒の症状と原因物質
食中毒とその症状
飲食物に含まれている有害な物質を摂取することなどによって発症する健康障害を食中毒といいます。
一般には、嘔吐・腹痛・下痢などの急性の胃腸障害を引き起こしますが、頬や目の下がピクピクする、力が入らない、声が出ないといった神経系の症状が出る場合があります。
家庭では、初期症状が軽い場合は単なる体調不良や風邪などと勘違いされがちですが、食中毒から死に至るケースもあるため油断は禁物です。
食中毒の原因物質
食中毒は、その原因物質によって細菌性食中毒、自然毒食中毒、ウイルス性食中毒、化学物質による食中毒、その他のものに分類されます。
細菌性食中毒
細菌性食中毒は、感染型と毒素型に分類されます。病原菌が増殖する条件は温度(種類によるが最も増殖しやすいのは30度から 40度)、湿度(水分が多いほど増殖しやすい)、栄養素(タンパク質、糖質、ビタミンなど)が必要です。
細菌性食中毒の種類
感染型 |
食品内である程度増殖した原因菌が食品とともに体内に取り込まれ腸管内でさらに増殖して症状を引き起こすもの。 例) |
毒素型 |
食品内毒素型 食品内で原因菌が増殖し、そこで産生した毒素が原因物質となるもの 例)
生体内毒素型 体内に取り込まれた菌が腸管内で増殖し、、賛成した毒素が原因物質となるもの 例) |
自然毒食中毒
動物性自然毒と植物性自然毒に分かれます。
主な自然毒とその毒素名
|
主なもの |
毒素名 |
動物性 |
フグ(フグ毒) |
|
巻貝(貝毒) |
テトラミン |
|
植物性 |
アコニチン |
|
毒きのこ |
アマトキシン |
|
じゃがいもの芽 |
||
青梅 |
アミグダリン |
ウィルス性食中毒
ウイルス性食中毒では、ノロウィルスが代表的ですが、A型肝炎やE型肝炎などのウイルス性肝炎もあります。
化学物質性食中毒
洗剤や漂白剤、農薬(殺虫剤、除草剤など)の誤飲・誤用、有害金属(水銀ヒ素など)やシアン化合物による食品汚染などがあります。
その他の食中毒
寄生虫のほか、カビ毒(マイコトキシンともいう)があります。カビ毒の一種であるアフラトキシンは、アーモンド、トウモロコシ、ピスタチオ、香辛料などから汚染事例が報告されており、高い発がん性があると言われています。
主な細菌性食中毒、ウイルス性食中毒
日本で発生する食中毒の大半は、細菌やウィルスによるものです。主な原因ごとにその特徴を見ておきましょう。
腸炎ビブリオ(細菌:感染型)
海の魚介類を介して食中毒を引き起こすため、かつて日本人が魚を多く摂取していた頃には、発生件数の第1位でしたが、近年は減少傾向にあります。
特徴 |
塩分を好み海水程度の濃度3%前後でよく増殖する。夏から秋に多発。ほかの細菌と比べ、増殖速度が速いが、真水や熱に弱い。 |
潜伏期間 |
10〜18時間 |
主な症状 |
腹痛、水様下痢、発熱、嘔吐 |
原因食品 |
魚介類(刺身、寿司、魚介加工品)のほか、二次汚染による各種食品(塩辛など) |
予防法 |
魚介類は新鮮なものでも真水でよく洗う。短時間でも冷蔵庫に保存し、増殖を抑える。60度、10分缶の加熱で死滅する。 |
カンピロバクター(細菌:感染型)
ここ数年日本で最も発生件数が多い食中毒です。また、患者が1名の事例が多いことも特徴です。
特徴 |
家禽や家畜の腸管内に生息して、食肉を汚染する。乾燥に極めて弱く、また、通常の加熱料理で死滅する。 |
潜伏期間 |
48〜168時間(2〜7日) |
主な症状 |
腹痛、下痢、発熱など。倦怠感や頭痛などが起こることもあり、風邪と間違いやすい。 |
原因食品 |
食肉、飲料水、生野菜など。近年は食肉(特に、鶏肉によるもの)が増加傾向にある。 |
予防法 |
調理器具を熱湯消毒し、よく乾燥させる。肉とほかの食品との接触を避ける。食肉に十分な加熱をする。飲料水は煮沸する。 |
サルモネラ属菌(細菌:感染型)
人や動物の消化管に生息する腸内細菌であり。 家庭で飼われているペットから検出されることもあります。
特徴 |
動物の腸管、自然界(河川、下水など)に広く分布。鶏卵は殻から中身まで汚染。 |
潜伏期間 |
8〜48時間 |
主な症状 |
激しい腹痛、下痢、発熱、嘔吐、脱力感 |
原因食品 |
鶏卵、食肉(牛レバー刺し、鶏肉)など |
予防法 |
肉・卵は十分に加熱する(75℃で1分以上で死滅) |
黄色ブドウ球菌(細菌:食品内毒素型)
菌自体は熱に弱いのですが、増殖する時に産生する毒素(エンテロトキシン)には耐熱性があり、多少の加熱では無毒化されません。
特徴 |
人や動物の化膿創、鼻咽頭などに分布する。化膿菌とも呼ばれる。 |
潜伏期間 |
1〜3時間 |
主な症状 |
嘔吐、腹痛、下痢 |
原因食品 |
おにぎり、サンドイッチ、弁当、生菓子 |
予防法 |
手指を洗浄消毒する。傷や化膿創があるときは、食品に直接触れないようにする。 |
ボツリヌス菌(細菌:食品内毒素型)
食品内で産生するボツリヌス毒素によって食中毒になります。致死率が高いことで知られています。
特徴 |
土壌中、河川、動物の腸管など、自然界に広く生息。酸素のないところで増殖する。 |
潜伏期間 |
12〜36時間 |
主な症状 |
嘔吐、頭痛、手足の痛み、視覚障害、呼吸困難 |
原因食品 |
ソーセージ、ハム、肉類の缶詰、いずしなど |
予防法 |
充分に加熱して調理し、保存は低温で行う。 |
セレウス菌(細菌:食品内及び生体内毒素型)
嘔吐型と下痢型に分けられます。芽胞を形成するため、加熱や乾燥にしい抵抗性を示します。
特徴 |
土壌、水中、ほこりなど自然界に広く生息。 |
潜伏期間 |
下痢型:8〜16時間 嘔吐型:1〜5時間 |
主な症状 |
嘔吐型:吐き気、嘔吐、腹痛 下痢型:下痢、腹痛 |
原因食品 |
嘔吐型:チャーハン、ピラフ、スパゲティなど 下痢型:食肉、スープ、ソース、プリンなど |
予防法 |
米飯や麺類を作り置きせず、調理後に、速やかに食べる。 |
腸管出血性大腸菌(細菌:生体内毒素型)
ベロ毒素を産生する大腸菌による食中毒で、原因となっている種類はO157がほとんどです。
特徴 |
動物の腸管内に生息し、糞尿を介して食品や飲料水を汚染する。飛沫感染はしない。 |
潜伏期間 |
24〜216時間(1〜9日) |
主な症状 |
腹痛と大量の新鮮血を伴う血便、尿毒症、意識障害。短期間で死に至る場合もある。 |
原因食品 |
井戸水、焼肉、牛レバーなど。 |
予防法 |
加熱(75℃で1分以上)や消毒薬により死滅する。通常の食中毒対策を確実に実施することで、十分に予防可能といえる。 |
ウエルシュ菌(細菌:生体内毒素型)
食物とともに腸管に達すると増殖して毒素をつくります。学校給食などでの集団感染が見られます。
特徴 |
人や動物の腸管や土壌、下水に広く生息。芽胞は100℃で1〜3時間の加熱に耐える。 |
潜伏期間 |
8〜20時間 |
主な症状 |
腹痛、下痢 |
原因食品 |
肉・魚・野菜を使用した煮物、カレーなど。 |
予防法 |
清潔な調理を行い、調理後、速やかに食べる。 |
ノロウイルス(ウイルス)
冬季を中心に年間を通じての発生が確認されています。食品を介さない空気感染も報告されています。
特徴 |
食品取扱者を介した二次感染が多く、近年感染事例が増加傾向にある。 |
潜伏期間 |
28〜48時間 |
主な症状 |
嘔吐、下痢、腹痛、吐き気、微熱 |
原因食品 |
牡蠣等の二枚貝、二次感染された食品 |
予防法 |
食材を中心部まで加熱(85℃〜90℃以上で90秒以上)。手指の洗浄、調理器具の熱湯消毒。 |
おわりに
食品や調理器具を取り扱う際は、保存方法や管理方法に注意して調理してください。特にO157など、死に至る食中毒もあるので、気をつけてください。
食品表示
特に見てほしい方
☑︎食品関係で仕事をしている方
☑︎健康管理に興味がある方
☑︎食生活アドバイザー検定を受ける方
はじめに
みなさんは食品を買うときに、食品マークを気にしたことありますか?私はよくトクホのマークが目につきます。
食品マークにはそれぞれに意味があります。少し知っておくだけでも、食品選びのときに参考になります。今回は食品表示について解説していきます。
食品に表示されているマーク
主な食品マーク
JASマーク JAS規格に合格した食品に表示することができる。表示は義務ではない。 カップ麺やしょうゆ、果実飲料など。 |
特定JASマーク 一定期間以上生熟成させたハムや一定期間以上平飼いで育てられた地鶏など、特別な生産方法についてのJAS規格を満たす食品につける。 熟成ハム、熟成ソーセージ類、熟成ベーコン類、自撮り肉など。 |
生産情報公表JASマーク 生産者の氏名、農場の所在地、肥料や農薬の使用状況など、JAS規格に定める生産情報が公表されている牛肉、豚肉、農産物、豆腐などにつける。 |
定温管理流通JASマーク 製造から販売まで一貫して一定の温度を保って流通させる加工食品につける。 |
Eマーク(地域特産品認証制度) 都道府県が認証した地域の特産品につける。 |
有機農産物の表示
「無農薬野菜」や「有機農法」などといった表示が乱用されると、消費者の適正な商品選択に混乱が生じます。そのため、有機JASマークが付けられたものでなければ「有機」または「オーガニック」などの表示ができない制度となっています。
有機農産物とは、堆肥などで土づくりを行ない、栽培の中だけではなく種まきや植え付け前2年以上(多年生作物は収穫前3年以上)、原則として農薬と化学肥料を使わず遺伝子組み換え技術を用いずに生産した農産物をいいます。事業者の申請に基づいて登録認定機関が検査士認定された事業者のみが有機JASマークの表示を許されます。
遺伝子組み換え食品の表示
表示対象となる食品
食品表示基準に基づき8農産物またはそれら主な原材料(重量が上位3位以内で、かつ全原材料に占める割合が5%以上のもの)とする場合、表示が義務付けられています。
表示方法
分別生産流通管理を行っている遺伝子組み換え食品の場合
表示例
・大豆(遺伝子組み換え)
・大豆(遺伝子組み換えのものを分別)
義務表示
遺伝子組み換え食品と遺伝子組み換えでない食品の分別生産流通管理を行っていない場合
表示例
・大豆(遺伝子組み換え不分別)
義務表示
遺伝子組み換え食品と遺伝子組み換えでない食品の分別生産流通管理を行っていない場合
表示例
・大豆(遺伝子組み換えではない)
・大豆(遺伝子組み換えでないものを分別)
任意表示
組み替えられた遺伝子およびそれによって生じたたんぱく質が、製造過程において存在しなくなる場合
表示例
・大豆(遺伝子組み換えでない)
任意表示
アレルギー表示
食物アレルギーと表示制度
食物に含まれるアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)を異物と認識し、からだが自分自身を防御するために過敏な反応を起こすことを食物アレルギーといいます。具体的には、かゆみ、蕁麻疹、まぶたの腫れ、腹痛、嘔吐、喘息等の症状が現れます。アナフィラキシーショックと呼ばれる最も激烈なタイプでは呼吸困難、血圧低下、意識消失などの症状が起こり死に至る場合もあります。
そこで特定のアレルギー体質を持つ人の健康危害を防止するため、食品表示基準では、アレルゲンを含む一定の原材料について、表示を行う制度を定めています。
アレルギー表示の対象となる食品
現在、アレルギー表示の対象品目は27品目です。このうち特に症例数が多く、症状が重くなる7品目を特定原材料といい、これについての表示が義務付けられています。また、これに準ずる20品目は表示を行う事が推奨されています。
アレルギー表示の対象品目
特定原材料7品目 |
(症例数が多いもの) 卵、乳、小麦、エビ、カニ (症状が多いもの) そば、落花生 |
表示を義務付け |
特定原材料に準ずる20品目 |
アワビ、イカ、イクラ、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、クルミ、サケ、サバ、大豆、鶏肉、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン、バナナ、ゴマ、カシューナッツ |
表示を推奨 |
アレルギー表示の方法
原則は「植物脂(大豆を含む)」というように個々の原材料・添加物ごとに(〜を含む)などと表示します(個別表示)。ただし、例外として「原材料の一部に大豆・卵・乳成分を含む」などと、最後に一括表示することも認められています。
栄養成分表示
容器包装に入れられた一般用加工食品と添加物について、栄養成分表示が義務化されました。主要5項目である①熱量(エネルギー)②たんぱく質③脂質④炭水化物⑤食塩相当量の含有量を、この順番で表示します。特にナトリウム量については、食塩相当量で表示することに注意しましょう。
栄養成分表示の例(牛乳の場合)
栄養成分表示 1本(200ml)当たり |
|
エネルギー |
139kcal |
6.8g |
|
脂質 |
8.0g |
炭水化物 |
10.0g |
食塩相当量 |
0.2g |
カルシウム |
227mg |
主要5項目以外にも、飽和脂肪酸や食物繊維は表示が推奨されているほか、カルシウム等のミネラルやビタミンなどの量も任意で表示することができます。
なお、ナトリウム量は、ナトリウム塩を添加していない食品に限り表示できますが、この場合も括弧内に食塩相当量を併記することとされています。
おわりに
食品のパッケージに書いてある表示はそれぞれ意味があります。ぜひみなさんもスーパーマーケットやコンビニに行った際、食品のアレルギー表示や栄養成分表示に目を通してみてください。非常に参考になる食品の情報が記載されています。